テラーノベル
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❤️「みんな、朝ごはんできたよー」
⛄「はーい!」
元気な返事が部屋のそこらじゅうから聞こえ、兄弟たちが我先にとダイニングテーブルへと向かう。
俺もワンテンポ遅れて皆に続く。
シミひとつない真っ白なテーブルクロスが敷かれたテーブルには、次々に美味しそうな料理が運ばれてくる。
朝ごはんを作る当番が決められているのか、エプロンを身につけているのは舘さんと康二の二人だ。
康二とはあれから言葉を交わしていない。
ちょうどさっき目が合ったけれど、俺が口を開く前に彼から目を逸らされてしまった。
この世界の住人たちと、どうやって接すればいいのかわからない。
そもそも、俺が今まで過ごしてきた世界というものはあったのだろうか。
長い下積み時代を経て、ようやくデビューできた俺たち。
決して楽しいことばかりではなかったけれど、9人でいろんなことに挑戦してきたんだ。
その思い出や記録がないものにされてしまうのか?
そんなこと、あっていいわけない。
嘘や幻じゃない。
絶対に無い。
🖤「ねえ、俺のスマホってある?」
一番近くにの椅子に腰かけていた岩本くんに歩み寄る。
💛「ないよ。…なんで?」
俯いたままの俺が気になったのか、訝しげに見つめてくる。
🖤「じゃあ、貸してくれる?」
💛「いいけど…ごはん食べようよ」
彼の呼び掛けには答えず、差し出された端末を半ば奪うようにして受け取る。
「snow man」とタイピング入力で打ち込み、検索結果をスクロールする。
…
ない。
どこにも無い。
俺たちの写真も、公式サイトどころかファンの人たちの投稿すらも見つからない。
出てくるのは英字が並んだ説明欄のついた雪だるまの写真だけ。
下から上に動く眼球の速さが、焦りに追い越される。
ただでさえ情報を処理しきれていなかった、脳の回線がショートしたかのように何も考えられなくなる。
消されたのか?それか、はじめから無かったことにされたのか?
なんで?
どうして?
なんで俺が?
なんで俺たちが?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
大量の疑問符が脳の内側から細胞たちを破壊するようにぐるぐると渦を巻いていく。
🖤「うわぁぁぁぁぁ!!!」
衝動的に、妄動的に、能動的に、夢幻的に、狂的に、致命的な何かに耐えきれず俺は叫んだ。
💛「え!?蓮、どうしたの?」
🩷「蓮!!大丈夫か!?!」
🧡「…!!」
食卓を囲む賑わいが、悲鳴にも似た俺の身を案じる声に変わり、耳から段々と遠くなっていった。
…
junp_Sn-Fk.
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saku
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夢花𓂃𓂂ꕤ*.゚
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帰りたい。
もとの場所に、みんなが覚えているところに。
なんで、こうなっちゃったのかな。
気づけば、知らない真っ白な服を着せられていた。
知らない場所を歩いていた。
周りは霧に覆われた草原のようで、モノクロの写真で切り取られたかのように色を失っている。
また、何か知らない世界に連れられてしまったのか。
ぼうっとした頭のまま歩き始める。
突然強い風が、辺りの灰色にくすんだ草木を揺らした。
風に当たったところからインクを垂らしたように鮮やかな緑色に染まっていく。
思わず瞑った目を開くと、小さな竜巻のような風の中から、ひとつの人影が現れた。
細くすらっとしたシルエット。
それは紛れもなく、
🖤「阿部ちゃん…?」
俺が知っている彼だった。
安心からか、身体中から力が抜けて俺は膝から崩れ落ちた。
格好なんて気にもせず、細い肩に思い切り抱きつく。
そこにはちゃんと温もりがあるのが伝わって、さらに腕に力が籠り、涙が独りでに溢れた。
涙でぐちゃぐちゃになった酷い顔を阿部ちゃんは覗き込んで微笑んだ。
子供をあやすよう時のように優しく背を擦ってくれるから、乱れた呼吸も次第に穏やかさを取り戻した。
🖤「阿部ちゃん、迎えに来てくれたの?やっぱ、夢だったんだよね、今の…」
彼は静かに首を横に振る。
それからどこか悲しそうな、それでいて嬉しそうな、何だかよくわからない、よく彼がする表情で告げた。
💚「そこは誰かが願った世界なんだ。だからごめんね。もう少し、あの子と居てあげて。」
俺のよく知っている少し低く落ち着いた声だった。
🖤「どういうこと?ちゃんと言ってよ、わかんないよ…」
💚「大丈夫。俺たちはちゃんと見てるから。」
そう言って阿部ちゃんは風の中へ姿を消した。
強い風に、俺は思わず目を閉じた。
Next…Episode 5「大好きな人」
コメント
1件
読み終わりました…🥀 主人公の「なんで?」が何度も繰り返されるシーン、すごく胸が痛かったです。自分の存在や記憶が消されてるって気づく瞬間の絶望って、こんなにも重いんだなって感じました。阿部ちゃんが現れたときの温もりと安心感、一瞬で世界が変わったみたいで、そこだけは本当に救われました。 「誰かが願った世界」って何なんだろう…続きがすごく気になります。次話「大好きな人」というタイトルも、この世界の鍵になりそうで、ドキドキしながら待ってます🌙