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『魂響の青藍』
第一話「幸せ?」
幸せですか?
――あぁ、とても幸せ……のはずだった。
僕の名前は傀儡夜 絢(くぐつや あや)。
生まれつき体が弱く、病気のせいで指先しか動かすことができなかった。外に出ることもできず、ただ薄暗い部屋で寝たきりの生活を送る毎日。そんな僕の退屈な世界に、光を灯してくれたのはお兄さんだった。
「絢〜! 寝たっきりじゃつまんないだろ〜! 裁縫しようぜ!」
お兄さんはいつも明るく、僕の手を取って一緒に色々なものを縫ってくれた。
針を動かし、糸を紡ぐ。お兄さんとの裁縫はとても温かくて、楽しかった。その楽しい日々に引っ張られるように、僕の病気は少しずつ、徐々に良くなっていったんだ。
こんな幸せな日々が、ずっと続けばいい。そう、心から思っていたのに。
「絢!! お前だけでも生きろ!!」
ある夜、突如として現れた化け物――鬼を前に、お兄さんは必死な顔で、大きな人形を僕の身体へと投げつけて隠してくれた。
暗闇の中、人形の隙間から外の様子を伺う。お兄さんは、家族は大丈夫なのだろうか。お兄さんは生きているのだろうか。胸が張り裂けそうなほどに心配だった。
けれど、人形の陰から這い出た僕の目に飛び込んできたのは、最悪の光景だった。
「――え……」
お兄さんは、全身が冷たい金色になってガチガチに固まっていた。そして周りには、食い荒らされた家族の姿。
「実にいいコレクションだよね! 君もそう思わない?」
おぞましい声。気づかれてしまった。もうダメだ、終わった。そう絶望した、その時だった。
「なんだ……これ」
一人の青年が、部屋の窓を破って飛び込んできた。
……あ、彼も癖っ毛の角が生えているじゃないか。この人も鬼なんだ。だったら、僕の命はここで終わるのだろう。そう思った。
「また美味しそうな小僧が入ってきたね。一応、僕は羅金(らきん)。無惨様の付き添い、ってやつ? まぁ上弦ではないんだけどね。君は? まぁ、聞いても殺すから良いんだけどね」
「お前に聞かれる筋合いはねぇよ」
そこからは、言葉を失うほどに激しい戦いだった。
青藍色の刀を振るうその人は、鬼ではなく、僕たちを助けにきてくれた『鬼殺隊』だった。
僕は残念ながら、今までずっと病気で寝たきりだったから人とあまり話したことがなくて、これからどうするべきかその人に聞きたかったのだが……恐怖と緊張で、どうしても声が出ない。
「大丈夫か?」
「……」
「っ……あ……」
なかなか声が出ない。届かない。
やっぱり、僕みたいな弱虫の声は誰にも届かないんだ。そう諦めかけた時、その人はぶっきらぼうに僕に告げた。
「鬼殺隊になりたいんだったら、絡繰庵 ぜんまい、という者を尋ねるといい」
その言葉だけを心の支えにして、僕は必死に歩き続けた。
そして今――僕は、この不気味な(?)ひょっとこのお面が飾られた家の前に立っている。
ここから、僕の新しい運命が始まるんだ。
――第一話・完――
コメント
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読了しました🌙 第1話からすごく重い幕開けで、心がぎゅってなりました……。お兄さんとの温かい日々があってこそ、あの最悪の光景が一層切なく映りますね。「幸せのはずだった」という冒頭の一文がもう効いてます。癖っ毛の角が生えた青年、どうやら鬼殺隊の方ですよね。青藍色の刀…タイトルの『魂響の青藍』と繋がってるのかな。絢くんが声を出せないもどかしさも伝わってきて、続きが気になります🥀
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