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「ぁ、」
今日もいた。最近帰り道にある公園に透き通るような青空の髪色をした女の子がいるのだ。
何をする訳でもなく、ただブランコに座って空を見上げている。
何処か神秘的な雰囲気を纏っているその子に惹き付けられてしまった俺は何気なくその子がいるか毎日確認してしまう。
俺とは違う学校の制服を着ている彼女。
しかもここら辺では見たことのない制服を着ているのだ。
特に声をかけるわけでもなく今日もその存在を確認して家に帰る。
「最近な、帰り道に不思議な女の子がおるんよ」
「え、まろから女の子の話が出るなんて……」
「まろちゃん疲れとんの?」
「明日雪降るんじゃない?」
「まろ無理すんなよ」
翌日学校でいつメンにその話をするとこんな反応を返されてしまった。
なんとも失礼な奴らである。
俺だって女の子の話をすることだってあるし、りうらと初兎は女の子やろが
「お前らな……俺の事なんやと思っとるん?」
「女嫌い」
「モテ男」
「優等生」
「ハイスペ」
「ん〜否定はしない」
「いや、しろよ」
「自覚あるんいややわ」
「なんかりうら腹たった今」
「なんでやねん」
「俺も同感」
「いやいやお前らもモテるやろ」
「は??お世辞はいらないんやけど?」
「そーだそーだ」
「まろに言われると腹立つ」
「りうらさっきから腹立つしか言っとらんやん」
「いや、りうらは正しい」
「なんなん?ないこは」
「りうらのお兄ちゃん」
「違います」
こいつらと話してると話題がすぐに変わってしまう。でもそれが心地がいい。
それから、こいつらは否定するが俺以外の4人は死ぬほどモテるのだ。
生徒会長のないこに、バスケ部エースのあにき。生徒会書記のりうらに、チア部部長の初兎。
俺なんかが関わっていいのだろうかと言うほどモテる。こいつらといる時の周りからの視線が怖い。たぶん俺いつか殺される。
……だけどちょっとどころではなく騒がしい。
「話戻すけどな、毎日公園に女の子がおるんやって!」
「は〜ついにまろにも春が」
「いやそんなんやないんやけど、」
「彼女か!?」
「いや、話したこともない」
「ちっ」
「りうら今舌打ちしたな?」
「してませーん」
「嘘つくなバレとるぞ」
「まろ恋したんやなぁ」
恋。
は??いやいやいや、恋なんてそんなものではない。ただただその子のことが気になるだけだ。なんか放っておけない。そんな気がするだけ。
……いや、それが恋なんか?
「なぁ、1日中その子のことを考えてしまうのって恋なん?」
「恋だね」
「恋やな」
「それが恋」
「恋や」
「嘘やろ……」
高校2年生の夏。
名前も知らない女の子に恋してしまいました。
「でも、」
「でもやない!!恋やって!」
「なんかお前楽しそうやな」
「いや楽しいやろ!!あのまろちゃんが恋!どんな美少女にも告白されても靡かなかった服副会長が!!なぁ悠くん!!」
「そうやな、初兎」
最近白黒組がよく話すようになった。
帰りも2人でいることが多いし、なによりあにきのしょにだに対する目線がとても優しい。
俺たちと話すときだってあにきは優しいがそれとはまた違うしょにだだけの目線。
それに気づいてから赤組と俺でなんとなく白黒組を2人きりにすることが増えたが、まだ付き合ってはないらしい。頑張れあにき!!
しょにだがあにきのこと振ったら地獄の底まで追いかけに行くから安心して告れ!
「まろちゃん聞いとる?」
「ぁ〜聞いとる聞いとる」
「絶対聞いてなかったやろ!!」
「うるせぇ」
「ないくん、まろが恋したんだって〜」
「ね〜なんか嬉しいね」
「りうらニヤニヤすんな。あにきもにこにこすんな!!ないこは俺のなんなん?」
「ん〜親かな」
「ちゃうやろ」
「あれ」
「そーや!!今日の放課後その女の子に声かけてみ!!」
「ええなそれ!漢なんやからいったれまろ!」
「俺たち後ろから見守ってるからさ!」
「まろが惚れた子どんだけ可愛いのか気になるりうら」
「え」
そんなこんなで何故か放課後こいつらに見守られながら女の子に声掛けることになってしまった。
「あとどのくらいなん?」
「もうあとちょっとやよ」
「はやくいこ〜」
「お前らはそこら辺からみとって」
「まろ頑張れ!」
「名前と連絡先交換せぇよ」
「頑張る、ありがとな」
「あ、おったよ」
まぁこいつらに言われなければ声を掛けずじまいで終わってしまった恋だっただろうからありがたいと言えばまありがたい。
「じゃあ、いってきます」
生徒会副会長やから人前で話す機会は沢山ある。大勢の人の前で話すときは緊張なんてしないのに今は心臓が飛び出してしまうんじゃないかというくらい心臓が脈打っている。
「あの、」
「…」
「あの、そこの水色髪の君?」
「…?」
女の子はこちらの声に気づいているのかいないのかまわりをキョロキョロと見渡している。
「あの〜君なんだけど…」
「えっ、あっ、僕!?」
水色の髪の女の子なんてこの場にこの子しかいないのに自分だと気づいてなかったのか。
「ぁ…はい、そうです」
「え、あの、なんですか?あ!!ここにいちゃダメとか!?あ、ごめんなさい今すぐどきます!」
「あ、や、違くて」
「え、?じゃあ…?」
「あの〜、あなたの名前が知りたくて」
「え、なんで?」
そりゃそうだろう。こちらが勝手に認知してるだけなのだから名前も見たこともない知らない男から名前を知りたいなんて言われたら戸惑うしヤバいやつなんじゃないかと疑う。
「髪色が、」
「この街髪色に決まりがある!?」
「ないんやけど」
「え?」
この拭いきれない天然アホ感…
りうらよりひどい子は初めて見た。
「その〜綺麗やなって思って。俺、ここ毎日通るんやけどいつもここにおるし、制服も知らんとこのやつやからどんな子なのかなって気になって」
「髪色綺麗って初めて言われた、嬉しいありがとう!!」
と言ってこの子が初めて微笑んだ瞬間あぁ、これが恋なのかと腑に落ちた。
胸が締め付けられて気分が高揚して、初めて女の子に向かって可愛いという感情を抱いた。
今まではりうらと初兎以外は鬱陶しくて邪魔で自分勝手な生き物だと思っていたが、この子はその初兎とりうらとも違う。
可愛い。俺だけの女の子にしたい。
そんな感情が湧き上がってきた。
「だから、名前が知りたいんやけど、」
「僕の名前は水上(みなかみ) ほとけ!」
名前を、教えてくれた。
こんな得体の知れない男に。
「!ありがとな」
「お兄さんの名前は、?」
「蒼海(あおうみ) いふです。」
「素敵な名前だね!!あおうみ いふ!いふくん!名前覚えた!」
なんなんだこの生き物は。
可愛すぎだろ。俺の名前を復唱してるのもずっとにこにこしてるのいふくんって言ってくれたのも可愛い。
「じゃあほとけ?」
「わ、男の子に名前で呼ばれたの初めて!」
初めて…初めて。
この子の、ほとけの初めてをひとつでも貰えたのが嬉しい。
ニヤけてしまうのを必死に抑える。
「ぁ、いふくんのその制服!僕来週からその高校に転校するんだ!」
「え、ほんま?」
「うん!いふくん何年生?」
「高2」
「えっ!!同い年なの!?いふくん大人っぽいね!」
あ〜もう、ほんまに可愛すぎる。
てか来週から学校でもほとけに会えるってことやんな?嬉しすぎる。
あ、でもこいつ可愛ええからモテるやろうな。
嫌やな…こいつの可愛さは俺だけが知っとけばいい。
「同じクラスやとええな」
「絶対同じクラスがいい!」
「お前と仲良くなれそうな女の子がおるで」
「え!!早く会いたいな〜」
「そろそろ暗くなるし、また来週学校でな」
「うん!!またね、いふくん」
「じゃあな、ほとけ」
「ばいばーい!」
そう言ってぶんぶんと手を振りながら帰って行ったほとけを見送る。
「っ〜!可愛かったほんまに」
「お熱いですな〜」
「おわ、ないこ!」
「まろ、連絡先聞くの忘れとるよ」
「あ、」
「あの子可愛かったなぁ!!!まろちゃんが一目惚れしてまうのも分かるわ〜」
「まろ、あーゆー子がタイプなんだ?ちょっと天然純粋人たらしちゃん」
「うっせ」
「りうらあの子と早く仲良くなりたい!!めっちゃかわいかった!!ほとけっち!」
「ほとけっちよびいいね、俺もそーしよ」
「お前ら会話全部聞こえとったんか」
「うん、ばっちり」
「は〜、まじかよ」
「うちはいむちゃんってよぼ〜」
「俺は普通にほとけかな」
「絶対同クラがええうち!」
「りうらも!」
「お前らとクラス一緒やったら俺と違うやん」
「ええやんええやん!女同士でしか話せないこともあるんやし」
「そーだそーだ!まろばっかりにはあげませーん」
「は??俺のほとけやけど??」
「いや、気が早すぎるやろ怖いわ!!悠くーーん」
「よしよし」
「付き合ってないし、まだ1回しか会ってない男に俺の女認識されてるの怖いでしょ」
「りうらの言う通りだと思いまーす」
「本人には言わへんからええやろ」
「うっわ、ベタ惚れじゃんまろ」
「え、あんな可愛ええのに惚れへんやつおる??まじ可愛ええ天使なんやないの?ほとけ」
「りうちゃん、いむちゃんはうちらで守ろうな…」
「うん…こんな男にりうらたちのほとけっちは渡さない!」
「なんでやねん、応援しろや」
「がんばれまろ〜」
「ないこやなくて」
「まろ頑張、w」
「ちょ、あにきもしょにだとめてや!」
「あ〜なった初兎とりうらは誰にも止められん」
「嘘やろ…」
助けを求めるようにないこの方を見たがないこにもお手上げといったジェスチャーをされてしまった。
「まろのほとけなのに…」
来週からまた騒がしくなりそうです。