放課後残って
自由少女
窓の外にある入道雲を見ながら、君は本当に朝食にパンを食べたのかを考えている。本当はなにも食べてないかもしれない。けど、実際見たわけではないから、結局わかりはしない。白紙の作文用紙を机に置きながら、一文字も綴れないまま何時間も経っていた。
「書けた?」
君は僕の作文用紙に顔を近づける。眉を少し歪ませて僕を見つめる。
「全然書けてないじゃん」
「……」
だって、なんて書けばいいかわからないんだ。
「いい?例えば、始まりはこんな感じで……」
君は僕の鉛筆を取って、導入部分を書き始めた。無機物の道具が、意志疎通を図るように言葉を綴り始めた。僕はそれを見て、なんだか夢を見ているような不思議な感覚を覚えた。この世に出来ないことなんてないのではないかと錯覚した。
そんなことを考えているうちに、起承転結を終え、作文が出来上がっていた。
「じゃあ、出してくるね」
うん。お願い
「あれ?まだいたんだ」
「うん。作文書いてたの」
「まだ出してなかったの?締め切り昨日だったよ」
「うん。わかってる」
「なんか話してたみたいだけど、誰かまだいるの?」
「ううん。いないよ」
「そう?」
「うん。じゃあ、職員室行ってくるね」
君は友達と話した後、教室に鍵をかけて廊下を走っていった。
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