今回は番外編。
主に絡むことが少ない青城との夢です。
(青城は烏野近くに合宿へ来てるよ)
それではどぞ。
及川side
(はぁー・・・、また振られた・・・・・・)
俺は部屋の枕に顔を埋める。
2週間ほど前に付き合い始めた女の子に、今日メッセージでバレーやりすぎという理由により振られた。
(バレーしてる俺が好きって言ったじゃん・・)
(もう何人に振られたんだろ・・・)
俺はふと西川ゆりちゃんとのDMを開く。
(この子と会ってから3ヶ月くらいか・・・)
初めてゆりちゃんに練習試合で会ってから、いつの間にか結構仲良くなりもう何回か遊びに行ったりもした。
(あ”ーーーー・・・、)
(俺がしてることって逆効果なのか・・・?)
そのせいで、分かってしまった。
この及川徹は、西川ゆりちゃんが好きになってしまったのだ。
あんまり信じられなくて、きっと勘違いだと色んな子と付き合った。でもダメだった。
好きだからいつも通り積極的にアプローチしたいのに、なぜだかゆりちゃんを目の前にすると傷つけたくなくて変になってしまう。
(彼氏でもないのにさ・・・)
俺はぼーっとメッセージを送る。
【やっほ〜👋部活終わった?】
(・・・もし、付き合えたとしても、)
(他校なんて不安にさせちゃうだろうしな、)
今までこんなこと考えたことない。
こんなに大切にしたい、辛い思いをさせたくないと思った人はいない。から分からない。
(最近はバレー・・・も、あんまり・・・)
(・・・・・・楽しくないんだよ、)
また枕に顔を埋めると、DMの返信が来る。
〖終わりましたよー!〗
〖及川さんって合宿中でしたっけ?〗
【うん、今日も楽しかったよ😊】
(・・・はは、嘘ついちゃった)
(・・・会いたいなぁ、)
俺はついメッセージを送ってしまう。
【ゆりちゃんって○○公園近いー?】
このメッセージの本心は、俺も今近いから会いたい、だ。
(・・・いやいや、かっこわる、)
俺はすぐにメッセージを取り消す。
(まだ既読ついてなかったし・・・見られてないよね、)
ぼーっとDM画面を眺めていると、数秒たった後何か考えがまとまったようにゆりちゃんからメッセージが送られてきた。
〖○○公園集合で会いませんか?〗
【え?】
〖及川さん、元気ないですよね。〗
〖会いたいです。〗
【ちょ、え今から??】 〖はい。〗
〖もう家出てます。及川さん抜けれますか?〗
【全然抜けれる、けど、】
【てか危ないでしょ!電話かけるよ!】
〖はい。公園で待ってます。〗
(あーーー・・・もう、)
(なんでバレちゃうのかなー・・・、)
俺はすぐさま起き上がり上着を羽織る。
岩泉「あ?!おいクソ川!!」
岩泉「今からミーティングだぞ!!」
及川「ごめん岩ちゃん!」
及川「でもこれだけはほんとに、行きたい。」
松川「・・・まーまー、行かせてやれよ」
及川「! まっつん、」
松川「あとでラーメン奢りなー」
及川「うん。ありがとう!」
まっつんの協力により抜け出せた俺は、ダッシュで公園へと向かった。
西川side
公園に着き及川さんとの電話を切ってから数分、私はぼーっと夜空を見ていた。
(・・・悪いことしちゃったかな、)
(急に会いたいなんて、)
涼しい風を頬で感じていると、足音がする。
正面を見ると息が荒い及川さんがいた。
『あ、及川さん。』
及川「ご、ごめんね、おそ、遅くなった、」
『走ってきたんですか。』
私は隣に及川さんを座らせる。
及川「でも急にどうしたの〜?」
及川「まさか及川さんに惚れちゃった?笑」
『・・・・・・』
(・・・ああ、無理している笑顔。)
(バレバレですよ。)
私は黙ったまま及川さんに背を向ける。
『・・・余計なお世話だったらすみません。』
『でも、背中、貸しますよ。』
及川「ぇ・・・・・・」
及川さんの顔は見えないが分かる。きっと困惑しているだろう。
(もっと、分かりやすい言い方のほうが・・・)
しばらくの沈黙が続く。
及川「・・・・・・ごめんね、」 『!』
言い直そうかと考えていると、私の背中に及川さんの頭が寄りかかる。
耳には鈴虫と風の音しか聞こえなかった。
及川「・・・・・・すっ、ずっ・・・」
『・・・・・・』
(及川さんの体、震えてる。)
(これが、なんだっけ・・・男泣きかな。)
及川「・・・ぐす、すっ・・・・・・」
及川さんの呼吸が聞こえる。
私はぼーっと、及川さんが落ち着くまで黙って夜空を見上げていた。
しばらくして、及川さんの体の震えがおさまったのに気づく。
『・・・及川さーん、落ち着きましたか?』
及川「・・・ぅ”ん、・・・・・・」
『ふふ、声ガラガラじゃないですか、』
私が及川さんの方へ体を向けようとすると、突然バックハグで固定される。
『・・・!及川さん?』
及川「い”ま、俺の顔かっこよくないがら、見ちゃだめ・・・」
『何言ってるんですか!』
『及川さんはいつでもかっこいいですよ。』
及川「・・・・・・・・・」
『だからそっち、向きますね。』
くるっと振り返ると、そこには目の下に泣き跡がある及川さん。なんだか小さな子供みたいでつい頭を撫でる。
及川「ん、?!なに・・・?!」
『・・・はっ!あ、あすみません!!つい!』
『・・・コンビニでアイスでも買いますか?』
及川「ん、いいね、!」
私の提案により近くのコンビニで好きなアイスを買い公園のベンチに戻る。
及川「・・・ごめんね、ゆりちゃん」
『? なにがですか?』
及川「俺情けないところ見せちゃって、」
及川「君の前ではかっこよくいたいのに・・・」
『ふは、なんですかそれ!笑』
私は軽く笑ってから上を見上げる。
『・・・及川さんは、情けなくもかっこ悪くもないですよー。チームメイトを引っ張る、超かっこいいセッターで主将です!』
『少なからず私は尊敬してますけどー!』
及川「・・・・・・でもさ、最近・・・」
『バレーが楽しくないんですか?』
及川「な”っ、なんでバレるの?!!」
『及川さんバレバレです。笑』
『・・・別に、バレーに固執する必要も無いとは思います。及川さんは多才だし。・・・けど、』
及川「けど?」
『・・・私は、バレーしてる及川さんが・・・も!好きですよ。』
及川「へ・・・??」
『楽しくなくなったら、私とだけでもバレーしましょ!』
及川「う、うん・・・・・・」
『? 及川さん?』
話終わると、手元のアイスをぼーっと見つめ黙り込む及川さん。なんだろうと眺めていると、突然耳を赤くしながらこちらを向いた。
及川「・・・俺さ、・・・ゆりちゃんが好き。」
『・・・え、?、え?!!///』
(と、突然何言ってるの?!?!)
及川「まだ、ゆりちゃんが俺を好きじゃないのはわかってる。」
『え、いやちょ・・・!!///』
及川「でも俺、しつこいから。」
及川「大人になっても俺の物になるまでずっと言い寄るから、覚悟しといてよ。」
『はっ、はあぁ?!///』
人生初のストレートな告白。私は頭真っ白になったと反対に、耳まで赤くなる。
混乱していると、及川さんが立ち上がった。
及川「・・・そろそろ戻らなきゃ!」
及川「ほら!ゆりちゃん立って!危ないから送ってってあげる!」
『え、は、はい・・・!』
勢いに押された私は立ち上がり及川さんに手を取られたかと思いきや走り出される。
(いやはっや・・・!)
『ちょっ、及川さん・・・!!』
及川「・・・・・・ゆりちゃん。」 『は、はい?!』
後ろからしか見えないが、及川さんの手が異常に熱くなる。
及川「・・・俺の事、異性として認識した?」
『えぇ?!///』
及川「してくれなきゃ困るけどねーー」
『し、したに決まってますよ・・・///』
及川「∑(Ꙭ」 『なんです💢///』
及川「・・・ふは、なら良かった。」
さっきの無理やり作った笑顔を忘れるほど自然に笑う及川さん。相変わらず足は早いけど、風が気持ちいい。
(元気・・・でたかな!良かった・・・!)
『・・・及川さん!』
及川「んー?」
『いつでも頼ってくださいよ!私がなんでもお相手しますから!』
及川「・・・!うん、好きだよ。」 『💢///』
暗く涼しい夜道を、2人で駆けた。
終わり.