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みこ「……っ、すいちゃん、もう……いじわる言わないでよぉ」
耳元に残る熱を振り払うように、みこは真っ赤な顔をして俯く。
どっちに酔っているのか、もう自分でも分からない。
星街「いじわる? ビジネスパートナーの反応をテストしてるだけだよ」
すいせいはそう言って、空になったたい焼きの袋を丸めた。
でも、その横顔は少しだけ火照っていて、西日のせいだけじゃないことは、隣にいるみこには分かっていた。
星街「……ねぇ、みこち」
すいせいの肩にみこがコテリと頭を預ける。昨夜の雨のスタジオと同じ。
でも、なにか違う。
星街「……これからは、他の誰かに『あーん』なんてしちゃダメだよ。ビジネス的に、独占契約違反だからね」
みこ「……それ、すいちゃんがしたいだけじゃん……っ」
みこが赤くなって言い返すと、すいせいはフッと柔らかく微笑んだ。
星街「……悪い? 私は、みこちが思ってるよりずっと、独占欲強いんだよ」
すいせいの指先が、みこの手のひらで小さな円を描く。
それは、昨日よりも、今朝よりも、ずっと切実で優しい「意思」の形。
星街「……みこち。……次は、たい焼きじゃなくて、もっと甘いもの……予約、いい?」
みこ「……にぇ……っ。予約、キャンセル不可だ…よ、ね……?」
星街「……当たり前でしょ。ビジネスパートナーなんて、もう言い訳にさせない、私の意思…」
すいせいは顔を上げると、真っ直ぐにみこの瞳を見つめた。
星街「……一生分、予約済み。……分かった?」
夕闇が二人を包み込む。
もう雨も、ビジネスという名の防波堤も、どこにもなかった。
ただ、寄り添う二人の鼓動だけが、静かな公園に響いていた。