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咲苗と真央もいのりのことは毛嫌いしていた。
だが、いのり本人が敵対視していたのは両方ではなかった。
修学旅行中、自動販売機から購入した缶を手から滑らせて階段を転げおりる缶を小走りで追いかけた咲苗にぶつかり、咲苗は勢いよく階段から転げ落ちるところで足が止まった。
ー他の生徒も集まっている場所で。
「咲苗ちゃんごめんね!大丈夫?」いのりはよろけたように咲苗に聞いた。
咲苗は口を開いて叫ぼうとするが、一度止めて落ち着いた。
「ちゃんと周り見て歩きなさい。」短く言って階段を降りた。
「咲苗ちゃんよく耐えたね。」寿々が缶を拾う咲苗に寄った。
「耐えれなかったら一発やってたわ。」咲苗は笑いながらも、右手にもつ缶を潰しかけていた。
「菅野さんには気をつけた方がいいよ。他クラスでも嫌がらせが続いてるみたい。これは咲苗ちゃん標的にされた感じかな?」寿々は歩いていくいのりを見て言った。
「標的にされたらされたで、見返すだけだけれど。」咲苗はつぶやいてどこかへ行ってしまった。
「寿々!咲苗見なかった?」まつりはいのりとすれ違って階段を駆け降りた。
「さっき歩いていっちゃったよ。ねえ、まつりちゃん。他クラスの子と仲良かったでしょ?ちょっと聞いてきてほしいことあるんだけどー」寿々はコソコソとまつりに耳打ちした。
「わかった。聞いてくる。」まつりはそう言って駆け出し、ホテルの自室へ戻ってきて、その隣のドアをノックした。
「奏?いるでしょ?奏?」まつりは叫んだ。
ドアが開き、中から同級生の磨崖奏が出てきた。
「どうしたの、永瀬さん。」奏は聞いた。
奏は、いのりと同じ小学校で奏は直接小学校卒業後に受験でこちらの中等学校に来たが、いのりはしばらくアメリカで暮らして戻ってきてこの中等部にやってきたという。
「菅野さんねー。あの人小学校の低学年では嫌な思い出しかなくてね。高学年に入る頃にはだいぶ変わってて。ちょっと昔の話なんだけど、うちの学校にめちゃくちゃ美女だけどほぼ喋らない長谷部って子がいてさ。長谷部さんが友達に当時体育で人気だった小鳥遊くんのことが好きっていう話をしてたのを聞いたらしくて。長谷部さんが勇気出して話しかけてたところで、変な罪でっち上げて長谷部を完全な悪役に仕立ててあっちは悲劇ヒロイン気取りで演技始めたらしくて。結局小鳥遊くんには振られるし。長谷部さんがかわいそうだったよ。」奏は頷きながら話した。
「その長谷部って人が仕立て上げられた罪って何?」まつりはノートとペンを出して奏に聞いた。
「えーっと、なんだったかしらねー、、、ちょっと待ってて、画像ファイルが送られてきたはず。」奏はスマホのロックを解除して画面をスワイプしファイルを探し始めた。
「あった。長谷部さんが体育苦手だったのを利用して、体育の授業を受けられないようにってバスケットボールやスタンドを壊しまくった弁償の印鑑押された紙を持ってきたらしくて。ほら、この紙。」奏はスマホをまつりに差し出した。
まつりはスマホを両手で受け取りマジマジと写真を見つめる。
「うげ、よく作られた偽物だねー。これは尋常じゃ気づかないよ。」まつりは嘆いた。
「そんなことわかるの?」奏は不思議そうに聞いた。
「うん。叔父が大学校長だから、小さい頃から色々見てきたんだよね。」まつりは奏を見て説明した。
「えぐ。それで、奏の考えるいのりの行動方針は?恋愛の邪魔?」まつりは嫌々そうに聞いた。
「人の幸せ、かなー。菅野さんのターゲットは大体男。そもそも普通の男なら一発であの美貌の餌食になってる。小学校でも思春期に入るとそうだった。菅野さんは手に入らない男を手に入れようと粘るから、今いるクラスで考えると、、隔絶さんと根津木さんかもね。」奏は考えるのに苦戦しながらもそう告げた。
「だから2人と仲のいい咲苗を狙ってるってわけね。それでなんで階段から突き落とそうとするようなことをするの?」まつりは聞いた。
「私をなんでも知ってるように使わないでよ。あのまま咲苗が怒りを抑えてなかったら、咲苗は激怒して菅野さんに向かって叫んだでしょうね。それで弱者演技をして周りからの咲苗のイメージを下げる、という計画だったんだろうけど。これは早めに咲苗に伝えた方がいいかも。」奏は答えた。
「咲苗〜!今日の献立は?」まつりは廊下で見つけた咲苗に駆け寄った。
「私は料理人じゃないわよ。先生は和食って言ってたよ。」咲苗は振り返って笑った。
まつりは辺りをキョロキョロ見渡して咲苗に奏でと話したことを早苗に伝えた。
「なんとなくそう思っていたけれど、やっぱりねー。教えてくれてありがとう。私は大丈夫だから、あなたが伝えるべきなのは鈴之助と真央。あの2人がそうそう簡単に女子に堕ちるとは考えられないけど、色々やられたら鈴之助は危ない。そうしたら、Shut/DoWnの活動も無事では済まないかもね。」咲苗は告げた。
「嫌だ!じゃあ、ぜっっっっっっったいに阻止しようね!」まつりはグーを作って決意の顔をして、咲苗は小さく笑った。
「そうね。それじゃあまず、この修学旅行を攻略しないとね。」
#日常
コメント
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第7話、読み終えました!いのりの執拗な策略がじわじわ見えてきて、ゾクッとしましたね。階段での一件、咲苗が怒りをグッと抑えた場面にハラハラしました。奏の情報提供で伏線がつながっていくのも心地よいです。咲苗たちが「絶対に阻止しよう」と決意するところ、胸が熱くなりました!修学旅行編、どう動くのか続きが気になります🔥