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「――というわけで! 今日のmiCometコラボはここまで! おつみこ~!」
「おつまち~! バイバイ!」
接続が切れたことを確認して、みこは大きく背伸びをした。
みこ「緊張したぁ。ねぇ、ビジネス不仲、ちゃんとできてた?」
Discordの向こう側で、すいせいが小さく吹き出す声が聞こえた。
星街「全然ダメ。ちょっと毒吐いただけで黙り込むんだもん。『今日のみこち、ガード緩くない?』って書かれてたよ」
みこ「だ、だって…! すいちゃんの顔見ると、あの公園の時のこと思い出して…っ」
夕闇の中での「一生分、予約済み」という言葉。思い出すだけで、熱を帯びる。
星街「…ふーん。思い出して、それで、どうなったの?」
配信用の「アイドル・星街すいせい」ではない、あの夜、みこの手首を掴んだ時の、熱を孕んだ声。
みこ「…どうにもなってない!」
星街「…今から、みこちの家、行っていい?」
みこ「えっ、今から!? だって、もう深夜だよ……?」
星街「体調管理も、私の仕事。ちょっと声掠れてたし。……それに」
少しの沈黙の後、衣擦れの音が聞こえる。すいせいが立ち上がったのが分かった。
星街「……声だけじゃ、足りないみたい」
みこ「……っ」
星街「15分で行くから。……鍵、開けといて」
一方的に通話が切れる。
電子音だけが響く部屋で、みこは自分の心臓の音が、配信中のどのBGMよりも大きく鳴り響いているのを感じていた。
雨も、ビジネスという名の防波堤も、もうない。
夜の静寂の中、みこは震える手で、玄関の鍵をそっと解いた。