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2ヶ月後…


ここ2ヶ月の記憶は混濁している。なんか、生きてるのか生きてないんだか、どうにも覚えていないような期間があった。…あの電話があってから、まだ、スミレは帰ってきていない…とおもう。まあ、それを確かめるために、今からスミレの家へと向かうところだ。

元から頭がいいんだ、あと、頑固だし。なんとかして必ず生きてやろうとはちゃめちゃな努力をしているはずだ。だってそういうやつなのだ。スミレは。


ぎゅっとガラケーを握りしめる。あ、冷たい…。と思えばすっかりと冷え切った空気が肺に入って少し苦しい。そういえば、この不思議なことがあったときにはまだ季節の変わり目だったのに、今となっては冷たい空気で満ち満ちている。


あ、缶コーヒーを買うのを忘れた。つい前にこの道を通った時には温かいコーヒーを飲みながら通ったと言うのに…。損した気分だ。


いや、またこんな関係ないことを考えて…。だめだだめだ。なにか、気になることがあるとか、緊張するようなことがあると、すぐ物思いにふけるのは私のよくないところだな。と改めて思う。あと少しだ…もう少しでスミレの家に着く。私は少しだけ、歩く速度を早めた。



…ついた。インターホン…やっぱりドキドキするなぁ、私って小心者なのか…?度胸がないと言うか…。いや、うーむ…



ドッ…


!?


あれ、何かが、ぶつかって。


『なぎ…っ!』


「あ、ぇ…」




この声は、この私を呼ぶ声は…3ヶ月前に聞いた…


『なぎ!なぎ!!』


「いてて、」


思わず、倒れてしまって尻餅をついたが、そんなのはどうでもないと思うような光景が、目の前にあった。


生まれた時から一緒にいた。やんちゃで、地頭が良くて、面倒見が良くて…そして…私の一番の親友が…

いる。

目の前にいる。髪に手を伸ばしてみるが…触れられる。


「スっ、スミ…レ?」


『…っ〜!』


ひとつ、またひとつと大粒の涙が溢れてしまっている。その涙が私にかかる。


泣いてしまっているんだ。

そう思ってしまうと、どうにも、体が勝手に動いてしまう。気づいた時には、すみれを抱き寄せていた。



スミレがだばだばと涙を出している。涙の量がむしろ増えているような気もするが…。

私の肩がジワリと濡れていく。不快じゃない。そんなことですらも、一度死んだ親友が今ここにいるという事実のように思えて、愛おしく、尊い。



「…スミレ、戻ってきたんだね」


ばっと顔を上げて、涙でびしょびしょなのに、ふわっと笑顔を作り

『うんっ…!』

まったくひどい顔だ。笑ってしまったじゃないとりあえず、玄関の前でずっとこんなことしているわけにはいかないので、家に上がらせてもらうことになった。


一緒にお茶を淹れてから適当にテーブルに座って今までスミレがなにをしていたのか聞くことにした。



「大変だったとは言ってたけど、なにしてたのかなって。」



『んー…とね、2ヶ月の間にあったことだから、ちょっと長くなるけれど…。まず、この2ヶ月間は、凪からすると2年前であるこの私がどういうアクションを起こすと未来へと影響があるのかって考えていたの。』


「ほーぉ…?」


『わかりにくかったかしら…まあ、取り替えず、どうやったら未来が変わるのかを少し考えてたのよ!』


「なるほどー!!やっぱり頭いいんだな〜…!」


『ふふふ!結構がんばったわ…!まあ、元々凪と電話してた時に試してたことはあったから、この未来改変は捗ったんだけど…。』



「えー?試してたことってあれかな?仏壇の写真のやつ?あれって実験の一つだったの?」


『そう!』


「ははは〜ん…君ってほんと策士だなあ…。」


『長所ってことでいいわよね!』


「末恐ろしい…!」


『ふふん!ま、これで帰ってこれたしね〜!』



「あー…って、肝心なこと聞くの!わすれてたよ!

どうやっていきて来れたのさ!」



『そぉね…。ま、これもSFの類のせいなのかわからないんだけど…。自分の中で”誓った”の。ただの誓いじゃない。魂をかけたような感じだったわ…。』


『そうしたら、時は過ぎていて、こっちに来てたの。』



「ん?つまり、根性論的な?」


『ちょっと違うけど、そんなもんね!長く生きていたい、命を大切にする。また友達と会いたい。ってところを誓ったし、願ったって感じ!』


「ふむ…。」


『私がボロボロなのは、ほとんど休まずに未来改変とは何かを探していたから。ね。決して汚いみたいなことじゃないわ!本当に、走り回ってたからね…』





。…気づいた時には、私の頬も濡れていた。





『会いたかった…!…ただいまっ…!』


「うん…っうん!おかえり…!待ってたよ…。」


『〜っ!大変だったあ!がんばったよ、わたし!』


「…ありがとう頑張ってくれて、ありがとう…っ!また会えてすごく嬉しい…!」


『かお、ぐしょぐしょじゃないの!』


「スミレもだよ!」


『「っははは!」』


とりあえず、玄関の前でずっとこんなことしているわけにはいかないので、家に上がらせてもらうことになった。


一緒にお茶を淹れてから適当にテーブルに座って今までスミレがなにをしていたのか聞くことにした。



「大変だったとは言ってたけど、なにしてたのかなって。」



『んー…とね、2ヶ月の間にあったことだから、ちょっと長くなるけれど…。まず、この2ヶ月間は、凪からすると2年前であるこの私がどういうアクションを起こすと未来へと影響があるのかって考えていたの。』


「ほーぉ…?」


『わかりにくかったかしら…まあ、取りあえず、どうやったら未来が変わるのかを少し考えてたのよ!』


「なるほどー!!やっぱり頭いいんだな〜…!」


『ふふふ!結構がんばったわ…!まあ、元々凪と電話してた時に試してたことはあったから、この未来改変は捗ったんだけど…。』



「えー?試してたことってあれかな?仏壇の写真のやつ?あれって実験の一つだったの?」


『そう!』


「ははは〜ん…君ってほんと策士だなあ…。」


『長所ってことでいいわよね!』


「末恐ろしい…!」


『ふふん!ま、これで帰ってこれたし〜!』



「まーあそれもそっか…って、肝心なこと聞くの忘れてたよ…!一体どうやって帰って来れたのさ!」



『そぉね…。ま、これもSFだし、論理じゃあ説明できないものなんだけど…。ある時に自分の中で”誓った”の。ただの誓いじゃない。魂をかけたような。祈りに近かったかも。で、その祈りは試行錯誤するとき、未来の自分を思い描くとき…凪の笑顔を思い出すときごとに増していっていたらしいの。それからも、祈って時が進んでまた考えて…祈って…そうしたら、時は過ぎて、こっちに来てたの。』



「…んん〜?つまり、根性論的な?」


『ちょっと違うけど、…まぁそんなもんね!長く生きていたい、また友達と会いたい。って必死になった。』


「ふむ…。ほんで、あんなに身なりちゃんとしてたあのスミレがいま、こんなボロボロなのさ」


『…んーそれは…ほとんど休まずに、未来改変とは何かってのを探していたからかな。本当に、ずっと走り回ってたから…検証もかなりやったわ。』


「なるほど…全部はわからなかったけど。とりあえず、この2ヶ月間はただただ頑張ったんだね…。」


『2ヶ月か…電話があった日から…。ま、結局なにが引き金となって、未来の改変が行われたのかはわからないけど…。深く考えないようにしておくわ。時の捻れ系統は触れたくない。もうこれ以上変えたくないから。』



「…そう…だね。」


「とりあえずさ、今後について話そうよ!振り返るのは、もう終わり!ちょっと準備してから、いつものカフェ、行くよー!」



ぐい、とスミレの裾を引っ張って誘う


『と、突然…まあ、いいか!私もあのカフェ久しぶりに行きたい!』



もう思い出じゃないんだ。私とスミレは、未来を生きている。


「へへ、ほんと、久しぶりだね。」


私は、少し着込んでから玄関扉を開けた。



…スミレも、凪の後を追うようにして、家を出る。が、振り返り、何かを忘れたのか、踵を返して家へ戻ってしまった。



そうして、小走りで戻ってきたスミレの手にはガラケーが握られていた。


ガラケーをパカリと開け、死んでしまったように動かない黒い画面に、耳を当てる。



『…やあ、私はカワリバ!私は、幸せ者だわ!』

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