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#溺愛
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楽地みどり
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彼が頭の上で、
「レストランでプロポーズして、ホテルでめちゃくちゃ抱くつもりだったんだけどなー」
ため息をつきながら言ったので、思わず笑ってしまった。
「あ、でもさぁ。小泉さんや松井さんに言うくらいなら私にだってさっさと言ってくれてもよかったんじゃゃないの」
そうだ、思い出した。そしたら私だって大人しく待ったのに。
「あれは、蓬田さんに今週で辞めるから、引き継ぎについて話してたら聞かれちゃって」
「えっ、辞めるの?」
「そうだ、それも伝えてなかったか」
仕事ができてしっかり者の白田くんが、こんな感じなのって、本当に忙しくて大変な時なんだろうな。仕方ない。私は膝立ちになって彼の顔を自分の胸にうずめて、頭をポンポンとした。
白田くんは私の腰を両手で抱きしめて、されるがままになっていた。
「白田くんが会社で見られなくなるの、寂しくなるな」
「だからさ、早く一緒に暮らしたいと思って」
「ずっと一緒にいたら飽きるかもよ?」
冗談めかして言ったけど、もしかしたら少し声が震えていたかもしれない。
「飽きないようお互い努力するのが、恋人とか夫婦だと俺は思う。少なくともまだまだ知らないところがたくさんあるはずだから、本当にお互いを知り尽くしたら一緒に考えよう?」
そうかな? もう全て知られちゃってる気がするんだけど。
それでも私は彼の言葉が嬉しくて、また泣いてしまった。
その日はそのまま会えていなかった最近のことを話しながら、私の狭いベッドで抱き合うようにして眠った。
明日の金曜日は白田くんが色々な準備のため会社はお休みで、週末は新しい事業のイベントで忙しくて会えない。来週は金曜日だけ引き続き作業で出社するそうだ。そして、私たちは来週の土日にレストランとホテルでお互いの誕生日会をすることに決まっている。プレゼントも用意した。
無理すれば少しくらい会えるのかもしれない。でも、一週間我慢して、本気の誕生会をしようと思い、私は我慢していた。きっと彼もそうだと思う。相手の気持ちがわかることがあるなんてことを、私はこの歳になって初めて知った。
白田くんの出勤最終日の金曜日、ちょっとだけでも覗きに行こうかななんて思いながらも、ちゃんと真面目に仕事をしていたら、その白田くんからメッセージが届いた。
〈ほんのちょっとだけ出られる?〉
私はこっそりトイレに行くふりをして自分のオフィスを出た。指定された階につくとそこは古い書類を一時置きしておくための倉庫がいつくもある階だった。
「こっちこっち」
白田くんが手招きしている。すごく小さな小部屋だ。
中に入るといきなり抱きしめられてキスをされた。
「だめっ、んっ」
「ここ、誰も来ないらしいよ」
「もう」
誰に聞いたんだか。でも、キスくらいいいかと思いながら、最初は口紅が落ちないように舌だけを絡めていた。背の高い白田くんの唾液を流し込まれてクチュクチュと音が聞こえて頭がぼーっとしてきて、最終的には激しく唇を求め合っていた。
壁にそっと押し付けられて、ニットの上から両胸をゆっくりと揉まれた。
「だめだよ、白田くんっ」
「少しだけ。オフィスラブっぽいことしたいじゃん。この会社、社内結婚多いらしいじゃん。みんなどこかでこんなことしてるんだよ、きっと」
胸を揉まれながら、耳にキスされたり舐められたりしているうちに、足に力が入らなくなってきた。白田くんは片手で私の腰を抱いて支え、ニットの上からでもわかる固くなった突起を執拗にいじってきた。
「あぁっ、んっ……」
声が出そうになるたびに唇を唇で塞がれて、彼の首にしがみつくことしかできない。
そのうち彼の右手はスカートの中に入ってきて、タイツの上から太ももやその付け根を撫で回してきた。
そして、唇を強く塞ぐようにキスをしてから、強く擦ってきた。
「んっ、んっ」
下着とタイツ越しだから、その強さがちょうどいいのがわかっているんだ。彼の女性経験の豊富さに少しもやっとしながらも、私は与えられる快楽に逆らうことができずに、
「ふぅっ、ああん」
とあっけなくイかされてしまった。
息を整えている間もキスをしてくれる彼を愛おしく思いながら、ふと、彼の方はこれで満足なのかと考えた。
彼のベルトのバックルの下に手を当てる。やはり固くなっていた。
「ほらもう戻らないと」
と言う彼の言葉を無視して、私はベルトを外してファスナーを開けた。下着をずらして彼のものを取り出す。そそり立ってるじゃない。私は迷わず咥えながら指でしごいた。
これが私の経験値。立たない男をその気にさせるためだけに上達した悲しい技。でも今は違う。愛しい男を私と同じ絶頂に連れていきたいだけ。
「ちょっ、美里さん待って」
「らめ、待たない」
下からすくいあげるように舌を這わせて手は動かしながら先端に近い部分を唇で刺激する。どんどん出てくる彼の苦い汁を吸い上げた瞬間、彼が私の頭を押さえてビクビクと数回痙攣した。
出すところがないのでとりあえず飲んでみる。
「大丈夫?」
私は頷き、親指を立てた。
白田くんは吹き出して、キスをしようと顔を近づけてきたけど、私は止めておいた。美味しくないよって。それでも軽くキスをしてから、私たちは急いで身なりを整えて部屋を出た。そして、それぞれのフロアへと戻っていった。もちろん私はトイレに寄ってから。
濡れた下着を拭いたり赤い顔をあおいで冷ましたりするのに少し時間がかかってしまった。彼は大丈夫だったかな?
その日、あの後仕事に集中なんかできるわけもなく、社内恋愛してる人って本当にどこかであんなことしてるのかな、なんてことばかり考えていた。
コメント
1件
わあ、第17話…ついに白田くんの最終出勤日だったんですね。倉庫での秘密の逢瀬、すごくドキドキしました。「オフィスラブっぽいことしたい」っていう白田くんの台詞、照れくさそうで可愛いなと思いつつ、二人の「最後」にふさわしい特別な時間だったんだろうなって。 美里さんの「立たない男をその気にさせるためにだけ上達した悲しい技」って過去の描写がふと入るのが、今の関係のあったかさをより際立たせてて…。もう全部知られてる気がするのに、まだ知らないところがあるって言ってくれる白田くんの言葉、じんわりきました。来週の誕生会、楽しみですね!