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「何から逃走したんだ?こいつ」
思わず声が漏れる。
「いやー、鈴のあの熱弁は、ちょっと聞き続けるのはきつくってさ」
乾いた笑い声を上げながら典華は私の質問に答えるようにしてそう語る。
「やっぱりか」
呆れたようにして陸華は愛想笑いを浮かべた。
因みに鈴とは、鈴華の愛称で、愛華の双子の妹だ。
「あ、いや、今のは陸華に説明したんじゃなくて、なんか、声聞こえなかったか?」
不思議そうに、驚いたように典華は話す。
声、、、?ここの近くに居た霊達は、さっきは全く話していなかった。じゃあ、誰の声?私の声は聞こえないはずだろう?
「ほら、なんか、中性的な声が聞こえただろ?お前も霊感があるし、声も聞こえんだから、わかるだろ?」
どうやら典華は只今大混乱中のようだ。
典華は「お前も」と言った。と言うことは、典華も霊感があるのだろう。だから、ここに居る霊が姿を隠して話していると思ったのだろう。
もしかして、、、。
「私の声が聞こえているのか?」
次はしっかりと意識して声を出してみる。
「ほ、ほら!聞こえただろ!?」
私が声を出すやいなや、典華驚いたように、しかし食い気味に陸華に問いかけた。
「何も聞こえなかったけど」
陸華は不思議そうに首を傾げでそう言葉を返す。
「はぁ?」
典華は力が抜けたようなそんな声を漏らした。