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「お前達がアクリムへ行き、4体目の精霊と契約を交わしたこと。そして、その後アマテラス大陸へ渡ったところまではアクリムの女王と……ルシオからの手紙で何となく話は聞いている」
自分とルシオのグラスに酒を注ぐヴェスパ。フィニスとニティアは手を挙げて酒を断ったが、アルテアとエラリスにはエレノアが酒を注いで回っていた。
「ありがとうございます」
「お母さん、ありがとう」
「うふふ……いいのよ♪」
グラスに入れた酒を一口飲むヴェスパ。
「私はあくまで手紙の内容でしかお前達の冒険を知らない。何があったのか詳しく聞かせてくれ」
フィニスが並べられた料理を口に頬張りながら、小さく笑った。
「結構長くなるぜ?」
その言葉にヴェスパも笑う。
「時間はある。構わないさ」
そうして、ヴォルガムを旅立った日からの物語をひとつひとつ思い出すかのように、ヴェスパに話していった。
⸻
「エレノアの娘のエラリスが精霊5体と契約。星の大精霊ステラに、魔女の呪い……そして、その大精霊すら存在を知らない、突如現れた白髪の魔女……アニタか……」
手に持ったグラスを傾け、一気に喉に流し込むヴェスパ。
「本当に色々あったんだな」
「おう。それよりもヴェスパ。頼んでいた件は?」
久々に飲む故郷の酒。しかもヴェスパのとっておきの品。まだまだ真面目に話したいことがある為、たらふく飲みたい気持ちを抑えつつも、ルシオがヴェスパに尋ねる。
「ん?ルシオ何か頼んでたのか?」
たらふく食事を食べ、満足そうにお腹を膨らませたフィニスがルシオに視線を送った。
「手紙でちょいちょいな」
少しだけ恥ずかしそうにしながらも、真剣な眼差しのルシオ。
「神器クラスの魔道具なんてそうそう見つかるもんじゃねーよ」
「神器クラス?」
ヴェスパの言葉に水を飲みながら首を傾げるフィニス。
「昔話しただろ?魔道具の特徴」
自分の双剣を買いに行った時のことを思い出すフィニス。
「あぁ……確か……空気中の魔力を吸収して、ちょっとした力をずっと発揮する一般家庭や便利グッズとして使われるタイプと……使用者の魔力を利用して効果を発揮するタイプ。それから、俺の剣みたいに使用者の魔力は使わずに、魔道具そのものが魔法を発動するタイプ……だっけ?」
「お、よく覚えてたな」
ルシオに褒められ、少しだけ口角が上がるフィニス。
「それはあくまで魔道具の種別の話だ。神器クラスというのは……能力のクラスと言えばいいか?」
ヴェスパが酒をグラスに注ぎながら話を続ける。
「まずフィニス。お前が最初に言った便利グッズレベルの魔導具。これは効果は永続的ではあるが、能力としては最低クラスだ。戦闘では使い物にならん。次に戦闘向きで使えるレベルの最低限クラス。これは使用者の魔力消費の有無に関わらず、込められる魔力の上限が決められていたり、一度の使用で壊れてしまったり。戦闘に使えはするが、そこまで実用的ではないもの。これが比較的多く出回っている魔導具だな」
「魔道具と言っても色々あるのね」
フィニスの隣で頬杖をついて話を聞いていたニティアが相槌をうった。
「次に、上位クラスの魔導具。これは込められる魔力の上限が無いものや、多少の制限。まさにフィニスの剣みたいに、一度使ったら再度使うまでにインターバルが発生する。といった多少不利益な条件はあるものの、永続的に使えるようなもの。それがこれに分類される」
「へぇ〜俺のこれは上位の魔道具だったのか」
「あくまで能力だけで見たらな。剣の切れ味とかはまた別だぞ。ちゃんと手入れはしておけよ」
「お、おう」
ふと小さく笑うヴェスパ。グラスの酒を一口含み、話を続ける。
「そして、最上位クラス。ルシオの盾と槍だ」
「あれ?そうなの?俺てっきり上位クラスのやつだと思ってた……」
ヴェスパの言葉に驚くルシオ。
「単純な能力で言ったら上位クラスだけどな。お前のそれは特別な能力がもう一つあるだろ?」
「特別な能力……?盾で魔法を吸って……魔力も吸われて……槍で放出して……また魔力が持っていかれて……」
「それだ」
「ん?」
長年使い続けている相棒の盾と槍。その効果を口に出しては見たものの、これのどこが特別な能力なのか全く見当もつかずに頭を抑えるルシオ。
「普通は魔道具って言うのはひとつで成り立つものだ。でもお前のソレは違う。盾で吸収した魔法を、物理的に繋がっているわけでも無い槍の方へ転送し、放出しているだろうが。近くのランダムな魔道具に移るのならばまだ分かるが……必ず盾からその槍へ……といったリンクについては他でも見ないその武具だけの特徴なんだよ」
「確かに……気にせずに使ってたわ……」
「いいもの持ってるのね……売ったらいくらになるのかしら……」
「売らねーよ!」
肉を口に押し込めながら、エラリスも興味津々に尋ねる。
「それで……ごくん。神器クラスってどういうのなの?」
「私も聞いたことあるのは一子相伝系とかか」
「一子相伝?家系で受け継がれてる的な?」
ニティアが小さく首を傾げた。
「まぁ家系じゃ無いにせよ、特定の人間に受け継ぐ的なやつだな」
「なんでそれが神器クラスなの?」
「例えばアルテア。お前が神器クラスの魔道具に擦り傷を治す魔法を込めて、ニティアに継承するとするだろう?」
「え?はい」
突如名前が出てきて一瞬驚いたアルテア。
「そんで、数年後にニティアが大怪我をして、その魔道具の魔法が発動すると……?」
「擦り傷が治るんじゃ無いの?」
「完治するんだよ。所有者の魔力を少しずつ蓄えて、魔道具の中で込められた魔法が強化されるんだ」
「え……やば……それで攻撃魔法なんか込めたら、下手したら世界がやばいじゃ無いの」
「まぁ流石にその前例はないがな。でもそれくらい強力なんだ。ただ、その代わりにニティアが使ったら、もう2度とニティアは使えない。しばらくして魔道具の効果が回復したら、今度はニティアが魔法を込めて、次の誰かに継承する……みたいなやつだ」
「へぇ……」
ふいにフィニスが話に割り込む。
「でもそれくらい強力で繋がってる魔道具なら、手に入れられはしないまでも、どこにあるかとかは分かりそうだけど……それでも見つからないものなのか?」
その言葉にヴェスパが苦笑いをし、グラスの酒を一気飲みした。
「他の神器クラスは知らんが、この場合魔道具だったとしても、継承した人間が魔道具の効果を使わずに死んだり、魔力を持っていなくて魔法を込められなかったらどうなる?」
「2度と使えなくなりますね……」
「そういう事だ」
「なるほど……って言うか……その魔道具ってそもそもどうやってできるんだ?」
「マナの濃い場所に埋もれている鉱物が一般的だが……最上位クラスとかみたいなクラスの高いものとなると、魔力の高い人間が何世代にも渡り、特定の鉱物を長い時間身につけていたりすると……その鉱物そのものが魔力を帯び始めて……とかだったか?私も詳しくは知らん」
空いた瓶を手に持ち、ゆっくりと席を立ち上がり、別の酒を手に取るヴェスパ。
「まぁともかく、神器クラスの魔道具なんてそうそう見つかりはしないって事だ。やれるとしたら、他の上位クラス。または最上位クラスの魔道具を見つけるか……あとは今の武具を強化するしか……ん?」
話の途中で急に会話が止まり、その場で微動だにしなくなるヴェスパ。
「ん?どうした?」
ヴェスパがゆっくりとアルテアに視線を送った。
「そう言えば……さっきの話で紅炎龍の鱗を貰ったって言ってたよな?」
「え?あ、はい」
「となると……あとは人か……」
コメント
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第120話お疲れ様でした〜!🍀✨ 魔道具のクラス分け、めっちゃ分かりやすかった!!ルシオの盾と槍が最上位でしかも特別なリンク持ってるって初めて知って「え、そうだったの!?」って驚いたよ😳💕 そして最後の「あとは人か」…ここで伏線回収の予感?!紅炎龍の鱗+人材みたいな組み合わせで神器クラスを作る流れになるのかな…続きが気になりすぎる!!🔥 月白さんのワールドビルディング、いつも細かくて没入感がすごいです。次の話も楽しみにしてるね⋆♡