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#Loneliness
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W × R 学パロ
視点がコロコロ変わるので見にくいかもです😫
side 若井
「それさ、もう好きじゃん」
隣で、元貴が平然とそう言った。
「……うるせ」
即答。
でも否定はしない。
できるわけない。
だって——
視線の先にいる藤澤先輩が、また笑ってるから。
「えへへ、ありがと〜」
誰にでもああやって笑う。
距離も近いし、反応も柔らかい。
(……ほんと無理)
「おい。」
「ん?」
元貴がニヤつきながらこっちを見る。
「絶対バレてるよ、あれ」
「……は?」
「いや、あの人」
顎で藤澤先輩の方を指す。
「絶対気づいてるって」
「いや、気づいてねえよ」
即答。
「なんでそんな言い切れんの」
「見てりゃ分かる」
ほんとに、分かる。
あの人は、そういうのに鈍い。
悪気なく、人を振り回すタイプ。
「へえ〜」
面白そうに笑う元貴。
「じゃあこのまま行くわけ?」
「……行くしかねえだろ」
そう言いながら、目は逸らせない。
side 藤澤
今日も部活。
後輩たちが練習してるのを、のんびり見てた。
「若井くん、そこちょっと違うかも〜」
そう言って近づく。
自然と、距離が近くなる。
「ここ、こうした方がいいよ」
手元を軽く指す。
すると、
「……っ、近いです」
ぼそっと言われた。
「え?」
顔を上げると、若井くんが少しだけ顔を逸らしてる。
「そう?」
「……はい」
「えへへ、ごめんね」
あんまり気にせず笑う。
でもなんか、ちょっとだけ様子が変な気がした。
(疲れてるのかな?)
それくらいにしか思わなかった。
side 若井
「……っ、近いです」
つい口に出た。
言うつもりなかったのに。
藤澤先輩がきょとんとした顔でこっちを見る。
(あーもう)
「そう?」
って笑う顔。
ほんと、無自覚。
「えへへ、ごめんね」
謝られても意味ない。
(そういうとこだっての)
でも、それ以上は何も言わない。
言えない。
言ったら、多分——
全部バレる。
side 元貴
(あーあ)
ほんとに分かりやすい。
若井は余裕なさすぎだし。
藤澤先輩は気づかなさすぎ。
バランス最悪。
「あの、藤澤先輩」
軽く声をかける。
「ん?」
いつも通り、ふわっとした返事。
「若井のこと、どう思ってます?」
「え?」
一瞬、若井がこっちを見る。
いい顔。
「どうって?」
「そのままですよ」
ちょっと意地悪に聞くと、
「えーと……」
藤澤先輩は少し考えてから、
「かわいい後輩?」
にこっと笑った。
——あ、これ終わったわ。
side 若井
「かわいい後輩?」
その言葉、ちゃんと聞こえてた。
(……はあ)
分かってたけど。
分かってたけどさ。
ちょっとくらい、期待するだろ。
「そっか」
それだけ言って、視線を外す。
元貴が横でニヤニヤしてるのも分かる。
「お前、顔」
「うるせ」
「いやごめん。今のは普通に可哀想」
「黙れ」
でも、
それでも。
やっぱり、目は追う。
side 藤澤
なんか、変な空気になった気がする。
若井くんがあんまりこっちを見ない。
「……若井くん?」
呼んでも、
「なんですか」
そっけない。
(あれ?)
さっきまで普通だったのに。
「なんか怒ってる?」
「別に」
またそれ。
「絶対嘘」
近づくと、
少しだけ距離を取られる。
(え……)
初めて、そんなことされた。
「……なんで避けるの?」
思わず聞く。
すると、
少しだけ間があいて、
「……避けてないです。」
って返ってくる。
でも、
目、合わせてくれない。
side 若井
近づいてくる。
それだけで、心臓がうるさい。
でも、今は無理。
「なんで避けるの?」
そう聞かれて、少しだけ詰まる。
(避けてるのは事実だろ)
でも、
「……避けてないです。」
って言うしかない。
これ以上近づかれたら、
多分、
「……っ」
言う。
絶対言う。
だから、
一歩、下がる。
side 藤澤
避けられた。
はっきり分かるくらい。
(なんで)
胸が、少しだけざわつく。
「……ねえ」
もう一歩、近づく。
今度は逃がさないように。
「こっち見て」
そう言うと、
やっと視線が合う。
その瞬間、
少しだけ息が詰まった。
「……なんですか。」
低い声。
でも、いつもと違う。
「怒ってる?」
「……怒ってないです」
「嘘」
即答すると、
少しだけ眉が寄る。
「……なんでそう思うんですか」
敬語。
それも、ちょっと距離あるやつ。
(やだな、それ)
「だって、避けるし」
「避けてないって言ってる」
「避けてるよ」
言い返すと、
一瞬だけ、空気が止まる。
side 若井
限界。
ほんとに。
これ以上は、無理。
「……先輩」
呼ぶと、
「ん?」
っていつも通り返ってくる。
それがまた、ムカつく。
「……分かってないですよね」
ぽつっと出る。
止められない。
「え?」
きょとんとした顔。
「なにが?」
——ほらな。
やっぱり。
「……なんでもないです」
そう言って離れようとした瞬間、
腕、掴まれる。
「待って」
予想外の力。
振りほどけない。
「ちゃんと言って」
真っ直ぐ見てくる。
逃げ場が、ない。
side 藤澤
なんか、違う。
いつもの若井くんじゃない。
でも、
「分かってないですよね」
その言葉が、引っかかる。
「なにが?」
聞いても、はぐらかされる。
(やだ、それ)
そのまま離れようとするから、
思わず掴んだ。
「ちゃんと言って」
少しだけ、強く言う。
すると、
若井くんがこっちを見る。
その目が、いつもと違って——
「……ほんとに分かんないんですか」
低くて、少しだけ揺れてる声。
「え……」
一歩、近づかれる。
距離が、一気に縮まる。
「俺が、どんな気持ちで」
そこで、言葉が止まる。
でも、
もう分かる。
なんとなく。
空気で。
「……若井くん」
名前を呼ぶと、
一瞬だけ、目が揺れた。
side 若井
やばい。
言いそうになる。
全部。
でも、
言ったら、今の関係が終わる。
「……すみません」
それだけ言って、
一歩引く。
逃げるみたいに。
「ちょっと、頭冷やしてきます」
そう言って、そのまま背を向ける。
止められなかったら、多分——
ほんとに、戻れなくなる。
side 藤澤
行っちゃった。
そのまま、何も言えずに。
(……なに、今の)
でも、
さっきの言葉。
「どんな気持ちで」
あれが、ずっと頭に残ってる。
胸が、少しだけざわつく。
さっきまでと違う意味で。
(……もしかして)
そこまで考えて、
初めて、
少しだけ顔が熱くなった。
続きます!