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第五章
〜大事の後〜
第92話
店が復活してから一週間。
ノア以外は、もういつも通りになってる。復旧がスピードが速い。
まぁ、ノアの調子は段々良くなっているように見えるけど、結局は、身体に何も取り込めていないと思う。見てて段々、痩せてきているのが分かる。
それと……昨日、ニルスさんから、気になる事を聞いた。
『リナの捕まえたやつらが全員死んだ』
……ソース。絶対あいつが何かしでかしたでしょ。
「リナ。少し、休んできていいか?」
カウンターでぼーっとしてた私にノアが後ろから肩をつついてきた。
はっと我にかえって、後ろを振り向くと真っ青な顔をしたノアがいた。
「うん。今日の内は休んでて」
「ありがとう」
そう言ってノアは、ふらふらしながら階段を上がっていった。
……どこの呪い?
私は、あれが呪いってのは分かった。それと、前の呪いがいつの間にか解けてることも。
それに、守るべきリストと同じように、昨日の夜に倒すべきリストも、光の粒子になってどこかへ飛んでいった。
それと、ノアの持ってたあの紙……今回、呪われた人たちだ。
呪ったのは……強い魔力の人。前に呪ってた、あの女とはまた別。
何で、私にかけなかったのかは、不明。
閉店時間間近に、カランカランと最近新調したドアベルを鳴らしてマルティンさんが入店した。
「いらっしゃいませ」
「リナか。すまないが、カールはいるか?」
「はい。お呼びいたしますので、こちらにおかけになってお待ちください」
そう言って私は、マルティンさんを客室に案内してから、アトリエ部屋に入った。
「カールさん。マルティン様がお呼びです」
「そうか。今行く」
そう言ってカールさんは、糸屑にまみれたエプロンを脱いで、シャキッと服装を整えた。
私はカールさんを客室まで連れてきて、紅茶を注いで茶菓子を出して退室した。何か、聞いちゃいけないことな気がしたからだけど……気の所為かな?
フッと無性に入っていた肩の力を脱いて掃除を始めるとまた、カランカランとドアベルが鳴った。
「いらっしゃ――」
私がそこまで言いかけたら、とんでもない殺気を放った、狼の一割型獣人が扉の前で立っていた。
心なしか、ノアに似てる気がする。
それに着ているのは、国王直下部隊――第一部隊の制服だ。それに、エリートのバッチをつけている。ニルスさんから聞いた事ある。
この人は……
「俺の弟はいるか? 話がある」
ノアの、事……?
いや、年齢的にそうだろう。それに、何この圧……感じた事無い。
「申し訳ございません。先客がいますので、出直していただけると――」と言いかけると「ならいい」と短く吐き捨てられた。
……あの人は、よーく注意しないとね。後で誰からか、聞かないと。
私は、色々と整理整頓してから、ドアにかかっている札を『Open』から『Closed』にひっくり返した。
二階に上がって、夕ご飯の支度を始めた。
今日は少し冷えたから、野菜ごろごろのスープ。ノアには、そこに白米を入れて、おかゆ風にして出す予定。
「リナ。ノアは部屋?」
グツグツとスープを煮込んでいるとマリーさんが、布巾を持って話しかけてきた。
「はい。お昼からずっと部屋で休ませています」
「そう……さっき、部屋の中でノアの魔力がグチャグチャしてたから……」
グチャグチャ?
どういう事?
「あ、でも、今はぐっすり寝ているわ。起きてからは、寄り添ってあげるといいわ」
「はい」
私は、よく分からないまま頷いた。
❂
頭がボヤボヤする。
あれから、俺はベットの上で横になっていた。もうしばらくは、起き上がれないだろう。
食欲というものというか……吐き気も感じにくくなってきた。ニルスさんに、薬を処方されてるから、マシになってきたけど……呪いは、強くなってきている。
こっそり、抑え込んでるのは、秘密。
絶対、怒られるだろうし……それに、誰にも見つからなかった嵐は無かった事になる。それと同じで、俺のこの呪いも見つからなかった嵐。
その前――気づかれる前に、お兄様を降参させる。
俺は、自分の手をギュッと握って、覚悟を決めた。
夕方頃になると、何か『逃げないと』という逼迫感に襲われた。
でも、身体は動かない。
それと同時に『守らないと』という気持ちが湧いてきた。
でも、心の中で沸騰して湧いてきた頃にはもう、その気持ちたちは無くなっていた。
……一体何だったのだろう?
俺は、よく考えようと思ったけど、ベットの上で疲れ果てて眠ってしまった。
コメント
1件
第93話、読み終えました! ノアの呪いが着実に進行してる感じがひやりとしますね…「見つからなかった嵐は無かった事になる」って表現、すごく心に残りました。リナはノアの異変に気づいてるけど、ノアは隠して覚悟を決めてる。このすれ違いがじれったくて、でも二人とも相手を想ってのことなのが伝わってきます。 ラストに登場した狼の獣人、間違いなくノアのお兄様ですよね。あの殺気と圧…どんな関係性なのか、続きがすごく気になります。リナが冷静に対応したのも、この世界での立ち回りの成長を感じました!