若井 side …
「…元貴、?」
元貴の名前を呼ぶが、元貴から返事は無い。どうやら疲れて寝てしまったようだった。俺は元貴のナカから自身を抜く。
「ッ…はあッ、//」
ゴムを外し、結んでゴミ箱へと放り投げる。
「あーあ…終わっちゃった」
これで夜の時間は終わる。そしてまた明日が来て、その繰り返し。この色のない日々はいつ終わりを告げるのだろうか。果たしてその終わり方は世界に色が着くのか、それとも”君”という最後の色彩を失うのか。どっちにしろ、俺は幸せになれるのかな。
俺はリビングへと戻りホットタオルを取ってきて、元貴の体を足から順に丁寧に拭いていった。
「…んッ」
体に触れると、少しだけ元貴が声を出す。だが、その後も元貴は起きずにただ静かに眠っている。
「ほんとに綺麗だね」
元貴の体を見て呟く。ムラのない美しい白。綺麗な体のライン。細い足。触れたら雪の結晶のように溶けて消えてしまいそうで、毎回触れるのが少し怖い。首元を拭こうとしたその時、元貴の鎖骨に咲いた赤い小さな花に目がいく。
赤くて小さい、俺の咲かせた一輪の花。元貴の白い肌にはよく目立つ。元貴はこの花の意味だなんて知らない。元貴がこの花の意味を知っていたら、どんな反応を見してくれたんだろう。でもこの花を付けられるのは元貴がこの”意味”を知らないからこそだ。
やっぱり俺は元貴の純粋な心で弄ぶ最低な悪魔だ。
俺は悪い考えから目を逸らすかのように、元貴の着ているワイシャツのボタンをプチプチと止めていく。この花を見ていると、胸の奥がじんわりと痛むから。濡れた画用紙に絵の具を垂らすと広がっていくように、じんわりと。
俺は元貴の後処理を終えたあと、シャワーを浴びに寝室から出た。
シャワーを浴びて寝室へと戻ると、元貴はまだスヤスヤと眠っていた。その寝顔から中学生時代の元貴を思い出した。
「…元貴は変わらないね」
眠る元貴の隣に腰を下ろし、布団の中に入る。布団の中はほんのり暖かく、優しい元貴の香りがした。俺は元貴の頬に触れる。もちっとしていて、本当に少年のようだった。俺の指は自然と元貴の唇へと向かっていった。ちゅるんとしたピンクの唇。指で優しくつつくと、元貴はむにゅっと唇を動かした。
何を考えたのだろうか。俺は優しく元貴の唇に口付けをした。触れるだけの曖昧なキス。元貴はスヤスヤと眠ったまま。
「…結局、俺が元貴を踊らせてるんじゃなくて、元貴が俺を踊らせてるのか笑」
気づいていたはずの事実に少しだけ胸が苦しくなった。
いつか、君にこの気持ちを伝えられたらなって思ってる。伝えてしまったらこの関係は終わってしまうけど、また”恋愛的な関係”に築けたらなって思ってる。
だからさ、元貴。
「いつか、ちゃんと俺の気持ちに答えてね」
小さく囁いた声は暗い部屋へと消えていった。
これにて「溺」、完結させてもらいます!
ここまで読んでくださり、
本当にありがとうございました🥲💞
少し曖昧な終わり方になってしまって
申し訳ないです💭💧
ちなみに次回作は今考え途中なんです…
できるだけ早く作りますので、
少々お待ちください…!!!
できれば明日から更新したいなと
考えております…
あと、「溺」についての感想等は
是非気軽にコメントしてください🙌🏻
質問でも感想でも何でも大丈夫です!
見てみたいお話でも大丈夫ですよ!🫣
では、また次回作で^^
コメント
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好きが止まらない…!!