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第1章 第8話「二回戦・筑紫中央との戦い」
県大会2回戦、会場は満員。初戦を突破した柳城高校の勢いに、応援スタンドは熱気に包まれていた。対戦相手は守備に定評のある筑紫中央高校。
◆ 試合開始
【実況】「注目の一戦、柳城高校と筑紫中央高校の試合が始まりました!」
【解説】「柳城は初戦で接戦を制しましたからね。勢いに乗れるかどうかが鍵でしょう。」
先発は再び1年生エースの吉川君。
しかし初回から相手の機動力に揺さぶられ、一死三塁のピンチ。
小早川君は立ち上がってマウンドへ。
「力まず低めに。ランナーは俺が止める!」
強気のリードで、見逃し三振。続く打者も遊ゴロに仕留めた。
【実況】「ピンチを切り抜けました! 柳城、無失点スタートです!」
【解説】「1年生同士のバッテリーですが、堂々としてますね。」
◆ 中盤の攻防
3回表、柳城は相手の好投手に抑えられていたが、田村君が粘って四球を選ぶ。
続く2番・中村君が送ってチャンスを作ると、打席には再び小早川君。
初球を強振、打球はセンター前へ!
ランナー田村君がホームへ突っ込む。クロスプレー――セーフ!
【実況】「柳城が先制! またも小早川君のバットです!」
【解説】「勝負強いですねぇ。城島監督も嬉しいでしょう。」
◆ 終盤の攻防
7回裏、柳城は1-0のままリード。
だが二死二塁、相手4番打者。フルカウントからの1球――。
吉川君が投じたストレートを完璧に捉えられた。
打球はレフトの頭上を襲う――しかしレフト田中君がダイビングキャッチ!
【実況】「田中君、スーパーキャッチ! 柳城、同点の危機を救いました!」
【解説】「あれは大きいですよ。まさにチーム全員で守ってますね。」
◆ 最終回
9回表、柳城は追加点を奪えないまま迎えた裏の守り。
最後のバッターが打ち上げたフライを、再び田村君が落ち着いてグラブに収める。
【実況】「ゲームセット! 柳城、連続完封勝利で三回戦進出です!」
【解説】「内容は苦しい試合でしたが、守備が光りましたね。これは大きな自信になります。」
◆ 試合後
整列を終えると、城島監督は選手たちに短く告げた。
「一球一球を全員で守った。それが今日の勝因だ。次はもっと点を取るぞ。」
小早川君は握りしめたバットを見つめ、心に誓った。
(必ず、この仲間たちともっと上へ行く――)
熱戦の夏は、まだ始まったばかりだった。