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「強烈なのがきたな…」
俺のフリーズした脳は隣の席のきょうへいの呟きによって再開された。
「強烈どころか…、しかも変なこと言って無かったか?あいつ」
「ああ、宇宙よりも大きい物がどーとか……でも顔は可愛いよな!」
「声でけぇよ、まぁ確かに顔は可愛いけど、お前彼女いるだろ?」
「馬鹿か?俺が狙うわけねーだろ、お前の学園生活を少しでも彩るために提案してやってんだよ、それに…」
「それに?」
「いや、なんでもない」
「なににやにやしてんだ…」
と、そんな話しをしていると、先生が転校生の細かい紹介を終えたところだった。そして、先生が転校生の席を探し始める。
「あ…」
そのとき俺は隣の天然陽キャのにやにやの真相に気づいた
「あそこだ」
もりたくが指をさしたのは窓側一番後ろの席、俺の隣の席だ。その瞬間周りの生徒がざわつきだす。
「転校初日にアイツの隣…?!」 「かわいそすぎ…」
ヒソヒソと話してるつもりなんだろうがいつもバッチリ聞こえてるんだよなぁ。まぁ当の悲劇のヒロインさんは何も気にせず未だに腕組み仁王立ちを維持している。
「じゃあ始業式が始まるから体育館に集合、遅れないようにな。」
「はぁ…」
「どうした?」
「どうしたもこうしたもあるか!転校生の隣なんてただでさえ面倒なのにあんな変人なんて.. 最悪だ」
「でも顔は可愛いだろ?」
「さっきからそれしか言わねぇな」
ただでさえ始業式で校長の長話を聞かなきゃいけないってのにこれからの学生生活の憂鬱要素が増えたらやってけない。なんて思いながら始業式が始まるのを待っていると
「んじゃ、俺行くわ」
「おう、人気者は大変だな」
隣の席が空いたし、繋げてダラダラでもしようかと思っていたら
「ちょっと」
「あ?」
いつの間にか後ろに立っていた転校生が喋りかけてきた。
「そこの席空いてるわよね?」
「決めつけんな、そこは俺の友達の席だ」
「そう、でもいないわよね?じゃあ座るわね」
そう言いながら俺の横に座った、まぁぎゃーぎゃー騒ぐわけじゃ無いだろうし良いだろう、そう思い、ぼんやりと始業式が始まるのを待った。
「次は、校長先生の言葉です」
校長先生の話、いつもは昼寝の時間なのだが、今日はいつもと違う!隣に美少女が座っているのだ!きょーへいにはあんなこと言ったが俺だって男だ!喋りたい!俺は必死に考えたさ!話題を!!友達が少ないなりに何か!
「……校長先生の長話って、宇宙よりも大きかったりしてね…笑」
考えたさ!俺なりに!友達が!少ないなりに!でも俺には無理だったよ!友達3人だぞ!!!
「…それはどう言う観点からかしら?」
「え?」
「だから、校長先生の長話と宇宙との関連性を示して説明しなさい」
思ったより食いつきが良かった、そこまでは良い、ラッキーだ、だが!!別の問題が発生しちゃいました。
「えーと…」
なんにも考えてなかった、詰んだ、せっかく話に反応してくれたのにここで詰まったら終わりだ。
「?、話さないの?」
………どうせ終わるなら記念に適当に喋ってみよう。
「いやーあれだよ、宇宙って無限に膨張してるらしいじゃん?それと同じように校長先生の話も校長先生が話を続ける限り無限に内容が膨張し続ける訳じゃん?しかも宇宙と違って俺らの時間っていう有限のものを圧迫しながら膨張しているってことは実質校長先生の話の方が大きいってことじゃない?」
すげー早口ですげー変なこといっちゃった……もうどうにでもなれ⭐︎
「…校長先生の話は大きさじゃなくて時間の長さじゃない?」
「え?、まぁそういう見方もあるー…かな?」
「ふふっ、ガバガバじゃない」
わらっ………
「でも、中々面白い理論だったわ、……えっと?」
「俺の名前は荒井 手綱(あらいたつな)、一応隣の席だから覚えておいてくれると嬉しいな、天堂さん」
「あらそう、努力はするわ、たつな君」
ここからだ、ここから俺の青春の1ページが始まったんだ………
「…おい」
「「あ」」
…訂正!俺の青春の1ページ目は始業式早々の説教から始まりました!