「宏忠さん、どこに向かってるの……?」
「俺の部屋だ」
足を止め、宏忠さんは目の前の扉を開けた。
広い部屋の中は沢山の本が並べられている本棚、机、ベッドが置かれていている。
「……子供の頃はよくこの部屋で過ごした。この家に生まれた人間としてどう生きなければならないのか、毎日、頭に叩き込まれた」
ただ無表情に語る宏忠さんは窓際に置かれた机に触れた。
一緒に暮らすようになって初めの頃は、宏忠さんのこんな顔をよく見ていたことをふと思い出した。
「賢人さんがこの屋敷に来てくれる時だけは、この部屋から出て、外の世界を見ることが出来た。俺にとって賢人さんは暗い道を照らす光のような存在だった」
「お父さんが?」
「ああ。きっとあの人も少なからず俺と同じような境遇だったはずなのに、夢があって愛する人と生きる未来を描いていただから……賢人さんが立花の家を出て、ここに来なくなって、俺は……」*************************
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コメント
2件
うぅ、泣ける…、、