テラーノベル
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午前三時。
リビングでの岩本と深澤の騒ぎを収めた大天狗――宮舘涼太は、薄暗いキッチンで1人、コンロの前に立っていた。背中には、夜の闇に同化するような漆黒の大きな翼が広がっている。彼はいつも通り、無駄のない手際でお出汁をとり、真夜中のうどんを作っていた。外の世界では気品があると言われる宮舘だが、家の中では普通にグレーのジャージを着るし、メンバーのために夜食を作る普通の男だ。ただ、人間の何倍もの時間を生きる大天狗である、という点を除いては。
宮舘「……よし。味もしっかり決まったな」
小さく呟き、お玉でスープをすくって味見をする。そこへ、パタパタとスリッパを引きずる軽い足音が、静まり返った廊下から響いてきた。
渡辺「……ん。涼太、何作ってんの。めっちゃ良い匂いすんだけど」
現れたのは、雪男の渡辺翔太だ。眠気で目が半分しか開いておらず、白いスウェットの袖をだらしなく伸ばしている。渡辺が近づくだけで、キッチンの温度がすっと2度ほど下がった。雪男の持つ天然の冷気だ。
宮舘「翔太か。さっきの照たちの声で、起こした?」
渡辺「いや、なんか小腹空いて目が覚めちゃって。……うどん?」
宮舘「そうだよ。ちょっと食べる?」
渡辺「食べる。ちょうど温かいもん食いたかった」
渡辺はカウンターの椅子にどさりと腰掛け、机に突っ伏した。宮舘は手際よくうどんを2つの器に分け、ネギを散らして渡辺の前に置く。
宮舘「熱いから気をつけなさい」
渡辺「ん……。いただきまーす」
渡辺がふーふーとお湯気を吹きながら、うどんをすする。
渡辺「うまっ。涼太の作る出汁、まじで落ち着くわ。身体に染みる」
宮舘「それは良かった。出汁から丁寧に引いた甲斐があったよ」
宮舘も隣に座り、自分の分のうどんを食べ始める。どこにでもある、普通の恋人同士の静かな夜食の時間。だが、二人が交わす言葉には、300年以上を共に生きてきた妖怪だからこその、深く穏やかな絆が混ざり合っていた。
渡辺「なぁ、涼太。俺さ、たまにふと思うんだよね」
うどんの湯気の向こうで、渡辺が器を持ったままボソッと呟いた。
宮舘「何だい?」
渡辺「俺たちってさ、妖怪じゃん。人間と違って、何百年も姿が変わらないだろ。だから……俺のこの『涼太が隣にいて当たり前』っていう気持ちも、いつの間にか凍りついちゃって、慣れちゃってんじゃないかって」
雪男である渡辺は、自分の心が冷めていくことを時折恐れていた。何世紀もの時間を生きるということは、それだけ感情が摩耗していくリスクと隣り合わせだからだ。宮舘は箸を置き、じっと渡辺を見つめた。大袈裟な芝居がかったトーンではない。本当に、心からの、大天狗としての強い意志を言葉に乗せる。
宮舘「翔太。君の雪男の冷気は、僕の天狗の風でも吹き飛ばせないくらい強い。だけどね……僕が君を想う熱量だけは、絶対に凍ることはないよ。300年前、君と初めて会った時から、僕の胸の中の温度は1度も下がっていない。それが僕の、大天狗としての本能だからね」
宮舘はそっと手を伸ばし、渡辺の少し冷たい手を、自分の大きな手で包み込んだ。
宮舘「冷めてなんかいない。ほら、ちゃんと僕の体温が伝わっているでしょ?」
渡辺「……っ、うっせ。うどん伸びるから早く食えよ」
渡辺は耳まで真っ赤にしながら、ツンとした態度でうどんを口に運んだ。しかし、宮舘の手を振り払うことはしなかった。大天狗の持つ力強い体温が、雪男の冷えた手を、そして心を芯から温めていく。
渡辺「……涼太」
宮舘「何だい、翔太」
渡辺「……明日も、俺の隣にいろよ」
宮舘「言われなくても、離れるつもりはないよ」
宮舘は照れる渡辺の頭を優しく撫で、その乱れた前髪をそっと整えてあげた。渡辺はスウェットの袖で口元を隠しながらも、宮舘の胸にコト、と頭を預けた。窓の外には、静まり返った東京の夜景が広がっている。それぞれの少し不器用で、だけど底なしに深い愛を確かめ合いながら、妖怪たちの甘くて静かな夜は、ゆっくりと更けていくのだった。
KamassKRRR (くらリ
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コメント
2件
(´Д`)ハァ…たまらん好き❣️
みぅです🤍🥀 夜中のうどん、最高すぎる…! 宮舘くんが作る夜食、出汁から引いてるところがもう尊い。翔太くんの「この気持ちが凍りついて慣れちゃうんじゃないか」って不安、雪男だからこその切なさがあって胸がギュッてなった。でも「300年前から温度は下がってない」って宮舘くんが言い切るのが力強くて、ふたりの静かな夜の時間がすごく愛おしかったです。照れながら手を振り払わない翔太くんのツンデレ感、たまらん…🤍