テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
雑談をしながら、楽しくわちゃわちゃしてたら時間が迫ってきた。
「佐久間さんは、仕事とか大丈夫なんですか?」
「俺、今日offなんだよね!!」
「え?せっかくのoffなのに時間これのために使っちゃっていいんですか?!」
私が戸惑いながら言うと、佐久間さんは落ち着く笑顔を見せてくれた。
「もちろん!ツナとシャチの恩人だもん、近くにいたいよ。」
そう言われた時、心が揺れた。
「あ、私そろそろ帰りますね。」
「え〜、、帰っちゃうのぉ…」
「すみません…」
「家、家族と暮らしてるの?」
「いえ、今両親は夫婦旅行で家には私だけです。あと、弟はもういません…」
「申し訳ないんだけど、どうして…?」
「弟は、交通事故で亡くなったんです。でも、最後に可愛くて明るい元気な走りを見れて良かったです。ですが、それが悲しみに変わってしまうなんて…」
「そうだったんだ、でも弟さんはきっと喜んでるよ。」
佐久間さんの言葉に動揺した。
「だって、最初の時はまぁ自分だけの意思で走り出して行っちゃったんだけど、2回目は、ちゃんと守ってくれたから。」
「違うんです、弟は父に押されて車に轢かれたんです。あの時私も幼かったので知らなかったです。ですが、最近知れたんです。私が父にそのことを言った突然に父が母と旅行に行ったので…」
「それでも、喜んでるよ。」
つい佐久間さんの言葉に涙が出そうになった。
私は泣き虫、涙脆いからこんなの我慢できない。
でもいつもは、我慢をしなくてはならないから泣けなかった。
苦しかった。
「泣いていいよ。泣きたい時に泣きな、笑いたい時にまた笑えるから」
佐久間さんはそう言いながら、私をギュッと抱きしめてくれた。
こんなに素敵な人がこの世にいたなんて、もっと早くに気づけば良かった…
そう思いながら、たっくさん泣いた。
子供のように。