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アレイシアとのデート当日。
午後2時に着くようにソブール公爵邸に馬車で向かった。
今回のデートはアレイシアと二人きり。
馬車はウェルに御者をしてもらう。
アレイシアはリタがいないと落ち着かないかも知れない。
だから、今回は喫茶店でお茶をして終わればすぐに解散の予定。
話す内容もこの前のお茶会と少し謝罪混じりで話す。
「白黒の王子様」の内容で盛り上がればなおよし。
アレイシアを迎えに行くとそのまま馬車での移動は二人きり。
二人きりの空間でかなり緊張しているようだ。
早い鼓動に無表情。
うん、彼女は今日も平常運転。
「やはり二人きりですと緊張してしまいますか?」
「緊張などいつも通りにしていれば問題ありませんので」
『ドクドクドク』
「そうですか、さすがですね。僕はかなり緊張してしまってます」
「そうは見えませんが?」
現在馬車内で会話をしている。
お茶会から一週間経ったその間何もしなかったわけではない。
少しアレイシアの人柄について考えていた。
アレイシアは終始気を張っている状態。だが、厳しい口調なるが返答はきた。
そしてお茶会での会話を通していくつか推測した。
アレイシアは他人に弱いところを見せたくないのだろうと。
自分を強く見せている。
今、話している中でも僕が緊張していると言っても自分は大して気にしていないと発言した。
かなりの緊張状態なのに矛盾した言動。
だから、自分の弱さを外に晒したくない故、強い口調になってしまうのかも知れないと思った。
それを解決するために僕がすべき行動は決まっている。
「こう見えてもかなり緊張してますよ。……上手く取り繕っているだけです」
あからさますぎるかもしれないけど,まずは自分が弱さを晒すこと。
アレイシアは自分の素を他人に見せるのが怖いと感じている。
確信は持てないけど。
だから、僕がアレイシアとの関係を進展させるためには信用を勝ち取るのが手っ取り早い
「このままでは僕は緊張のあまり、失敗をしてしまうかもしれません。なので、今日は細かいことは気にせずに過ごして下さいませんか?」
こう誘う理由はあくまで僕がそうしたいからだと明確にする。
僕が緊張してしまう、でもそれだとミスをして恥をかいてしまう。
あくまで僕が一方的なお願い。
「外に出ているなら尚更周りを気にするべきですわ。貴族たるもの常に優雅であれ。恥を晒すのはできません」
「そうですか。ですが,今のまま過ごした場合、緊張ゆえミスを繰り返してしまうと思うのです。この前のお茶会をした際、アレイシア嬢への贈り物を馬車に忘れてしまうというような」
「……」
アレイシアは少し悩んでいた。
どう返答すべきか悩んでいるのだろう。
「……わかりました。ですが、最低限のマナーは守ってくださいまし」
「承知しました」
だが、やはりマナーは気にせずにという部分は難しかったようだ。
まぁ、多少なりとも僕自身の弱さを晒す部分は達成できたかな?
だが、あからさまな部分があるけど、以前のお茶会を例に出したから少しは信用してくれたと思うか。
自分の弱点を晒した。アレイシアが僕に少しでも共感してくれたら嬉しいのだが、やはり無理そうだ。
まぁ、馬車では少しでも会話ができたので充分だろう。
緊張のしすぎです会話ができないかもと予想していた。
だが、二人きりでも会話ができたこと。
最低限の目標は達成かなと思う。
その後は会話が続かなかったが、以前母上と行った喫茶店はそう遠くなかったのですぐに到着した。
「こちらが事前にお話ししていた喫茶店になります」
「そうですか」
「では、店内まで僕がエスコートさせていただきます」
そう言って馬車から店内までアレイシアをエスコートしたのだった。