【なつ視点】
玉入れ、奇跡的に奏たちのクラスに勝った。正直奇跡じゃなかったような気もする。奏めっちゃ下手だったし。ポン酢とプテさんはどうやらフィジカルが強いようだから、綱引きも負ける気がしない。
まぁまずは目先の玉入れ決勝。決勝であってるのかわかんないけど。瀬戸がまじでうまかったから何とか勝ちたい。
そんなことを考えていれば、開始の合図が聞こえた。
――
なつ「まじで、瀬戸たち強すぎん……?」
ポン酢「あいつずるしてない?」
プテ「してないでしょ、出来ないでしょ」
僕らのクラスは惜しくも2位。実を言えばそこまで惜しくなかった。1位の3Aがぶっちぎり、制限時間内に投げる玉が無くなったから。馬鹿でしょ……。
瀬戸がうますぎて隠れてるけど、実はちゃげさんのコントロール力がとんでもないことを僕は見てしまった。あの人人間だよね…?
この後は小休憩を挟んで障害物リレー。
僕は出ないからポン酢と応援。僕のクラスからはプテさんが出るけど、練習ではしっちゃかめっちゃかだった記憶がある。多分借人競走の方が得意なんじゃないかな。
冷たいお茶を喉に流し込んで、入場していく人達の方を見やる。
レーンに並んだ順番を見ると、みんな一様に真ん中の方に集まっていた。プテさんは……うわ、奏と同じじゃない?さすがにドンマイすぎる…。普段の奏を見ていると、足の速さは異常。いやまぁ動物組のが早いけど。それを考えたら、せとはたねろちゃんとは別っぽいから何とかなってる。まぁリレーだからそこまで関係ないか。
ポン酢「うわ奏と一緒じゃない?」
なつ「そう、それ今僕も気づいたんだよね」
ポン酢「こっちの会話聞こえてんなあの人」
なつ「耳良すぎでしょ」
隣に並んでいる人達から頭ふたつ分くらい低い位置からこっちを向いて満面の笑みで手を振る奏。ほんと、この距離で聞こえてんの訳わかんない。
パンッ
そんな合図で走り出す。いつものメンバーだと、一番最初に走るのがプテさん達。なんとか1位でプテさんにバトンが渡った、のに。
ポン酢「ちょ、あの人身軽すぎる」
なつ「ばかでしょ、ばか。調整下手か」
跳び箱を手なんてつかずにぴょんと飛び越える。明らかに人間の動きから一線脱した動きにどよめきが走る。僕の声が聞こえたのか会場が騒がしくなったからなのか、少しペースを落として控えめにパフォーマンスをしだす奏。
結構手遅れな気がするけど、まぁやり続けるよりましか。
隣のクラスからふじみやのため息が聞こえた気がした。
そしてプテさんはと言うと……
なつ「あーあ」
ポン酢「ぐっちゃぐちゃじゃないですかあの人w」
なつ「だめだありゃ」
1位でバトンを受け取ったにもかかわらず、次の走者にバトンが渡ったのは最下位。まったく、足は普通の人より速いはずなのに。
そうこう言っていたら、いずさんにバトンが渡ろうとしていた。
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