テラーノベル
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「ふざけるなっ! 俺は別にあんな事頼んでない!」
「出張ホストが何をやるのか知りたいって、自分で言ったくせに」
低い声と共に、芹沢が、一歩、距離を詰めてくる。
澪は反射で一歩、後ずさる。だが、そのふくらはぎに、ソファの縁が固くぶつかった。
「待て、近い、おい――」
「逃げないんですか」
追うように、二歩目。
甘い煙草の香りを纏った吐息が、澪の前髪を揺らす。背もたれが背中に当たり、退路が完全に断たれた。
肩を強く押されているわけではない。ただ、上から覆いかぶさるような圧倒的な「圧」だけで、澪の膝からスルスルと力が抜けていく。
勢いでずり落ちた眼鏡の向こうで、男の瞳が、完全に獲物を見るそれに変わっていた。
芹沢は澪の耳元へと顔を寄せ、悪戯っぽく、けれど底意地の悪い声音で囁く。
「……せっかく来たんですし、この間の続き、しましょうか?」
その言葉を合図にするように、背後のソファの座面が、ぎしり、と重く軋んだ。
「ふざけ……るなっ!」
澪は、血相を変えて芹沢の肩を突き飛ばした。掌に返ってきたのは、思ったよりずっと硬い手応えで、びくともしない。それでも、意表を突かれた男がわずかに身を引いた隙に、背もたれから逃れ、どうにか床に足を踏ん張って立ち上がる。
「いい加減にしろ! これ以上勝手な真似をするなら、不法侵入で今すぐ警察に通報するぞ……っ!」
震える指でポケットからスマホを取り出そうとする澪に、芹沢は微塵も動じなかった。むしろ、面白がるような、底冷えのする笑みを深めただけだ。
「通報したければ、どうぞ。お好きにしてくださいよ。……ああ、でも」
クスクスと喉を鳴らし、芹沢は小首を傾げる。
「グラスと小皿まで出して、もてなしてくれたのは、編集長ですよね。それ、不法侵入って言います?」
「……っ」
反論は、またしても喉で詰まった。
芹沢は、悠々と自分のスマホを取り出す。
「あぁ、そうだ。お見せしたいものがあったんだ。一緒に観てみませんか、編集長のイクところ」
そう言って、芹沢は、スマホの画面を澪の目の前につきつけた。
画面から発せられる光が、青白く澪の顔を照らし出す。
「――っ!?」
そこに映っていたのは、あの夜、このソファの上で、自分の手で快感を追いかけ、理性を失って乱れていく、他ならぬ澪自身の姿だった。
無様な表情。掠れた声。自分では見ることのなかった淫らな姿が、鮮明な動画として、目の前で再生されている。
スマホのスピーカーから、湿った吐息と、自分のものとは思えない甘ったるい声が、リビングの静寂へ溢れ出した。
「いつの間に……っ、お前……!」
#四季総受け
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頭のてっぺんから足のつま先まで、一気に血が沸騰した。羞恥と怒りで、耳鳴りがする。
証拠を押さえられていたという絶望に突き動かされ、澪は反射的に、スマホを奪い取ろうと手を伸ばした。
だが、芹沢は、軽くいなすように腕をひょいと引く。澪の指先は空を切り、情けない空振りに終わった。
「返せ……! 今すぐそれを消せっ!」
コメント
1件
おお…第8話、めっちゃ緊迫してたわ。 芹沢の“圧”、エグすぎる。ソファに追い詰められて、耳元で囁かれながらあの動画見せられるのは正直ゾッとした。 澪の必死な抵抗とか、震えながらも突き飛ばすところにめちゃくちゃ感情移入した。まだ終わった感じしないけど、続きが気になりすぎる🔥