テラーノベル
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─堕とさないと出られない館に閉じ込められました─
注意喚起
・御本人様とは一切関係ありません
・BL(R18にはならないはず)
・zmさん総受け
・現mzybのメンバーが登場します
閲覧はあくまで自己責任でお願いします。
◇
そこは真っ暗闇。
目の前も足元も見えなくて、ゆったりと全身を取り巻くような重い液体を引きずって前へと歩く。
誰かいる。真後ろで、ずっとみている。
「・・・・・っひゅ、ぁ」
ぞくり、と呼吸さえままならなくなるような圧がのしかかってくる。
どれだけ早く足を動かしても、ぴったりと影法師のようにくっついてくる”それ”が、
重くて、暑苦しくて、
ああ、またこの夢か。
「──────ッ、は、はぁ・・・、」
最近は大先生と一緒に居たので、夢を久しぶりに見た気がする。
反射的に飛び起きた上半身を動かした時に、その違和感に気づいた。
「・・・・・頭いたい・・・」
どうやら、額に浮かんだ汗は、単に悪夢のせいではないらしい。
◇
重怠い体を引き摺ってリビングに行くと、トントンと大先生がいた。
こちを見た途端駆け寄ってくる二人を見て、回らない頭の中、そんなに酷い顔なのかと思う反面すぐ気づいてくれて嬉しいと思う。
「どしたん、風邪?」
「おん。起きたら汗びっしょり」
「とりまシャワー浴びてき」
そう言う大先生の声が、やけに柔らかく耳に届く。
自分でも驚くくらい素直に頷いて、ふらつく足取りで浴室へ向かった。
けれど、熱でぼやけた視界では思った以上に体が言うことを聞かず、壁に手をつく。
思った以上に体が重くて、倒れ込むように浴槽の縁に寄りかかってしまった。
「・・・・・やばい・・・」
声を漏らしたところで、浴室の扉がコンコンと叩かれる。
「おーい、ゾム?大丈夫か?」
トントンの声。返事をしようと口を開けて、でもめんどくさくてため息しか溢れなかった。
一瞬の沈黙のあと、ガチャリと扉が開く。
「・・・・・って、大丈夫なわけないな」
トントンが寄ってくる。
その腕に支えられて、熱のせいか心臓が大きく跳ねた。
「シャワーも無理ならしんどいな。風呂は後にして、ベッド戻るで」
「・・・・・ん」
抱き起こされ、額がトントンの肩に触れた。
ひんやりした布地と、その奥の体温。
火照った肌にはどちらもやけに心地よくて、思わず寄りかかる。
「なぁ」
「ん?」
「お前、こうしてると・・・・・ちょっと、ええ男に見えるな」
「・・・・・・な、」
耳まで真っ赤になったトントンの反応が可笑しくて、ふっと笑みが零れる。
こんな時でもおちゃらけるのが自分の本性なのかもしれない。その手が背を擦ってくれる感触に安心する。
◇
ベッドに寝かされると、大先生が冷たいタオルを持ってきてくれた。
額に乗せられた瞬間、思わず吐息が漏れる。
「今日は動かんでね。イフリートに薬とかないか聞いてくる」
イフリートはたまに現れては困ったことがないか聞いてくれる。
そんなに気を遣ってくれるならこの館から出して欲しいと思うばかりだけど。
「・・・・・おん。ありがと」
熱に浮かされながら二人の顔を見て、ぼんやりと思う。
こんなに優しくされるなんて、ここに来たばっかりの頃は想像もできんかったなぁ。
あの頃はなんなら敵意みえみえやったし。まあしゃあないな、知らない人同士だったんだから。
そうやって色々考えていると、この六人での生活もいつか終わるんだということに、少し寂しさも感じてしまった。
◇
「え、ゾムさん熱出てんの」
「うん。感染症とかじゃなけりゃ治るやろうけど」
空腹のあまり寝床から這い出てきたら衝撃の事実を告げられた。
まあ閉じ込められているという状況でストレスとかが溜まってたのもあるんだろう。
「ショッピ、水持ってくついでに様子見てきてや」
「言われなくてもそうしますよ」
「おーいイフちゃん?見てるー?」
慣れないことで二人とも少し慌てているのが挙動に現れている。
シャオさんとかが起きたら絶対うるさいやつやん、起こさんどこ。
「ゾムさん、入りますよ」
あまり音を立てないように部屋にゆっくり入る。
そういえば、ゾムさんの部屋に入るのは初めてなのでは?
「おーい。起きてますかー」
カーテンを引ききったままの部屋は、昼間でもじっとりと暗い。
窓辺にコップを置いてベッドに近づくと、ぐったりとしたゾムさんの姿が目に入った。
「・・・・・・しょ、っぴ?」
熱に滲んだ声はか細く、普段の調子とはまるで違う。
思わず息をのむ。呼ばれたことよりも、その弱々しい顔に。
「・・・・・・水、持ってきました。飲めますか」
差し出すと、ゾムはぼんやりと伸ばした手を空を切るように動かす。
その仕草すら子どもみたいで、思わず苦笑しながら支えてやった。
額に触れると、火を抱いたみたいに熱い。
「っ・・・・・、うつる・・・」
「大丈夫っす。ほら、こぼれますよ」
口元に水を運ぶと、ゾムはゆっくりと喉を鳴らした。
その拍子に、掠れた吐息がショッピの手にかかる。
一瞬、心臓が跳ねた。意識のないような顔でこちらに凭れかかってくるのが、あまりに近すぎて。
「・・・・・ちゃんと寝てくださいよ。俺がここにいるんで」
言葉は小さく、ほとんど聞こえないくらい。
ゾムさんは返事もせず、ただ俺の手首を弱々しく掴んで離さなかった。
◇
「えっ、ゾムが熱!?」
「さっきも見たぞこのやりとり・・・」
どうも俺ことシャオロンです。
お昼寝してたらいつのまにか大変なことになってたっぽい。
トントンも大先生もやけにソワソワしてて、ショッピは部屋にこもったまま出てこない。
・・・・・・いやいやいや、なに、付きっきり? え、そういう?
「なあなあ、ゾム大丈夫なん?」
「大丈夫じゃないから休ませてるんやろ」
いやでも気になるんだって。
うるさくしなけりゃ見に行っても大丈夫、よな?
その時、俺より早く起きていたエミさんが口を開いた。
「ゾムさん、寂しがり屋ですし、覗きに行くぐらいなら大丈夫なんじゃないですか?」
「せ、せやろ?えみさん一緒に行こうや!」
「ただしうるさくはせんといてね」
その時、ゾムの部屋からショッピ君が静かに出てきた。
片手には空っぽになったコップを持って、安心したような顔をしている。
「イフが現れて、薬だけ渡してくれましたよ」
「ドラ◯もんやん」
「一件落着やな」
ふーん、と相槌を返しながらショッピくんの顔をちらりと見ると、どこか嬉しそうな表情をしていて。
それがどこか胸の奥をもやもやさせた。
◇
ゾムには用意したお粥もなんとか食べてもらい、いつもより頭数の少ない夕飯を迎えた。
食後特有の満足感を抱えてソファの沈んでいた、その時。
こん、こん、こん。
「・・・・・・・・・え?」
館のドアの、ノックの音が辺りに響く。
こんこん。
「すいませ〜ん!助けてください!」
「・・・・・・ッ、!!」
ドアの向こうから聞こえる知らない声に息を呑んだのは誰だったか。
「失くし物探してたら、森で迷っちゃって!誰かいませんか〜!」
間延びした声でそう告げる声の主。
出た方がいいのか、危険だから放置するべきなのか。
この館と周りの森から出られない自分たちにとって、外部の人間は有益かもしれない。
でも、リスクが大きすぎる。
その場にいた五人全員がそう感じた。
「・・・・・・ど、どうしよう、」
「・・・・・俺が出るわ」
思わずシャオロンの口からこぼれた言葉を遮るように、トントンがそう言った。
確かにこの中で一番戦闘向きなのはトントンだ。
一旦任せてみようかと各々がその場で立ち上がった。
刹那。
「・・・・・返事ないなあ。仕方ない、強行突破ってやつ?」
ぞくり、と。
そんな効果音がつきそうなほど、背筋からびりびりと痺れる感覚を覚える。
目眩のするような、重い、殺気の圧。
「・・・・・・・ッ、あぶない、・・・・・!!」
一拍置いて、どん、と重苦しい音と共に、呆気なく扉が吹き飛んだ。
けたたましい音を立ててリビングの中央へ倒れた扉のその向こう。
土埃が舞って不明瞭な視界の中で唯一捉えたのは、ぼんやりと妖美に光る、蒼色の瞳だった。
「ゾムを返せ〜!」
◇
んぐぁあ書くの難しい
じゃじゃん!アイコン変えたょ
このお顔メロいですね。私にしてはかわいく描けたのでは、??
てか前の話で久しぶりにいいね2000超えたよ!ありがとうみんな!!
優しいね、もはや一夫多妻制でみんな結婚しy((👊🏻👊🏻
コメント
11件
今回も神過ぎるるるるるるる 熱出しって、、、いいよねッッ👍 アイコン可愛過ぎますわッッ!! メロすぎ。神か?