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ゆゆゆゆ
#Paycheck
テーブルの上。
ケーキ。
エリオットはフォークを持っている。
ぱく
満足そうに目を細める。
「……やっぱり朝はこれ」
チャンス。
「普通じゃねぇ」
エリオットはにこにこ。
また一口。
ぱく
そのまま――
口元にクリーム。
チャンスがそれを見る。
「ついてる」
エリオット。
「どこ?」
チャンスは立ち上がる。
近づく。
指でクリームをすくう。
「ここ」
エリオット。
「ありがと」
チャンスが手を引こうとした瞬間。
エリオットが手首を軽く掴む。
「……」
チャンス。
「何」
エリオットはそのまま。
チャンスの指を見る。
クリーム。
そして――
軽く舐める。
チャンス。
「……」
止まる。
エリオットは何でもない顔。
「甘い」
チャンス。
「当たり前だろ」
エリオット。
「チャンスの指も」
チャンス。
「……は?」
エリオットは楽しそうに笑う。
ネクタイ。
ぐい
チャンスが前に引かれる。
距離。
近い。
チャンス。
「……離せ」
エリオット。
「やだ」
少しだけ顔を近づける。
チャンスの呼吸がわずかに変わる。
沈黙。
エリオットの目。
いつものにこにこ。
でも少しだけ静か。
「チャンス」
「……なんだ」
「昨日の続き」
チャンスは一瞬だけ止まる。
それから小さく言う。
「……ああ」
エリオット。
ネクタイ。
ぐい
さらに近づく。
あと少し。
ほんの数センチ。
チャンスも動かない。
逃げない。
むしろ――
少しだけ自分から距離を詰める。
エリオットの目が細くなる。
そのまま――
キスしようとした瞬間。
ピンポーン
インターホン。
二人。
「……」
「……」
完全に止まる。
もう一回。
ピンポーン
エリオット。
「……」
チャンス。
「……」
エリオットが小さく笑う。
「タイミング」
チャンス。
「最悪だな」
エリオットはゆっくり離れる。
でも。
ネクタイ。
ぐい
まだ掴んだまま。
「どうする?」
チャンス。
「無視」
ピンポーン(長め)
エリオット。
「しつこい」
チャンス。
「……出ろ」
エリオットは少し考える。
それから。
にこっと笑う。
「すぐ戻る」
チャンス。
「……」
エリオットが離れる。
ドアの方へ向かう。
チャンスはその背中を見る。
小さく息を吐く。
「……あとちょっとだっただろ」