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「お、お前らか。久しぶりだな」
王都ヴォルガムに到着したフィニス達。城下にあるギルドに立ち寄るため扉を開けると、ロビーでひとり書類と睨めっこをしているヴェスパがいた。
「ヴェスパさん、お久しぶりです」
「あれ?いたんだ。てっきり城にいるもんだと思ってたわ」
目が合うなり会釈をするアルテアと、姉はてっきりいないものだと思っていた為、少し驚くルシオ。
ヴェスパも書類から目を離し、苦笑いをしながらルシオ達の方へと視線を送った。
「あそこは息が詰まるんだ……城に用がない時はだいたいこっちにいるよ」
「なるほどね……他の連中は?」
ヴェスパの正面に座り、辺りを見回すルシオ。フィニス達も空いている椅子に座り、同様に辺りを見回した。
「大体は依頼であっちこっちに行ってるよ。いかんせん王国直下ギルドの機能はほぼ停止してるし……魔法ギルドの方は相変わらず現場仕事を嫌がるからな。あぁ、お前達のよこした2人なら奥の部屋にいるぞ。おーい!」
そう言い、ヴェスパは背もたれにもたれかかるように上半身を仰反ると、そのまま後ろにある扉に向かって声をかけた。
「はいは〜い、どうかしましたかぁ?」
ガチャッ
奥の扉が開く。
「何かお飲み物でも……ってあら?」
奥の部屋からは、長く薄いブロンド色の髪をした女性のエルフと、その後ろには同じ髪色をした子供のエルフ。その2人がフィニス達をみて目を大きく見開いた。
「あらあら、フィニスさん達に……エラリスまで」
「お姉ちゃん!」
「お……お母さん!?」
ゼフィリアから多少の情報……ルシオ達の紹介でヴェスパという女性の元で母と弟が保護されていると言う話は聞いていた。しかし、それでも話を聞くのと、実際に再会するのとでは話は別である。
エラリスも驚いた表情で駆け寄ってくる弟のアオを抱き寄せ、母親に微笑んだ。
「ただいま」
「お帰りなさい。と言っても……ここは私達のいた森ではないけどね」
母親であるエレノアもにっこりと笑う。
「無事に保護してくれて助かったよ」
「はぁ……お前の名前の入った手紙を持っていたとはいえ……魔族の襲撃で困惑している王都にいきなりエルフが来たんだ。大変だったんだぞ」
ギロリとルシオを睨みつけるヴェスパ。ルシオは視線を逸らしながら笑うことしかできなかった。
「それは……ヴェスパの地位と行動力を信じたと言うか……」
「まぁいい。あんな美人のエルフがここに来たんだ。彼女目当てにいまギルド加入希望者も増えて大助かりでもあるからな」
フィニスがその言葉に反応する。
「あれ?ギルドの加入って色々条件なかったっけ?王族かギルド幹部の推薦だっけ?」
王の推薦状を手に、さらにはルシオと実戦形式の試験を経てこのギルドに加入した過去を思い出すフィニス。
「危ない依頼もあるから、最低限の実力が欲しいとかだったわよね」
隣に座るニティアも首を傾げる。
「もちろん正式加入者はその手続きが必要だ。でも今は前よりも人手が欲しいからな。危険を伴わないような国内の復興作業員として、そう言う人は仮の派遣員として雇ってるんだよ」
「なるほど」
言い終わると、ヴェスパがゆっくりと腰を上げた。
「色々話もあるだろう。奥の会議室へ行こう。ここだと帰ってきたギルメン達が騒いだりで落ち着いて話もできないだろうしな。ついでに軽い食事も用意しよう。エレノア!」
「は〜い!」
ヴェスパに呼ばれ、エラリス達と話していたエレノアが視線をヴェスパに向ける。
「悪い。簡単な食事を頼めるか?」
「大丈夫ですよ〜。それじゃ、エラリスも手伝ってもらえる?」
「うん。大丈夫」
「僕も行く!」
「うふふ。もちろんよ」
エレノアに連れられ、エラリスとアオが奥の部屋へと連れられていった。
「それにしても、エレノアも寝たきりだったのに……随分と元気になったな」
フィニスが笑顔でエレノア達を見つめる。
「王都の裏、少し離れたところに国が保護している森があるだろ?」
「え?」
「世界樹と言われている大神樹。または女神ミトラが植えたとされるミトラの樹があると言われている森のことですよ」
何のことか分からずに首を傾げるフィニス。そんなフィニスにも分かるよう、わざと説明を交えて答えるアルテアに、ヴェスパがふっと笑った。
「流石は聖光十字教会の僧侶」
「元……ですけどね」
苦笑いをするアルテアに、ヴェスパが一瞬だけ申し訳なさそうな顔をするも、すぐに話題を戻す。
「ゴホン。つまり、エルフならば、人間には分からないような何かを感じ取れるのではないか……とか適当なことを言って、エレノア達にその森への調査依頼の許可を得たんだ。それで定期的にそこに行って身体を浄化してるらしい」
「なるほど……それで」
ニティアがポツリと呟く。
「先に奥に行っててくれ。私もとっておきの酒を持って行く」
いつも通り豪快な言動でフィニス達に背を向けるヴェスパ。しかし、その表情がいつもより柔らかく感じたルシオも釣られて少しだけ表情を崩しながら、奥の会議室へと向かっていった。
コメント
1件
うわあ……帰ってきたんだね。フィニスたちが無事に王都へ戻って、ギルドで再会するシーン、すごくあったかかった🤍 特にエラリスが弟のアオと再会して「ただいま」「お帰りなさい」ってやりとり、もう胸がいっぱいになったよ…🥀 あとヴェスパさんがぶっきらぼうなのにちゃんと全員のこと見ててくれてる感じ、好きだな。お酒を持って行くって背中向けるところ、なんか照れてるみたいで可愛かった(笑)みんなが少しずつ前に進める場所があってよかったね。月白さん、このエピソードすごく沁みました。ありがとうございます🤍