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※これはとあるオープンチャットのノートに書いた
即席麺みたいな物語です。
桃side
ある季節外れに暑い春の日のこと。
2人の高学生が公園で駄弁っていた。
「…なあ、それ1口ちょうだい」
青の口に運ばれている
サイダー味のアイスを指さし言う。
すると、青は顔をしかめて
「やだよ」とだけ言い放った。
いつものことながら塩対応だ。悲しい。
大袈裟にしゅんとしてみせると、
罪悪感を感じたのか
アイスをしゃぶっていた口が開いた。
「自分の分あるのになんで僕の取ろうとするの。」
その視線の先には俺のアイスを握った右手が。
全く同じメーカーの全く同じサイダー味だ。
「青のが食べたかったから…?」
「なんで疑問形なんだよ」
そうツッコみ、またアイスをしゃぶりだした。
うーん、凝視してしまう。
ただただ棒アイスをしゃぶっているだけだ。
それだけなんだけど…。
やっぱり思春期は難しい。
とりあえず自分のアイスが溶けてきたので食べよう。
手がベタベタになったら青に舐めてもらおう。
…多分断られるけど。
「…食べる?」
食べるのを再開した俺に話しかけてきたのは、
他でもない青だ。
まあ、ここには俺と青しかいないので
当たり前なのだが。
「え、なんで。さっき駄目って言ったじゃん。」
「…なんか僕の食べて欲しくなった。」
「…なんそれw」
うーん、やはり思春期は難しい。
「なら遠慮なくいただくぞ?」
「全部食べないでよ?」
ぱくっと口にアイスを入れる。
さっきまで青が食べていたからか
青の唾液がついている。
全く同じ味なのに、違う味に感じた。
「…あっ。」
「ん?どうした?」
「…これ、関節キス…だね。」
少し顔を赤らめて言う青は、
それはそれは可愛かった。
それと同時に自分も顔が熱くなったのを感じた。
「…あー、そう…だな。」
「いや、ごめん。気にすることでもなかったね。」
「俺は別に…気にしてないけど…。」
嘘だ。めちゃくちゃ気にしている。
なんならもっと青の唾液を楽しめばよかったと
溶けたアイスを口の中に感じながら思っている。
「…僕は別に普通にキスしてもいいけどさ…」
尻すぼみになった言葉は、
音こそ小さかったがしっかりと聞き取れた。
「…それならよだれついてるから
ディープキスだなぁ。」
「うるさい、気持ち悪い。」
そう言っているが耳まで真っ赤だ。
流石ツンデレの青だ。しっかりツンツンしている。
「そんなこと言っちゃってさ〜。
顔まっかっかじゃんw」
「そんなことない!!…普通でしょ。」
「なら隠してないでこっち向いて見せてよ〜。
そしたら信じられるからさ。」
「はぁ…これでいッ」
チュ
夕日に照らされた地面には、
重なった2つの影と
溶けたアイスキャンデーが落ちていた。