テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

カフェの朝。

まだ空気がひんやりしている中、環奈はいつもより早く店に着いた。

「おはようございます、松村さん。」

「おはよう、環奈さん。」

しかし、優一郎の顔にはどこか影があった。

いつもの穏やかな笑顔が少しだけ消えている。

「……大丈夫ですか?」

「うん、ちょっと考え事をしてて。」

環奈は胸がざわついた。

いつも頼もしい彼のその“迷い”が、どうしても気になった。

***

その日の午後。

環奈はカフェの片付け中に、小さなミスをしてしまう。

「ごめんなさい、優一郎さん。コーヒーの注文を間違えちゃって……。」

優一郎は深呼吸をして、優しく笑った。

「大丈夫、誰にでも失敗はあるよ。でも、焦らず落ち着いていこう。」

その声に、環奈の胸は熱くなった。

「ありがとうございます。……私、もっとしっかりしなきゃ。」

「環奈さんは十分頑張ってるよ。」

でも彼のその言葉の裏に、どこか寂しさが隠れているのを感じた。

***

閉店後、二人きりの店内。

優一郎がぽつりと言った。

「実は、転職を考えているんだ。」

「え……?」

環奈は驚きで声が出なかった。

「今の仕事は自分に合っているか分からなくて……。新しい環境で、自分を試してみたいと思って。」

環奈はその言葉を受けて、胸が締めつけられるようだった。

(彼が新しい場所へ行くなんて……)

「環奈さんと、もっと一緒にいられなくなるかもしれないんだ。」

その瞬間、環奈の心に強い想いが湧き上がった。

「私……その前に、伝えたいことがあります。」

「何?」

環奈は深呼吸をし、言葉を選んだ。

「私、優一郎さんのことが好きです。」

静かな店内に、彼女の声だけが響いた。

「……環奈さん。」

優一郎の目がじっと環奈を見つめる。

「ありがとう。僕も、環奈さんが特別だと思ってた。」

二人の間に、言葉にできなかった想いが、ようやく形を持ち始めた。

***

翌朝、カフェの窓から差し込む光が二人を優しく包み込んだ。

不安もあるけれど、

それでもこの瞬間が、何よりも大切だった。


つづく

いつまでも優しい恋愛

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

5

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚