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第十七話:伝承の波紋と、白銀の葛藤
「……『えっちな事をすると魔力が消える』、ね」
放課後の『ハーレム部』部室。
朱音から聞いたサキュバスの伝承を白銀美咲に伝えると、彼女は静かに眼鏡の枠に手をやり、深く溜め息をついた。
「どうした白銀? 驚かないのか?」
「驚くも何も……サキュバスの古文書には確かにそう記されているわ」
白銀さんは視線を少し落とし、教卓の上の書類を愛おしそうになぞった。
「本当に愛した男の人に自分のすべてを捧げた時、サキュバスは本能の呪縛から解き放たれ、ただの人間になる。……でもそれって、私たちにとっては『一生に一度しか使えない命がけの契約』なのよ」
彼女の瞳に、かすかな迷いと切なさが宿る。
「サキュバスにとって魔力を失うことは、誇りを捨てることと同じ。……それを分かっていてあんな告白をするなんて、朱音のやつ、本気も本気ね」
「白銀……」
「……タカシくん」
白銀さんはスッと立ち上がり、ゆっくりと俺に歩み寄ってきた。
いつもならツノや翼を誇示して迫ってくる彼女だが、今はその背中に悪魔の気配は一切ない。
「私だって……負けてないわ」
彼女の手が恐る恐る伸ばされ、俺の制服の胸元を優しく掴んだ。
呼吸が触れ合うほどの至近距離。眼鏡の奥の紫色の瞳が、甘い魅了の光ではなく、純粋な不安と期待で揺れている。
「もし……もしも私が、サキュバスの力も誇りも全部捨てて……『ただの白銀美咲』になりたいって言ったら……タカシくんは、受け止めてくれる?」
「白銀……」
サキュバスたちの思いが、「精気を奪う狩り」から「自分のすべてを捧げる覚悟」へと変わりつつあった。
その時——
バンッ!
部室のドアが容赦なく蹴り開けられた。
「そこまでよ、二人とも!」
現れたのは、腕を組んで仁王立ちする生徒会長だった。その背後には生徒会役員のサキュバスたちがずらりと並び、冷ややかな、しかしどこか焦りの混じった視線を注いでいる。
「美咲、朱音だけに先を越させないつもりでしょうけれど……生徒会を置いてけぼりにするのは許さないわ」
生徒会長はニヤリと不敵に口元を歪めた。
「次の週末、全サキュバス合同の『校長代理争奪・合宿訓練』を執行するわ!」
主人公を巡るサキュバスたちの本気バトルは、ついに学園を飛び出し、新たな波乱の展開へと突き進んでいくのだった。
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梨本和広
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桜咲かな
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コメント
1件
第17話、読み終わりました! 白銀さんの「ただの白銀美咲」になりたいっていう台詞、すごく響きました。伝承を知ったからこその覚悟と不安が、彼女のツンデレじゃない本心として伝わってきて…。そこに生徒会長の乱入&合宿宣言! 一気に学園全体の争いになる感じがアツいです。朱音も白銀も本気なら、生徒会長も負けてない。次の展開が待ち遠しいです!