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政府公認の術師部隊 日本全国に存在する術師の部隊 原点である本部を京都、東京に配属されており脅威に見舞われてる妖や鬼と戦っていた。本部は”対鬼妖討伐部隊”妖鬼滅(ようきめつ) 妖鬼滅は戦国時代から誕生し永き歴史に刻まれていた。そんな妖鬼滅には支部が複数存在しており、ここ神戸でも───。妖鬼滅の支部が政府により配属されていた───。
「わぁ〜いい匂いします〜!!」
術師の1人は少年のように調子者な男術師。白夜隊に所属する1人だ。
千鶴「いらっしゃい。白夜隊の皆さん」
白夜隊とは、妖鬼滅 神戸支部に配属された部隊であり ここ術師の名家である白夜家の者が部隊を率いる術師部隊。
白夜隊は “三輪和泉””一瀬カスミ“藤堂幸次””蝶野清華“そして…白夜家の兄弟であり、次男”白夜風真” 彼らを率いるのは長男であり次期当主、白夜龍之介 彼は妖鬼滅 神戸支部の少佐を務めており白夜隊は数多くの戦績を残した術師部隊だ。
福田食堂に来客として3人の白夜隊が訪れた。
1人は少年のような調子者の一ノ瀬カスミ、彼は傷を癒す医療の術を持ち隊の仲間や民間人の治療を専念し、近年配属されたばかりの術師だ。1人はウルフカットで顔に傷のある男 藤堂幸次、彼の顔には左頬に斬られた様な十字の傷が 腰に着けているのは…刀 刀使いの術師だ。そして…もう1人は白夜風真、彼は風の術師であり、家に代々受け継がれた神器である弓を持っている。弓使いの術師だ。粟色に美しい長い髪を結んだ顔立ちのいい青年。
そんな白夜隊の3人は後ろの座席に席に着いた。
千鶴「まさか隊の人達がこんな早くに…珍しいですね〜」
カスミ「いや〜いつもなら任務後なんですけど、今日はパトロールっす!!!」
千鶴「あはは、元気がいいわね〜!カスミちゃんのそう言うところが元気の源よ」
カスミ「あははは〜照れるな〜」
風真「……あまり騒ぐな。他の客に失礼だろ…」
カスミ「だって〜お腹ぺんぺこなんだも〜!」
幸次「………。そう言うところだぞ…だいたいお前は迷惑掛けすぎ。」
千鶴「そんな言わないの。カスミちゃんは配属されたばかりなんだから、先輩として面倒見てあげてね?」
風真「……千鶴さんは甘く見すぎだ。僕たちはこんな時代に”鬼と妖”と戦っているから、甘く見すぎなんだよ」
幸次「………。」
千鶴「……そ、そうよね 妖鬼滅の皆さんは命張って戦っているのですもの」
作り笑顔で返す千鶴 過去に母を鬼に命を奪われたからと言って、その笑顔からは辛く…恨みを持ったかの よく笑う裏腹には、家族を奪われた悲しみが───。
幸次「…天ぷら定食3つ頼む」
幸次が注文を3人分取る。
千鶴「はいはい ちょっと待っててね〜。今注文入ったから作るわね〜」
千鶴が注文を聞いた後足はやにカウンターへと入っていった───。
天ぷらに使用する食材を取って手馴れた手つきで料理を始める。
源三「まっさか〜こんな早くに白夜隊の方がご来店するとはねぇ。いつもだったら、仕事が終わったすぐとかじゃねぇの?」
ひと仕事を終えた源三は雫の隣に一息つく。
カスミ「いやいや 今日は急な任務が来て遠出になるのですよ!何だって行先は──」
幸次「”村を乗っ取った鬼を殲滅” 妙法にある村が鬼に奪われ、今では村民が囚われの身となってる可能性が高いとされ…いや、既に何人か殺されてると情報だ。そんな奴らが住み着いた鬼を討伐しに行くのは…俺たち白夜隊に任命された。」
風真「……それなのに、カスミは遠出になるといい…腹ごしらえに昼餉をしたいとか言い出して…」
風真が呆れた顔でカスミを睨みつける。それにカスミは「えへへ」と薄笑いを2人に向けた。いつもなら任務後に福田食堂を訪れるのだが── どういうわけか遠出の任務で鬼が住み着く村を殲滅しに行くのに、配属されたばかりの後輩の我儘で仕方なく2人は着いて行った経緯── そんな流れだ。
千鶴「いいじゃない?力つけないと鬼には勝てないし、腹が減っては戦ができぬ でしょ?」
幸次「まぁ少なくとも…鬼が住み着く村なんて、人間を食い殺し、惨殺をする凶悪な怪物 そんな鬼共がいたらで、俺たち妖鬼滅が処刑するだけだ」
そう言って幸次は閉じてる目を開け睨み付けた。
雫「っ……」
突き刺さるような殺意の瞳 雫の後ろから感じる幸次の睨み付ける冷たい視線───。 まるで…自分を睨まれたかの殺意と狂気 ドスっと刺された視線に雫は、その殺意と狂気な気配に冷や汗が出る。
この人達はどうして、この冷たい視線が平気なの?私の後ろの座席にいる術師3人の内1人が私を睨み付けてるかのような── ドスの効いた殺意、鬼と妖は絶対に殺すと言わんばかりの冷酷の声。私がもし鬼だと見抜かれたら───。
きっと 私を───。
考えただけで顔色が悪くなる───。もしこの場で鬼と見抜かれたら…私を殺すに違いない…。人間のフリを続けなければならない…”前にみたいに”町を離れないといけない…でもこの町を離れたら…住む場所を引っ越さないといけない…
雫「っ…」
源三「お、おい大丈夫か?」
目眩がする……映像のように映し出される辛い記憶が蘇ってくる…。
術師に殺されかけ、その場に居合わせた人々に罵声を浴びせられる。殺すつもりはないのに 鬼術で人の命を奪ってしまう、血しぶきを浴びながら怯える自分の姿と人々の悲鳴───。
隣で心配そうに雫の肩を揺らす源三 だけど…
ガタッ!! と椅子から崩れ落ちてしまう。
千鶴「し、雫ちゃん!?」
カスミ「わわわっ!大変!!隊長っ!僕見てきます!」
すぐさまカスミは駆け寄ろうとしたが
風真「いや僕が見てくる カスミは待機だ!」
カスミ「え?!で、でも隊長っ…!」
待機命令を出し、風真は雫に近付く。
(カスミはまだ配属されたばかりで、近付く訳にはいかない。この女が人間の姿をした妖、もしくは鬼である可能性が高い…もし鬼だったら、この夫婦に危険が及ぶ カスミを負傷したら 今回の任務で影響が…)
この女が人の姿をしたのなら…この場で対処しなければ!
警戒をしつつ、彼は雫の身体を抱き起こした。
風真「…大丈夫か?」
雫「うっ…大丈夫です…少し目眩がしただけで…」
“目眩がしただけ”もしかしたら体調が悪いフリをして襲って来るかもしれない。警戒を怠り、すぐに対処出来るよう「立てるか?」と彼女を立たせてる。もし人間だったら体調を崩しただけかもしれないが…鬼と妖の場合、僕を襲いかかる危険性がある───。
雫「へ、平気です…ただ少し具合が───」
ふと目を開けた途端─── 雫が顔を見上げたら警戒する風真と目が合った。
雫「────。」
(綺麗な人……)
顔を見られた彼の、その綺麗な顔立ちに見惚れてしまう───。
綺麗な瞳に美しい粟色の長い髪 その瞳からは冷酷な殺意は感じなかった。
風真「…?な、なにか…どうかされたのか?」
雫「……い、いえ…なんでもないです…」
あまりにも風真を見た途端に見つめる雫に困惑した。困惑する彼女はそっと顔を逸らした。
カスミ「隊長〜!その女性は大丈夫なんですか?」
風真「あ、ああ…問題ない この娘はただ…体調が崩れなかっただけだ」
千鶴「ほっ…よかったわ…多分朝市でこの頃働き過ぎたかもしれないわね」
雫「あの…ありがとうございます。申し訳ないです…」
風真「………」
お礼を言うが、風真は黙った。礼を言う筋合いはない 彼女が人か妖か鬼で判断が曖昧だった。
幸次「それで、どっちだった?この娘は」
ここで妖か鬼だったら対処しなければならないのだが…。
風真「…どちらでもない この娘は…人間だ」
源三「おー!そりゃよかったな!これでバケモンだったら、とんでもなかった!白夜隊が来ていなかったら今頃大変なことになってたもんだ!」
それを聞いた源三は大胆に安心をし、この場にいた千鶴達も一安心した。しかし雫は浮かない顔をした───。
雫「………」
よかった?私が人間?どうして?今までは私は”半分鬼に変異”したら殺されるのに…妖鬼滅は人の姿をしたらで、見抜かれてしまう……。
この人は───。人と妖と鬼の区別がつかないんだ。
雫「あの、そろそろ帰ります。ご飯ごちそうさまです…。確かにここ最近働き過ぎですね、今日は帰って休みます」
雫は稼いだお代を出して笹笠を拾って、「また来ます」と言って店を出た。
千鶴「気を付けてね!」
夫婦は店を出る雫を見送った。心配そうな顔で出入口を見つめた。
カスミ「……あの女性って誰なんです?」
源三「ああ、最近朝市で露店を出してる嬢ちゃんだ。なんでも訳ありで転々として、稼いでるだってさ。今じゃ町から離れた山で1人暮らしてるだってよぉ」
カスミ「この店によく来る?」
源三「朝市が終わった後にな、いつも来るようになったでよ」
千鶴「雫ちゃん、ええ子でな〜 うちの六郎に懐いててねぇ あの子面倒見のええ子やから、優しい子なんよぉ」
カスミ「へ〜そうなんだ!」
風真「………」
夫婦がカスミと話してるその横で風真は黙り込んでいる。先程助けた娘は本当に鬼なのか人間なのか分からない いや、”気配が2つ”混在していた。
(先程助けたあの娘、気配が曖昧だった。彼女を触れた途端…人間と鬼…2つの気配が混ざってた。確かに今まで倒した妖と鬼の中には人間に紛れて、人の姿をしていた者もいたが… )
今までと、気配が2つ感じ取った───。
(あの娘だけが、鬼と人間?いや、そんなことはありえない。少なくともそんな”半分だけ人間”なんて───。)
そう考えて、席に戻ろうとすると…足元に何かを踏んだ。
風真「?何だこれ?」
踏みつけた物を拾いあげると…それは御守りだった。
千鶴「それ、雫ちゃんのじゃない?倒れた時に落としちゃったのかしら?」
源三「そりゃ大変だ!」
雫が倒れた時に御守りを落としてしまったらしい。届けてあげたいが、彼女の家は知らない。町から離れた山で暮らしている為、雫の家に行くには何時間も掛かるどころか、夫婦は店から離れる訳にはいかない 千鶴のお腹には子供がいる為、負担を掛けたくもない
カスミ「あの女性の家は何処に?」
千鶴「さ、さぁ…この町から離れた山に住んでるって聞いたけど…でもあの山には噂があってね」
幸次「その噂とは、一部”霧がある山道”が出るとのことだろう。あの山には霧が出て迷い込んだ者もいる まして───
山を出た後、記憶を失った者がいる─── と噂だ」
この町から離れた山、人々は”彼岸霧山“と呼ばれており この山の霧に入った者は 山を出た後の記憶が失うと噂。
カスミ「そ、そんな山に雫さんは住んでるの?!」
千鶴「えぇ でも大丈夫かしらねぇ 雫ちゃんは」
心配をよそう中、風真は御守りを握り見つめた───。