「連れてきたよー!」
「あっ、ラウールさんありがとうございます!」
「いえいえー、ほら涼太くん、みんないるよ。」
「あ、みんなだぁ…久しぶり…」
「久しぶり舘さん!ラウールさんにも懐いてきたねぇー」
「舘さん抱っこしてもらって嬉しそうー」
「んぅ…うれしいよ…」
「良かったね、舘さん。」
「にしても顔赤いね。熱どのくらいあったんですか?」
「確か…38度台はあったかなぁ…」
「「「「「たっか。」」」」」
「ラウールさんめっちゃ冷静ですね。」
「うーん…涼太くん熱出してる時大体この位は余裕でいくからもう慣れたかなぁー…」
「成程…」
「涼太ー、俺らお土産持ってきたんだけどいるー?」
「…いる。」
「ハハハッ!涼太子供みてぇー!」
「…子どもじゃないもん。」
「はいはい。んで佐久間、渡してあげて。」
「いえっさー!はい、涼太!」
「…?これなに?」
「名付けて!5人の手作りゼリーであります!」
「単純なネーミングセンスをしてるね佐久間。」
「わぁ…良かったね、涼太くん!」
「えへへ…ありがと、みんな。」
「どーいたしまして!あ、それぞれ味がねー…」
そんな話をしているともうあたりは真っ暗になっていた。
「わっ、もうこんな時間だ!」
「あっ!ほんとだ!アニメのリアタイ遅れちゃう!」
「じゃあ俺らはそろそろ帰りますね。舘さんちゃんと安静にしとくんだよ?」
「んぅ…?はーい…」
「絶対舘さん分かってないよ…」
「まぁそこは3人が何とかしてくれるでしょ。」
「うん、任せといて!」
「じゃあお邪魔しました!」
バタンとドアが閉まる。それと同時にラウ兄さんにしがみついた。
「…!どうしたの涼太くん?」
「ラウ兄さ…っ…頭痛いっ…」
「横になる?」
「なる…っ…」
「じゃあまた抱っこするから。つかまっといてね。」
そう言ってラウ兄さんはまた俺を抱っこして自室まで連れて行ってくれた。すると自室のドアが開いた。
「「ただいまー」」
「あ、めめ、康二くん、おかえりー」
「ただいまぁー、涼太くんどう?」
「お友達が帰ったあと頭痛いって言ってて…今ピークなのかな…」
そう言いながらラウ兄さんは心配そうにこちらを見た。その間にも頭痛は悪化していく一方で、痛みを逃すように枕に頭を押し付けた。
「~っぅ…痛いっ…痛い痛い痛い…」
「辛いね…うちに頭痛薬あったっけ?」
「ちょっと探してくるな。」
康二兄さんは静かにその場を離れた。
「ラウール、熱測った?」
「あっ、忘れてた。測ろっか。涼太くん」
そう言ってラウ兄さんが体温計を差し込んだ。
「ひっ、く…い゙だぃ…っ…」
「泣かないで…頭もっと痛くなるよ。」
「…あっ、鳴ったね。」
「何度?」
「…わぁ…38.7度…」
「…康二が持ってきてくれる薬を飲んでみて変化がなかったら病院行くか。」
「そうだね。」
「持ってきたでー」
「ありがと康二。涼太くん、康二が薬持ってきてくれたから飲もう。体起こすよ。」
そう言って蓮兄さんは俺の体をそっと起こし、後ろに回って背もたれがわりになってくれた。大人しく蓮兄さんに寄りかかり頭を胸に押し付けた。そんな俺を蓮兄さんは心配そうに見つめ、頭を撫でた。
「…痛いな。頑張れ。」
「…っう…蓮、兄さ…痛いぃ…」
「…康二。」
「分かっとる。涼太くん、口開けて、薬いれるから。」
「…っ、あ…」
「そ。…はい、水。」
「…んく…」
「よし、おっけ。めめ、寝かせてええよ。」
「了解。」
「…いやっ、このまま、が、いい…」
「…分かったけど、何で?」
「こっちの方、が、痛いの、こない…」
「成程ね。…でも俺の背もたれでいいの?」
「いい…蓮兄さん暖かい…」
そう言うと、蓮兄さんは目を丸くさせ、ほかの2人が悶え始めた。そんな3人を見ていると不思議と安心してそのまま眠りについた。
頭の痛みで目が覚めた。部屋にはだれもいない。外は真っ暗で、時計を見るととっくに日付がまわっている時間だった。体は熱くてすごい頭が痛い。薬は効いてないようだった。近くにあった体温計で熱をはかると39度を余裕で越していた。怖くて震える足で部屋を出て誰かの部屋に向かうが、足の力が抜けてストンと床に座り込んでしまった。
「…うぅぅー…誰、かぁ…いないのぉ…」
廊下のど真ん中で泣いてしまっていると、近くのドアが開いた。
「誰…?って、涼太くん!?」
「蓮、兄さっ…蓮兄さんっ…」
「どうしたの?こんなに泣いて…」
「怖いっ…熱、高いのも、頭痛い、のもっ…」
「熱何度あったか分かる?」
「やだ、っ…言いたくないっ、怖いぃ…」
「…そっか、よく頑張ったね。」
そう言った蓮兄さんは一旦自分の部屋に戻ったと思ったら、私服に着替え荷物を持ったまま俺を抱えた。
「病院行こ。怖いのなくしてもらおう。な?」
「ひ、く…ぅんっ…」
「いい子。少し我慢しててね。」
そう言って蓮兄さんは病院に連れて行ってくれた。