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❤️「目黒くん、そろそろ離れて」
涼子さんの声で俺達は我に返った。
抱き着かれた時は驚いた声を上げていたけど相手が目黒だとわかると呆れた様子に変わっていた。
🖤「えー?ダメなの…?」
❤️「ダメ。みんな驚いてるでしょ?」
🖤「でも…、久しぶりに会えて嬉しかったから。もう離れるから怒らないで。……涼子さん、ごめんね?」
❤️「仕方ないなぁ、…もう」
俺達はこの異様な光景に目を合わせ小さく輪になった。
俺の知ってる目黒とは真面目で仕事が出来る有能な部下。
ただ無愛想なとこがあるから、そこは営業なんだしもう少し愛嬌があってもいいかな?とは思っていたけど。
💙「何ていうか……キャラ変わった?目黒のあんな顔初めて見たんだけど」
🩷「研修で甘え方でも教わったとか?」
💚「いや、どんな研修だよ」
………………あれ?
💙「………そういえば目黒が研修から戻ってくるのって先じゃなかったか?」
🩷「……確か三年間だっけ?」
💚「まだ一年経つくらいだよね」
💙「そんなことある?…………おい目黒!」
目黒に聞き出すために二人の方へ振り向くと俺の声は全く届いていないようで二人の世界に入っていた。
涼子さんへの想いを隠さないと決めたこともあって、この状況は面白くない。
💙「目黒!」
🖤「……はい?」
💙「お前が研修から戻ることを聞かされてないんだが、どういうことだ?」
🖤「…………部長」
俺の手を両手で掴み真剣な顔をしている。
🖤「俺は……クリスプ商事に貢献するために研修に行ってきたんです」
💙「……おう」
🖤「結果が認められて早く戻れるようになったのに喜んでくれないんですか…?」
💙「え、あ……それは喜ばしいことだ。研修、ご苦労さま」
🖤「はい。ありがとうございます」
俺が目黒と話してる裏では、
💚「ふっかに聞いてたら、
『ごめーん!めめが戻ってくるの決まった時、なべの仕事が立て込んでて伝えるの忘れてた!俺の代わりに謝っておいて!笑』
だってさ」
🩷「……なんか蓮のせいで、どっと疲れちゃった。涼子ちゃんカラオケは今度でいい…?」
❤️「もちろんです。ちょうどタクシーも停まってるので一緒に帰りますか?」
🩷「帰るぅ♡……阿部ちゃん、涼子ちゃんと先帰るから後よろしく」
💚「わかった。二人とも気を付けてね」
❤️🩷「「お疲れ様です/お疲れー!」」
と言う会話が繰り広げられていた。
阿部に話しかけられ涼子さんがいないとわかると目黒はさっさと帰って行った。
結局その日は解散となり涼子さんと目黒がどんな関係なのか聞くことはできず俺も自宅へ帰ることになった。
***
目黒の帰社当日。
この日のクリスプ商事は大変だった。
目黒が帰ってきたことで営業部は大騒ぎ。
黄色い声が飛び交い、まるでアイドルのライブ会場のようだった。
目黒は一年前にクリスプ商事にいた頃のように無愛想で、この騒ぎの中心人物なのに気にもしない。
しかし涼子さんが現れると180°態度や表情が変わり、あの日の目黒が現れる。
甘いマスクの目黒を見て更に黄色い声が上がり俺のイライラは頂点に達し俺の怒鳴り声は会社中に響き渡った。
この日はどの部署でも仕事にならず静かに怒りを顕にした社長直々に全社員へ有給1日カットとメールが届いた。
こうして目黒帰社有給削減事件は全社員の悲鳴で幕を閉じた。
***
それから二週間。
俺は久しぶりに居酒屋で酒を嗜んでいた。
場所は前に涼子さんと行った居酒屋のカウンター席。
どうしても飲みたい気分になり一人にも関わらず足を運んでしまった。
コンビニで酒を買って宅飲みしても良かったが片付けが面倒で却下した。
未だに目黒を見て浮き足立つ社員はいるものの黄色い声がするようなことはなくなり今までのような業務に戻れた。
それは良かった。
けれども気分が沈むのは目黒と涼子さんが話しているのを目にするからだ。
自覚してから毎日が嫉妬の嵐で胸の奥が苦しくて仕方ない。
そのくせ自分は涼子さんに話しかけられずじまいで更にモヤモヤが増す。
恋は人を臆病にする。
正に自分がその状況に置かれていた。
ダッセーな、俺。
あんなに離れたいと思ってたのに今は近付きたくて仕方ないなんて。
ジョッキに入っていた酒の残りを飲み干し追加注文する。
その間に頼んでいた串を食していると「隣、よろしいですか?」と声を掛けられた。
他の席が空いているけど断るのもなぁ…と思い「どうぞ」と答える。
「ありがとうございます」
💙「いえ。…………?」
聞き覚えのある声に視線を向ける。
酒で鈍って判断するのに時間がかかったが、自分の思った通りの人で頬が緩んだ。
💙「……涼子さん、お疲れ様です」
❤️「お疲れ様です」
💙「………どうしてここに?」
❤️「外で飲みたい気分だったんです。……それで気付いたら足を運んでました」
俺の注文した酒が届くと涼子さんはウーロンハイを注文し、それも届いたところで乾杯をする。
涼子さんは一気にウーロンハイを飲み干し追加で同じ物を頼んだ。
そんな姿に驚きよりも心配が勝った。
💙「一気に飲んで大丈夫ですか…?」
❤️「はい。私、強いので」
💙「だとしても、もう少しゆっくり飲んだ方がいいですよ」
❤️「嫌です。今日は飲むって決めました。部長さんにも付き合ってもらいます」
そう言って笑顔を見せた涼子さんは宣言通り次々と酒を飲んでは追加注文を繰り返す。
一応、頼んだサラダとかも食べてるけど明らかに酒のペースが早い。
顔色は全く変わらないけど、いつもは部長さんと呼ぶのにいつの間にか部長になってるし敬語もなくなってる。
「ねぇ、ちゃんと飲んでるの!?」と聞かれて「飲んでますよ」と伝えるが嘘だ。
ジョッキの半分も飲んでいない。
もう心配で酒を飲む気分なんて、どっかにいなくなった。
そろそろ水をもらおうと店員に声をかけようとすると「ねぇ」と言われ注文できずに「何でしょう?」と答えた。
❤️「けいご、やだ」
💙「はい…?」
❤️「みんなと、おなじがいい。わたしにだけ……けいご、やだ」
そう言った涼子さんの目が潤んで見えるのは酒のせい…だと思いたい。
別にわざとじゃない。
最初は関わらないつもりだったから敬語でいたけど自覚した今は敬語を外すタイミングがなかっただけだ。
💙「じゃあ酒はやめにして水飲んでくれますか?そしたら敬語やめます」
❤️「…………うん」
素直に返事をした涼子あのために水を頼み、それが届くとチビチビと水を飲み干す。
❤️「…のんだ」
💙「偉いじゃん」
❤️「……ふふ、でしょ?」
💙「うん。………涼子さん、聞いていい?」
❤️「?……なに?」
涼子さんが酔ってる状況で聞くのはずるいかもしれない。
でも気になって仕方ないんだ。
💙「目黒と、…どんな関係?」
❤️「ん〜?…………えっとね、まえのしょくばの、…じょーれんさん」
呂律の回らない状態で涼子さんは説明をしてくれた。
目黒は涼子さんが働いていた喫茶店の常連客で仲良くなった際、連絡先を交換したこと。
時が経ち店の経営難で喫茶店を畳むことになり辞めなければならなくなったこと。
次の職を探してると知った目黒に勧められたのがクリスプ商事だったこと。
そして目黒と付き合ってるのかと聞かれて困っていること。
そう話す涼子さんは眉毛をハの字にして本当に困惑した表情をしていた。
❤️「ちがうのに…なんかいも、きかれて……つかれちゃった」
💙「そっか…。それなのに俺にも聞かれて嫌だったよな。ごめん」
❤️「ううん。ぶちょうには、いわないとっておもってたから…へーき」
💙「え?何?……もう一回言って」
聞き間違いしたんじゃないかと聞き返すが涼子さんは残ってた料理を食べ終えると立ち上がり「かえる」と言ってスタスタと出口へ向かって行く。
慌てて伝票を二枚持ち、支払いをカードで済ませ先に外に出た涼子さんを追いかける。
鼻歌交じりにステップを踏んで、かなりご機嫌の様子だ。
俺が隣に並んだのに気付くとステップを止めて普通に歩き出す。
❤️「ぶちょー、きょうはありがと。おかげでたのしかった」
💙「こちらこそ。…………あのさ、俺からもお願いしていい?」
❤️「なぁに?」
💙「その【部長】ってやめてくんね?俺のことも名前で呼んでよ」
俺の言葉に歩くのを止めたことで少し距離が空いた。
俺は二、三歩前に進んだ距離のまま振り返り涼子さんの言葉を待つ。
❤️「……………しょーた、くん?」
💙「っ!」
予想外の呼び名に顔を手で隠す。
違う。
名前で呼んでと言ったけど俺の予想では【渡辺さん】だ思った。
確かに昔は翔太と呼ばれてた。
それでも久しぶりの翔太にプラスして君を付けられて呼ばれるのは破壊力が過ぎた。
呼んだ本人は気にせず「しょーたくん?」と何度も呼んでくる。
だから、ちょっと意地悪をしたくなった。
同じか検証してみたくなった。
涼子さんの後ろを指さす。
💙「……あ、カラス」
言葉を終えた瞬間、体の正面に心地よい体温と上品な香りを感じた。
❤️「どこどこ!むりむりこわい!やだ!たすけて!」
背中に腕を回されギューっと締めつけられて苦しい。
検証結果。
相変わらずカラスが苦手だった。
本気で怖がらせてしまったから申し訳なくなって俺も腕を回し「大丈夫、もういないよ」と落ち着かせようとする。
❤️「ほんと?もういない?」
💙「大丈夫だって。……まだ怖いなら手でも繋ごうか?」
なんて冗談だったのに。
❤️「……つなぐ」
回した腕を離し自ら手を繋いできた。
しかも指を絡めて。
❤️「しょーたくん、さきあるいて」
💙「お、おうっ…」
まるで幼稚園児に戻ったみたいだ。
あの頃もカラスにビビって泣いてた涼太と手を繋いで歩いた。
今はだいぶ大人になったけど、俺より少し高い手の体温は変わらない。
駅前まで歩き涼子さんを先にタクシーに乗せて見送る。
少し距離が近くなった気がして嬉しかった。
俺は気分が晴れて久しぶりに、ぐっすり眠ることができた。
次の日に会った涼子さんは二日酔いもなさそうでケロッとしていた。
『部長さん』呼びに戻ってて寂しかったけど『翔太くん』呼びは仕事にならなそうだからいいことにしよう。
書きたいこと書いてたら長くなってしまいました。
こんなはずじゃなかったけど可愛い❤️さんを書けて満足です♡
次回は🖤にたくさん喋ってもらいます。
お楽しみに。
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コメント
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酔っ払い涼子さんかあいい♡ 記憶…戻るのか…? 部長のヤキモキと、🖤の涼子デレもめちゃんこ好きです♡
みぅです🤍🥀 第7話、読み終わりました…! 居酒屋でのシーン、めちゃくちゃ良かったです…。普段はしっかり者の涼子さんが酔って「けいご、やだ」って言うところ、可愛すぎて胸がぎゅっとなりました🥺 そして翔太くん呼びからのカラスで怖がらせるの、ちょっとずるいけど距離が縮まった感じがして…指絡めて手を繋ぐシーン、甘酸っぱくて何度も読み返しちゃいました。続きが気になります…!