⚠ 微 ホラー要素
ザー。ザー…。と鳴り響く
私は一人で海に来ていた
…えむが、居なくなった海に。
「…そういえば…。海…には凄い思い出があるな。」
「風祭さんに会ったり…。無人島で彷徨ったり…。ショーをしたり。」
誰にも投げかけていない独り言のつもりが、誰かと話している気分になった。
やっぱり、海は凄いものだ。
靴下を脱ぎ、重い足を少し前に進め、青に足を踏み入れる
「…っめた…。」
流石の冬だ。
波も高いし海も冷たい。
…まるで、私のよう
そういえば、あの日…は、夏だった
ショーが終わり、砂浜でえむと適当に話していたら、妙に高い波が…。
あの日の水の温度は覚えている。
今日の海と、ほぼ同じ。
着ていた制服のポケットに手を入れ、前より曲がってしまったのか、柔らかくなっていた写真を取り出す
…えむと、撮った写真
「…あはは、この時の私、凄い顔…。それに比べてえむ…は、凄い堂々としていて…」
『そうだね、でもこの寧々ちゃんの顔も可愛い!』
「え〜…、?そうかな…。あ、これは…、えむが私に抱き着いてる、懐かしいな…、」
『そうだね、!時間って流れるの早いんだね〜!』
「…、このとき、えむと一緒にしたゲーム、楽しかったな…。それから何回もしたけど、えむと一緒にしたのが一番楽しかった。」
『えへへ、よかった〜!、あたしも楽しかったよ!!』
「…また、やりたいな…。」
そう呟くと、もう一つのポケットに入った携帯が震えた
「…あ、そろそろ帰らないと…、」
軽く握ってしまった写真のシワを直し、もとのポケットに入れる
靴についた砂を払い、急いでバス停に走ろうとする
「……あれ…。」
「…今、私…誰と話してたの…?
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