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💛「見て?すごくない?」
永遠に続くかと思われた坂道が途切れ、広い平坦な場所に着いた。
照が立ち止まり、俺の肩を叩く。
どうやら山頂に着いたらしい。大して息が乱れていない照に比べ、運動不足が祟った俺は、喘ぐように肩で息をし、俯き、顔を上げることもできないでいた。
💛「阿部、見てみろって」
💚「うん…」
見渡す限り何物にも遮られない、山頂からの360度の壮大な景色は、確かに息を呑むほどに美しかった。もう太陽は西に沈みかけ、眼下の町はオレンジ色に染まり始めている。苦しい登山をやり遂げた達成感も、その景色の美しさに拍車を掛けていた。
💛「よし、戻るか」
💚「は?もう?」
💛「暗くなると帰れなくなるから。急ぐぞ」
ちょっと休んだかと思うとさっさと下山を始める照のタフさと配慮のなさに愕然とする。
トレーニングかと思うような照とのストイックな登山の同行はあまり楽しくなかった。
💛「マジで?ここに泊まるの?」
💚「俺、帰り運転するから。もう無理。足痛くて温泉入るだけじゃ回復しない」
💛「いいけど、朝早くなるよ?」
💚「3時に起きるのとか慣れっこだから大丈夫」
俺は胸を張ってみせた。
俺自身が疲れすぎてるのと、登山の様子から照が余韻とかには浸らずに、すぐ解散すると言い出しそうだったので、日帰り入浴のつもりで立ち寄った宿にそのまま泊まることを提案した。
💛「阿部、同室でいいよな?」
💚「もちろん」
同室がいいんだよ、と思いながらフロントで鍵を受け取り、部屋に入った。