コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
こんにちは!
さよきです。
ご本人様には全く関係ございません
幼tn side
小さい頃からずっと僕は「なんでもできる賢い人」だった。
年下の子も、同級生も、大人からもトントン君は凄いね、なんでも出来るね。って褒められて育ってきた。
褒められるのは嬉しかった。
けど、褒められれば褒められるほどどんどんミスができなくなった。
間違えた時、言われる言葉が辛かった。
「あのトントン君なのにこんなことで間違うの?」
「ちゃんとできない子には誰も興味ないよ」
「無能が出しゃばんな」
有能でいるのが嫌になった。
なんで僕は頑張ってんのに誰も認めてくれないんだ?
せめて。
お母さんとお父さんには認めてほしかったのに…。
両親は僕を完璧な人間にしたかったらしい。
僕がミスったらすごく怒った。
僕を罵って、殴った。
もう、うんざりだった。
逃げ出したかった。
この世界から。
ある日。
戦争が起こった。
一年程経っただろうか。
俺らの国は負けたらしい。
国のトップである総統が殺された、と近所の人が言っていた。
終わったはいいが、食料は人数が多いほど消費する。
まだ、戦争の跡形が残る真冬の日、親から出て行けって言われた時は心が弾んだ。
嬉しかった。
1日も経たないうちにその気持ちは後悔へと変わった。
どんなに罵声を浴びさせられても喋る人が居た。
少しのご飯を食べれた。
そして、外よりはこんなに寒くなかった。
当たり前だ。
こんな真冬に外に居たら凍死する。
嗚呼。
誰か。
誰か。
tn「助け…て…」
…
gr side
つい先月。
俺らW国は散々他国から恨まれてきたL国の総統を打ち取り、その領土をW国へと併合した。
L国は差別、虐待、人体実験…などなど。
結構治安が悪かった。
それが他国から評判が悪い理由。
今は元L国領土の見回りをしている。
街の中には孤児や、帰る場所を失った人がいる。
その人たちを保護する。
敵国の総統やからもちろん拒否する人もおるけど、元総統に嫌気がさしている人がほとんどやから大体はW国の方針を良く思ってくれている。
gr「…あ」
また1人見つけた。
まだ16、17歳ぐらいの(俺から見れば)子供だ。
座っている。のか?
いや、意識がない。
gr「…やばいかもな」
こんな寒さだ。意識を失ったら死んだも同然になる。
とにかく、まずは医務室に行かんと。
取り敢えず俺にわかる最低限の処置はした。
低体温症は一歩間違えると死だ。
ここにはまだ、医療専門の幹部がいない。
まずそもそもこの国を作って2年だ。
幹部はオスマンしかいない。
いい人が居ればいいな。という思いもあり、街を歩き回っていたのもある。
最優先は保護だがな。
os「グルッペン」
gr「…!抜けても大丈夫だったのか?」
os「大丈夫。みんな優秀だからね」
gr「そうか」
os「それで、この子は大丈夫なの?」
gr「嗚呼。生きている。低体温症だったが、この部屋にいれば目を覚ましてくれるだろうな」
os「良かった」
gr「ただ少し熱があるみたいだな」
os「なるほど。…起きたら話聞いた方が良さそうかな」
gr「そうだな。…痣が…気になるもんな」
os「うん」
幼tn side
…あれ?
ここは学校?
先生も、クラスメイトもいる。
今は戦争後で学校がないはずなのに。
tn「ねぇ、ここって…」
「うっせぇ」
「話しかけてくんな。なんもできねぇくせに」
tn「なぁ!おれ…」
「……ww」
tn「…。なんでだよ。なんで。俺は、、俺なりに頑張ってるし」
先生「あっち行きなさい。貴方はいらないわ」
tn「…ッ」
ハァ
ハァ
…ッッ
tn「あ…れ…?」
gr「お!起きたか!」
tn「…ッ」
gr「オスマン!起きたゾ」
os「…!よかった!体調どう?」
tn「…」
os「大丈夫。この人怖そうだけど怖くないから。今は」
tn「そ、…そうです…か」
gr「…一言余計」
os「僕はオスマン。この人はグルッペン。名前教えてくれる?」
tn「トントン…です」
os「トントンか。ありがとう。なんか分からんことあったら聞いてな!」
tn「…ありがとうございます」
この人たちは…僕に話しかけてくれるのか?
なんで…?
みんな僕のこと無視してたのに。
この人たちは、怖くない。
怖くないって分かってるけど。
体の震えが止まらない。
俺はなんでも出来ないとダメなのに。
有能じゃなきゃ。
gr「なぁ、」
tn「…!あ、…はい」
gr「その、体の痣。どうした?」
tn「…お母さん」
gr「お母さん?」
tn「僕が失敗したらお母さんが…僕のこと殴るんです。でも、!それはお母さんなりの愛だって言ってました」
gr「…ットントン。」
tn「はい?」
gr「それは、。愛じゃなくて、犯罪。」
tn「え?」
…。
嘘だ。
この人は。
嘘をついてる。
だって僕のお母さんもお父さんも頑張ったらちゃんと褒めてくれた。
失敗したときだって…
失敗したとき…
…
失敗したとき殴られたのはなんで?
僕が
いらなかったから?
僕が
ちゃんとしなかったから
僕が
全部わるい?
おれは
ちゃんといきないと
だめなのに
tn「ぼ…く…がわる…い」
嗚呼。
い…き…が…
gr「と……ん!と…とん!トントン!!」
os「大丈夫?聞こえる?」
tn「…ぁ」
os「俺に合わせて息して!」
tn「は…ぃ」
os「吸って…吐いて。」
tn「スゥゥゥゥゲホッ…ハァァァァガヒュゲホ…ッハァハァ」
os「ゆっくりで大丈夫やから」
tn「スゥゥゥゥ…ハァァァァ…」
os「…落ち着いた?」
tn「は、い。本当に…ありがとうございます。僕が悪いのに。迷惑なのに。」
『……』(顔を見合わせる
gr「トントンは悪くない。俺ら、誰1人として迷惑なんて思ってない。なぁオスマン」
os「うん。」
tn「…ッ。ほんとですか?」
os「君はさ、失敗を恐れてるよね。人はね失敗しないと生きていけない動物なんだよ。それこそ失敗しなかったら過ちを学ばずに過ごしていくことになる。トントン、失敗してもいいんだよ。有能じゃなくてもいいんだよ」
tn「……ポロッ」
失敗してもいい、って
ずっと
僕は
そんな言葉を
誰かにかけてもらいたかったのだろうか
幸せが何か分かった気がした。
それと同時に、ここに来てから続いていた体の震えが消えていった。
この人たちのそばに居ると心が暖かくなる。
「嬉しい」
ここ数年、全く無かった感情が俺の心に芽吹いた。
新連載です
頑張って描き上げたいです
気に入っていただけると嬉しいです!
ではまた次の話で。