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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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中学校の三学期の始業式があった日から、白河先生は学校内で朝から1時間程度、軽い事務的な作業をすることになった。



私は朝起きて、「今日も頑張ってね!まぁ…無理しない程度にね。」と白河先生に向かって言った。

先生は私の言葉を聞くと、優しい笑顔を顔に浮かべており、とても嬉しそうだった。


そして、「ありがとう!優しく気遣ってくれて。僕も凛さんのその言葉に励まされるよ」と言ってくれた。



しかし、たった1時間だとしても、白河先生には相当の負担になっていると思う。




私、なにか出来ないかな…?




「行ってきます!」

白河先生が明るく言うと、ドアを開けた。


玄関からは、青空が見えており、爽やかな朝日が真っ直ぐ入ってきている。

そして、その光は私と先生を綺麗に照らしている。




私は一度頷き「行ってらっしゃい」と言い、「無理しないでね」と付け足した。


この一言を付け足しただけでも、先生はとても安心出来ると思ったからだ。




私は白河先生を助けたい。

しかし、目立つのは恥ずかしいから、こういう小さな積み重ねで救えたらなと思っている。



「大丈夫!」と先生は言うと、右手でグーサインをし、玄関を出た。






その間、私は先生が居ない時間を使い、白河先生へ手作りのマフラーを作り続けた。

そしてこれは、バレンタインの日に渡そうと密かに決めていた。



私は裁縫系は不器用だけど、大好きな白河先生の為だと思うと頑張れた。






約1時間後、白河先生が帰って来る音がした。

私はすぐに自分の部屋に作りかけのマフラーを隠した。




「何してたの?」と先生が聞いてきたので、私は咄嗟に「スマホやらテレビとか見てた」と言った。


…本当は、先生が居なかった間は1度もスマホやテレビは付けていないけどね。




「そうなんだ。良いね。」と白河先生は返す。



私はその言葉だけでも嬉しかった。



親からは、スマホやテレビを見る時間が制限されていたとかではなく、見ることすら禁止されていたから。




「じゃあ…お昼ご飯食べよっか!」と先生は言う。

「うん!お腹減ってたから」

確かにお腹はぺこぺこだ。




そうして作ることにしたのは、唐揚げ。

揚げている時に油が沢山跳ねてきて熱い。

でも私たちの唐揚げの味は一流モノだった。


「美味しいね!この唐揚げ」

「私たちで作ったからこそじゃないかな?」と私は答える。


それを聞いていた先生の顔はにっこりとしており、一回頷いてくれた。

認めてくれたんだという反応が嬉しかった。






そして2月。

白河先生は時間を延ばし、お昼頃まで居れるようになった。

私は嬉しくもあり、少し寂しさも感じた。


でも一番は、白河先生の心からの満面の笑顔がまた増えてきたのが嬉しい。





そしてバレンタインデー前日の夜。

私は自分の部屋で、編み上げたマフラーをラッピングしていた。


黒色のマフラーを水色の箱に入れ、ピンクのリボンで結ぶ。



そして渡す時のイメージトレーニングを何度も行った。


『喜んでもらえたら良いな…』と思いながら眠った。






そして当日の朝。

私は朝ご飯を食べている白河先生の元へ、昨日の夜にラッピングした箱を持って行く。


「ハッピーバレンタイン!」

と 私は明るめに言う。


先生は少しビックリした様子で

「こちらこそ。ハッピーバレンタイン」と答えてくれた。



「はい。白河先生へのバレンタインプレゼントだよ」

私の手元にある水色の箱が白河先生の手へと移された。


「開けて良い?」と言われ、私は頷く。


先生は丁寧にリボンを解き、そっと箱を開けた。

箱の中の私手作りのマフラーの姿があらわになる。


「おっ!凄い!これ…もしかして、凛さんの手作り?」

先生は目をキラキラさせている。

相当嬉しいのだろう。


「うん!1から手作りしたよ」と私が言うと、先生は更に目を輝かせながらマフラーと私を見ていた。


そして、「ありがとう!凛さん!凄く嬉しいよ!」と言ってくれた。




その後、玄関に先生は行き、早速私手作りのマフラーを付けていた。


私はそれを見て、『先生は相当嬉しかったんだな』と分かった。



すると、白河先生は私に気づき、「どう?似合ってる?」と聞いてきた。

「うん!めっちゃかっこいいよ!」と返す。


確かに白河先生に、私の手作り黒色マフラーはとても似合っていた。



更に先生は、いつも以上に笑顔になり、「行ってきます!」と言った。


先生の元気な声を聞いたのは、何時ぶりだろうか。


こんな私のマフラーで、こんなに元気になることができるんだと私は自信が付いた。








そして1ヶ月後の3月のホワイトデー。


私が起きてリビングへ向かうと、白河先生が小さな薄いピンク色の箱を持って来た。


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