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一面に広がる草原。気が付いたら、私は走り出していた。
空を見上げると、そこには大きなどんよりとした黒いモヤがあった。
雫が滴り落ちる音しか聞こえない。
私の鼓動さえ、忘れ去られてしまったかの様に。
一
いつの日からだっけな、こんなにも自分が醜く思えたのは。
毎朝鏡を見るのも辛かった。
隈に縁取られた目、その中には光はなかった。
ボサボサした腰まで伸びた髪。
その青白すぎる肌は、まるで死人のそれであった。
今日も、太陽が顔を出した。今日も、憂鬱が挨拶をした。
目の前の扉にかかっている青と白のセーラー服。囚人服にさえ思える。
窓に差し込む一筋の光。眩しくて鬱陶しい。
「日菜(ひな)、今日は学校行けそう?」猫なで声で聞いてくるエプロン姿の母親。
「……ん、分かんない……。」早く一人にして。
「そう……じゃあ、学校にはお休みするって連絡しとくね。」
「……うん。」階段を降りる音。段々小さくなる。
「……行った……。」数秒間は動けなかった。いや、動きたくなかった。
何も食べたくない。何もしようと思えない。スマホも見たくない。でも、暇すぎる。今日は見よう。
SNSを見たら、誰かが恋人と撮った写真や、綺麗な夕日の写真が投稿されていた。みんな、やっぱり幸せそうだ。かなり久しぶりに見たな。
「……やっぱり、見るのやめよ……。」力の入らない腕でスマホの電源を消して、布団に潜り込む。
「もう、一生こうなのかな……。」
ああ、こんな日には、あの日の出来事を思い出してしまう……。
「キモー!お前、さっきあの男子と喋ってたでしょ〜?私たちのこと、舐めてるわけ?」
「マジで最悪!キショすぎ、死ねよ!」
「……。」
「あはは!お前、もう声も出ない?」
「何か言えよ〜!言わなかったらぁ……。」
バシャッ!
「っ……!!!」
(つ、冷たいっ……寒い……。)
「……めてよ……っ。」
「は?なんて?声ちっさすぎて全っ然聞こえないんですけどー!」
「……や、やめてよって、言ってんの……!」
あの後のことは、意地でも思い出したくない。
「日菜ー、朝ご飯いるー?」急に現実に戻されて、思わずビクッとしてしまう。目を覚ますと、そこにはいつもの天井があった。
「いらない!」少し強めの口調で一階に向かって叫ぶと、返事も聞かずにまた布団に潜った。
学校が嫌になってきた頃、私はSNSに力を入れた。誰にも私だってバレないようにストーリーをあげた。
なのに。
「これ、お前のアカウントでしょ。」
「……えっ……?」
「お前のだろって聞いてんの!」
「え……そ、そうっ……だけど……。」
「お前、陰キャ丸出しじゃん。なんか見てるだけで気持ち悪いからさ、削除しろよ?」
(逆らったら何をされるか分からない……。)
「えっ……う、うん……。」
「ほら、私の目の前で、今消して?次、別のアカウント作ったら……な?」
「……分かった……。」
私はこうすることしかできなくなった。気が付いたら、いじめられて、抵抗できなくて、またいじめられてという悪循環が生まれてしまった。
「……な、何だよっ……!あの子と喋っちゃ駄目なの!?ただ挨拶しただけじゃん!自分勝手じゃん!何なの!?散々いじめた挙句、私のせい……!?」
気持ち悪い。なんだか、吐き気がする。
「……!!!」
「はぁ、はぁ……。」
私は便器を覗いて、ふらふらしながらレバーに手をかけた。
「……もう、嫌……。」泣きそうになったが、こらえた。
私には、居場所は無いの?
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