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狭いワンルームのソファに、透也はだらしなく寝そべっていた。白シャツのボタンは外れ、ネクタイは緩み、酒と香水の匂いが薄く漂う。
「……お前、また朝帰りか」
玄関に立つ健介は呆れたようにため息をついた。スーツ姿の彼は、今日も完璧に仕事をこなしてきたのだろう。タイの締め方ひとつ乱れがない。
「へへ……健介、帰り遅かったねぇ」
「お前が寝てる間に働いてたんだよ」
透也は甘えた声を出しながら、ソファの背にもたれる。片手で額を押さえ、じろりと健介を見上げる。
「俺さ、今日はもう、動けなーい……」
「知るか。シャワーくらい浴びろ」
「ええー、面倒くさい」
「ったく……」
健介はネクタイを緩めながら、透也の腕を引っ張る。
「ほら、起きろ。ベッドに行け」
「えー、だったらさ、運んでくれたら行ってもいいよ?」
透也がにやりと笑う。健介はしばらく睨みつけていたが、諦めたように肩を落とし、ソファに膝をついた。
「……ったく、仕方ねぇな」
「お、マジで?」
「お前がグダグダ言って動かねぇなら、強制的に動かす」
そう言って健介は透也の腰を抱え上げた。
「うおっ!? け、健介、いきなり……っ」
「うるさい。黙ってろ」
ずるりとシャツの裾が捲れ、肌があらわになる。健介の指が無造作に撫でると、透也の身体がぴくりと跳ねた。
「……っ、ん……」
その反応に、健介の口元がわずかに歪む。
「お前、だらしないくせに、こういう時は素直だよな」
耳元で低く囁かれると、透也の心臓が跳ねる。首筋を伝う熱い息が、ゾクリと背筋を撫でた。
「ちょ、ちょっと待って、俺ほんとに今日は疲れて……んっ」
言葉を遮るように、健介の唇が重なった。舌先が滑り込み、絡みつく。
「ん……っ、は……」
唾液が混ざり合う音が室内に響く。透也の指がぎゅっとソファの背を握りしめた。
健介の手がゆっくりと透也の背を撫で、肌に熱を移していく。指先がなぞるたびに、透也の身体がかすかに震えた。
「……っ、健介……」
「おとなしくしてろ。今日はお前が悪いんだからな」
低い声が耳をくすぐり、透也は思わず唇を噛む。
シーツの上に押し倒され、熱を孕んだ瞳が絡み合う。鼓動の音が近づき、肌と肌が触れるたびに、二人の間の熱がさらに高まっていく。
抗えない熱が、今夜も二人を包んでいく。