【能力者名】雨守春里(ロカ先生の夫)
【能力名】 桜の雨
《タイプ:友好型》
【能力】 教え子達を無事に卒業させる
ことができる能力。
【以下、細菌達の記録】
先生の仕事を終えて、ロカ•タランティーナは自宅の一軒家へと帰ってきた。
「ただいまー。」
ロカはそう言って玄関をあけた。
「ママー!!おかえりなさいー!!!」
トタタタッと右目に傷を負った小さな女の子がリビングからロカのもとへと駆け寄り、
ロカに抱きついた。
ロカの一人娘のマカロニである。
「ただいまー。」
そう言ってロカは198cmある体でマカロニを抱っこして高い高いしたー。
「うきゃーーー!!!…….じゃなかったママ!!
あたしもう8歳だよ!!子供扱いしないでよねっ!!!」
そう言いながら怒るマカロニに
「ハイハイ。」
とロカは幸せそうな顔で笑ってみせた。
しばらくして車椅子に乗ったロカの夫、
雨森春里が玄関までやって来た。
「おかえり、ロカ。お疲れ様。お風呂とご飯用意してるよ。」
雨森春里はゆったりとした声でそう言った。
春里の声は聞いた人を安心させるような
心地のよい声だった。
「ありがとうバル。今着けてる重りを全部外したいから 先にお風呂入ってくるね。」
ロカは夫のことをバルと呼んでいた。
そしてロカは風呂場へと向かった。
(風呂場から戦闘シーンみたいなとんでもない音が聞こえる。)
「あたしもママと入るー。」
マカロニはそう言って風呂場へと向かった。
(ロカはマカロニと風呂場でお喋りした後、
春里の作った唐揚げを食べ、マカロニに
勉強を教え、少しマカロニと遊び、そして
マカロニを寝かしつけた。)
「ママ……オオカミさんが……オオカミさんが……!!!!」
突然、マカロニは震えだした。
過去のトラウマがフラッシュバックしたのだろう。
マカロニが5歳の時、マカロニは男子中学生の能力者に襲われた。
マカロニはその時右目と心に傷を負った。ロカは激昂した。
男子中学生とその親の心と能力を『エンプレス•ディスコ』で完膚なきまでにへし折った。
その後男子中学生は少年院へと送られたが
マカロニの心の傷はまだ癒えず。
今は夫の 春里に勉強を教えてもらいながら自宅療養を 行っている。
「大丈夫だよ。悪いオオカミさん達はママが
全員やっつけるから。だから安心して
おやすみ。」
ロカはそうやってマカロニの頬を撫でた。
「うん…..ママ。私もがんばるよ。今日パパに分数を教えてもらったよ。クッキーも、ちょっと焦げちゃったけど焼けるようになったよ。うまくできたらママにも食べさせてあげるね。ワガママも1日一回しか言わないよ。」
そう言ってマカロニは涙を拭ってロカに
笑いかけた。
「そう、じゃあマカロニ。ママがマカロニのワガママ、なんでも聞いてあげるね。」
そう言ってロカはマカロニの頭を優しく撫でた。
「じゃあ、約束して。明日もちゃんと帰ってきてね。なるべく早く帰ってきてね。約束だよ?」
マカロニはそう言って小さな手でロカの指を
握った。
「…….うん、約束する。」
そう言ってロカはマカロニに指切りげんまんをした。
その後ロカはマカロニが眠りに着くまで
ロカの祖国の子守唄を歌っていた。
《リビングにて》
ロカの夫春里は、家事を終えて車椅子に座りながらリビングでテレビを見ていた。
ロカは 春里に後ろから抱きついた。
「…….つかれた。」
ロカは決して弱音を吐かない人間だった。
ロカが弱音を吐ける人間はただ一人。夫の春里だけだった。
春里は車椅子をゆっくり動かしてロカの方を
向いた。
そしてロカを抱き締めた。
「おつかれさま。」
そう言って春里はロカの大きな背中を撫でた。
ゴールデンレトリーバーを撫でるように、春里は愛しいロカを撫でた。
「家の通帳から220万残高が減ってたけど
また勝手に家の貯金を使ったのかい?」
ロカを優しく撫でながら、春里は言った。
ロカは春里に220万使ってロカのアバターを
能力者につくってもらったことを言ってなかったのだ。
「うっ…….ごめんなさい。」
ロカはしおらしく謝った。
「…….君のことだから、きっと生徒達の
ために使ったんだろう?でも今度からはちゃんと相談してほしいな。君はなんでも一人で背負いこんでしまうから。」
春里はそう言って優しく、慈しむように
ロカの頭を撫でた。
春里に撫でられていると ロカは全てを許されていくようで胸が痛かった。
ロカは春里に抱きつき、春里の胸に蹲った。
ロカはまた弱音を吐いた。
「私は……何も変わってない。バルと出逢ってから、マカロニを産んでも、私はずっと
兵器のまんま。私は壊すことしかできない…..!!バルを、マカロニを、大切な人を守れなかった….!!苦しんでる生徒を救ってあげることも私にはできない…..!!ごめんなさいバル…….ごめんなさい。」
ロカは決して泣いたりはしなかった。
それでもロカは春里の胸にずっと蹲っていた。
春里はずっとロカの頭を撫でていた。
「僕はずっと君に救われてるよ、ロカ。
君と会ったおかげで可愛いお嫁さんができた。マカロニとも出逢えた。先生の仕事を
辞めてからの方が、ずっと体調がいいくらいだよ。きっと僕は専業主夫の方が向いていたんだろうね。それにね、ロカ。僕はロカがずっと生徒達のことを真剣に考えてるのを知ってるよ。ロカはずっと、僕のヒーローだよ。」
そう言いながら春里はずっと、ロカの頭を慈しむように撫でた。
ロカはしばらく、春里の胸に蹲っていた。
「……ありがとうバル、私頑張るから。
見ててね。」
そう言ってロカは春里にキスをした。
それからロカは1日の終わりの鍛練をし、
明日の仕事の準備をし、ストレッチをした後
春里の匂いのついた枕に顔をうずくめながら
熟睡した。
(最後まで読んでくださりありがとうございます。BioTOPE春嵐編はこれにて終了です。ここからはしばらく能力者達の日常を
お楽しみください。)
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