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貴方への手紙を今、書き終えた。
静まり返った暗い部屋にカーテンの揺れる音だけ聞こえる。もう寒く、冷えきった部屋。あの時には戻れないと、この夜が教えてくれる。
「あの時に戻れたら…」
その言葉を放って私は眠りについた。
「絵美ーっ!先生の話聞いてた!?」
私の声に絵美が重たそうなまぶたで応えた。絵美は幼稚園からの幼なじみだ。好きなものを好きと言える彼女にずっと憧れていた。
「聞いてなかったぁ〜。なんて言ってたの?」
そう言いながら重たい腰を上げた。一緒にロッカーへ向かう。
「夏休みに専門学校の授業受けたら単位もらえるってよ!行こっ!!!」
単位が取れると聞いたら絵美は絶対行きたがる。
「まじで!?それだけで単位もらえるの?何日間?」
予想外の返答が帰ってきた。しかし、今日の私は絵美を説得しに来たのだ、このくらいの情報は持っている。
「6日間!」
ざわざわした空気の中誰よりも声が大きかった。その証拠に何人かと目があった。
「6日間か〜。結構長いね。」
絵美が声に出しながら悩んでいる。これくらいならあと一歩だ。
「3日間ずつ別れて受けて1単位だよ!絶対楽しいよ! 」
説得力の欠片もない私の感想しか出なかった。
「しょうがないな〜」
絵美はそう言いながら私の手を取り、目的地をロッカーから職員室に変えた。
「「真希ちゃーんっ!」」
2人で担任の先生を呼んだ。
ゴンっ!!!
頭が急に重くなった。上を見ると体育教師が名簿で頭を抑えてきた。
「先生を名前呼びするな」
笑いながら言ってきた。しかし私は知っている絵美にはやられてない。私だけだ。
「はいはーい。ちなみに私だけ殴られてるんだけど、先生私の事ちょー好きじゃん」
「ばかだな。俺は嫁さん一筋だ。」
そんな話をしてるうちに、担任の真希ちゃんがきた。
「2人してどしたのー?」
ついでに私は小言を言われてる。相変わらずお母さんみたいだ。
「2人で夏休みのやつやろっかなって思ってるの!専門の授業受けるやつ!」
小言をかき消すように私が言った。
「おっけーい!遅刻しないようにね。特に里依奈!」
私今年1回も遅刻したことないのに。信頼ってどこにある?ってレベルだ。そんなこんなで申し込み書をもらいその場で書いて提出した。元々の目的地のロッカーへ向かった。
いい匂い。
私はばっと振り返った。そこには背が高く不思議な空気を纏う男の子がいた。
「里依奈早く行こ!」
絵美のその言葉で我に返った。絵美の元へ駆け寄り夏休みの計画を立てた。