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3.秘密の約束
「…」
あれから教室に来たものの…
何故か、帰る気になれない。
足が動かない。
「…優奈?」
まだ誰かいたの?わたしは後ろを振り向く。
「…楽菜。どうしたの?」
「ねぇ、ビニール傘知らない?」
わたしはとっさにさっきの傘が頭に浮かんだ。
「屋上にあったやつかな」
「屋上?ありがとう!」
「あっ、待って!」
どうして楽菜はあんなに不思議なもの探してるんだろう。わたしは思い切って聞いてみた
「あの傘…なんか、凄い変な傘だったんだけど…」
「…!!」
楽菜は目を見開く。えっ?なに?
「優奈…触ったの…?」
「う、うん…駄目だった…?」
「駄目って言うか…な、何が起こった?」
何が起こった?それは…わたしが持つと雨が降って…わたしがそれを離すと雨が止んで…
それを楽菜に伝えると、さらに驚くように目を見開いた。
「うそ…でしょ…優奈、天気の操り師じゃない…」
天気の操り師?ってなに?
わたしは首をかしげる。
「天気の操り師ってのはね…ほんとに限られた人しかなれない、特別な才能を持つ人なの。」
楽菜は真剣に話し始める。
「その才能を持った人は、晴れてる日にあの傘を持てば雨が降り、あの傘を手から離せば雨が止む。逆に雨が降ってる日は、傘を持てば止むし、離せば雨が降る。」
「む、難しいね…?」
「そうなの!!!複雑なんだけど、カンペキに覚えられれば天気を操ることが出来て!アタシ、それを目指して勉強を頑張ってるの!」
楽菜はこの天気の操り師?をめざしてるみたい。
「そうなんだ…大変だね、頑張って」
「うん!でも…」
楽菜の表情が曇る。
「優奈に先越されちゃったなぁ」
無理やり笑ってるのが顔に出ている。
楽菜はいつもそうだ。感情が表情に出やすい。幼馴染だから、このことは分かってる。
楽菜は「アハハ…」と笑って、最後にこう言った。
「ねぇ、優奈。」
「なに?」
「このこと。傘のこと、優奈が操り師のこと。そして…」
「アタシが操り師を目指してることを、誰にも言わないで。」
「分かったけど…なんで?」
単純に疑問だ。約束は守るけど、なんで言ったらダメなんだろう。
「それは…秘密だよ!」
楽菜はちょっと目を泳がせて、戸惑ったように言った。
不思議に思っていると、楽菜は最後に一言。
「優奈、じゃあね!またあした!」
こう言った。
ーあとがきー
第3話、いかがでしたか?
幼馴染の楽菜と約束を交わす優奈ですが、その約束を作る理由が分からない。
操り師を目指す楽菜は日々勉強を頑張りますが、その事は誰にも言ってはいけません。
第4話では、優奈と傘の大活躍が入ります!
次回もお楽しみにしてね!またねー!
By作者・F/えふ
ー次回予告ー
楽菜と秘密の約束を交わした優奈。
不思議な傘と出会った優奈はそれを使って天気を操る!
その操りが大活躍!
次回の第4話も、お楽しみに!