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スパネイは砂漠になっているところが多々あり、少しの歩きずらさがカトの少ない体力を擦り削っていった。
オアシスが見えて元気が出て歩けるかと言えば、足場が悪いせいでカトはしょっちゅう転んだ。
その度にカトは自分の体力の無さ、運動神経の悪さにストレスを感じていた。
そんなとき、遠くから誰かが歩いてくる陰が小さく見えた。
盗賊・・・?
不安な気持ちを消すことはできなかったものの、カトは金魚の言っていたことを信じてそのまま歩いた。
しばらくすると影はどんどんクッキリと見えるようになり、それが盗賊だということがわかっていった。
盗賊たちは体がとてもがっしりしていて、とてもカトには程遠いいほどに威圧感があった。
しかしカトが盗賊たちのことを気にしていれば、逆に盗賊たちはカトに興味が無い様で、カトと目が合うことは無かった。
盗賊達とすれ違う1歩手前で、カトと目が合った。
盗賊はカトを下から上へとじろじろ見た後、興味を失くしたようにそっぽを向いた。
カトは盗賊の謎な行動に不安を抱きながらも、なるべく真っ直ぐ前を見て歩こうとした。
結局、何事もなくカトと盗賊はすれ違った。
ちょっと怖かった・・・。
カトはそのまま歩き続けたが、体力が限界に近づいていた。
「ドサッ」とその場に座り込み、遠くに見える青空を眺めた。
「はぁー。」
カトはそのまま一息つくことにした。
昼間の青空。
夜空の方がもっともっと遠くにある気がするけど、空の青さが心を綺麗に掃除していくような優しさが感じられる。
晴ればれした心に吹き付ける新鮮な風は温かく包み込むように心地いい。
カトは一瞬目を閉じて眠りに落ちそうになった。
しかし、どうもバッグの下にある太ももがひんやりした。
冷たい・・・。
カトはバッグの中に冷たい何かを入れた覚えはなかった。
気になってバッグの中を覗けば、バッグの中にはとても冷えた水が入っている筒状の入れ物がいくつも入っていた。
誰が入れたの・・・?
カトの頭の中に思い浮かんだものは盗賊のことだった。
でもなんで、盗賊が僕のバッグの中に水を入れるんだろ・・・。
盗賊がカトのバッグの中に水を入れて何の意味があるのか、カトには全くわかるはずがなかった。