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『失われた記憶の探求』
from:お題メーカー
もしかしたら若干チノショピかも…?
「すんません…どちら様ですか…?」
お前がそう言ったその瞬間
目の前が真っ暗になった気がしたんや
ことの発端は一昨日の昼
俺が出不精のショッピをやっと連れ出してランチに行ったときや
まぁ…結果は大失敗
行こうと思ってた店は定休日だったし、とりあえずで入った店の味は最悪…
二人して最悪だったなって笑いあって、市役所に戻ってた時だ
大きな音と、たくさんの悲鳴
目の前に暴走トラックが来てたってことは、
俺が誰かに押されて、しりもちをついた後に気づいたことだった
バッと飛んできたトラックがお前を引きずって泣き叫んだ
血しぶきの赤がやけに鮮明に見えて
鉄の香りが不快感を呼び
女性の悲鳴が耳に突き刺さる
お前が轢かれた
俺をかばって
…言葉も出なかった
気がくるってしまいそうだった
俺をかばって散ったショッピは
幸いなことに一命をとりとめたらしい
3か月もすれば市役所にも復帰できるそう
その知らせを聞いて、俺はどれだけ安心したか
でもそれと同時に、俺の胸に大きすぎる罪悪感がのしかかった
俺はショッピと会えるのはすごくうれしい、
けど、ショッピがうれしいのかはわからない
だから怖い
ショッピは俺なんてもう嫌いになったんじゃないかって思ってた
現実は、もっとつらかったけどな…
俺は意を決して面会に臨んだ
だけど、病院のロビーで連絡してきたトントンとゾムが止めたんや
「お前は会ったらあかん」
「多分、おかしくなってまう」
俺は憤慨した。
この状況が、今この時間こそが俺をおかしくするんだ!
俺はショッピに謝りたいんや!
俺の懇願はなかなか聞き入れてもらえなかった
その時だ。後ろに大先生がいた。誰かをエスコートしているように見える
「ショッピ!」
なんでかは知らないけど、大先生がエスコートしているのはショッピだと確信していた
大先生が焦ったように振り返る
頭に包帯を巻いたショッピは困ったような顔をしてこっちを見ていた
トントンとゾム、大先生の三人の制止を振り切って、
ショッピの肩をつかむ
「ショッピッ…!俺…!俺ッ…!」
言葉がうまくつむげない
息がうまく吸えない
細っこい肩に手をかけたまま思考はグルグル回る
ショッピは困ったように視線を泳がしている
怯えたように手を胸の前にやって少し縮こまっているように見えるのは、気のせいだろうか
すぐに俺の手を大先生がつかんだ
「ちーの待て!」
珍しく大先生が真面目な声を出しているが今はそんなの気にしてられない
俺は…俺はショッピに…!!
「あ…あの…」
ずっと黙っていたショッピが口を開く
いつものショッピらしくなく、眉尻を下げて、さみしそうな顔をしていた
「すんません…どちら様ですか…?」
____話は、冒頭に戻る
「…っは?」
乾いた音が出る
心臓の音がうるさい
「俺だよ?ちーのだよ?ほら、ずっと一緒にやってきたじゃん?なぁ、ショッピ…!」
そう言いながらじりじりとショッピににじり寄っていく
なんでそんなに怯えるんだよ?
俺らずっと…!!
視界がだんだんと滲んでいく
ショッピに思い出してもらわなくちゃ、じゃないと…俺なんて謝ればいいんだよ…!
そんな俺の肩を大先生がつかんだ
「…ちーの、ショッピが怯えとる」
その声に、俺は頭から冷水をかぶったような気さえした
俺の背に芯が通ったんだ
簡単に言えば、冷静になった
目をまばたかせると、頬に伝う小さな熱
俺は泣いているんだと気づかされた
そして目の前のショッピが、見たことないくらいに怖がっていることを
「…大先生…この人…知り合いですか…?」
「…お前の友達やで、ショッピ。事故の時、すぐそばにおってん」
俺はまた混乱した
なんでショッピは大先生と話すときはいつも通りなんだ?
「ショッピはな、お前のことだけ忘れてもうてん」
後ろからトントンが話しかけてくる
その言葉に、また俺はおかしくなってしまいそうだった
「やから会うのはよくないって言ってん…大丈夫か?」
ゾムが俺の目の前で意識を確認するかのように手を振る
正直、それどころじゃない
目の焦点が合わない俺の頭を誰かがたたいた
「ちーの、落ち着きや」
少し悲しそうに、でも俺を励ますような哀し気な顔をしたシャオロン
なんやいつの間におったんや
「あ~…おう…」
適当に返事する
「そういやエミさんは?」
「今は____」
「ああ___」
「ほんならさ、____」
みんなの言葉も右から左で、頭に入ってこない
その先の記憶は正直曖昧で
ただ気が付いたら、自宅で枕を濡らして眠っていた
ショッピside
どうやらワイは、事故にあってしまったらしい
らしい、というのは、実際ワイが事故を覚えてないんや
いや、トラックに轢かれたのは覚えている。
ただ事件のどこかが、靄がかかったように不鮮明ってだけ
目が覚めたら病院で、すぐそばにはエミさんがおった
交代でワイの番をしてたらしくて丁度、トントンさんと交代したとこらしい
「ちーの君にも伝えなあかんな」
うきうきとした様子で言うエミさんに
ワイは不信感を覚えた
「…ちーの君?」
ただオレンジ色がよぎる名前だとしかおもえなかった
何一つ覚えがなかった
「…え?ちーの君…やで?」
エミさんがまさかといった顔でこちらにもう一度問う
「すんません…ちょっと…わかんないっす…」
病室には、そのちーの君とやらを除いたメンツが集まっていた
もちろん全員覚えがある
「…本当にちーのさんのことだけ忘れてるっぽい…ですね…」
太郎が毛皮の顎に肉球を当てて唸った
「まさかとは思ったけど‥俺のことも覚えてるから、本当にちーのだけなんやろうなぁ…」
もりこーさんがこっちを覗き込みながら言う
「ちーの結構思い詰めてたからなぁ…」
大先生がたばこを吸いたそうに手をせわしなく動かしている
ワイだって吸いたいんですけどという気持ちを込めて少しにらみつけた
「ちーの多分気ぃ狂ってまうで?」
大先生も、ゾムさんも、トントンさんもシャオさんもエミさんも…
三者三様それぞれワイの知らないちーの君とやらについて悩みこみ始めた
「…あ、ワイそろそろリハビリの時間みたいっすわ」
怪我はトラックに轢かれた割に軽いとはいえど、やっぱり寝たきりだったから体力が落ちてるらしい
「ああ…ほんなら俺がしょぴについとるわ」
大先生が保護者役をかって出てくれた
「じゃあ俺とトントンでどうにかして角が立たんようにちーのに連絡するわ」
「ほな俺エミさんとbar戻ってショッピ君の服とかとってこよかな」
その言葉たちを皮切りに、この場はお開きとなっていった
数日後、
数度目のリハビリ帰り、大先生に手伝ってもらって、病院のロビーを歩いていた時
遠くからオレンジ髪の男がワイの名前呼びながら駆け寄ってきた
「ショッピ!」
その目には薄い水の膜が張ってあって、潤んでいた
誰だかわからない
大先生たちが制止するがその男は止まらない
「ショッピッ…!俺…!俺ッ…!」
ワイの肩をつかんで荒い呼吸を繰り返してる
一体何なんだこいつは?
「ちーの待て!」
大先生が男の腕をつかむ
ちーの?
ちーのってあのちーの君の?
ワイは知ってるはず
だけど、思い出せない
本当に知り合いなのか?
何一つ思い出せない
「あ…あの…」
目の前の錯乱している男に言う
「すんません…どちら様ですか…?」
続く…