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#高校生
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第17話 「九州の壁」九州大会。
開催地は長崎。
宿舎へ向かうバスの中。
柳城ナインは、どこか静かだった。
窓の外を見つめる小早川。
(ここまで来たんだな……)
福間監督就任から半年。
夏ベスト8。
そして秋――
九州大会出場。
だが福間監督は浮かれていなかった。
「ここから先は、全国レベルや」
バスの前方で静かに言う。
「福岡では通用した」
「でも九州は違う」
その言葉に、誰も軽く返事をしない。
初戦の相手。
宮崎代表・日南学院。
強打で勝ち上がってきたチームだった。
試合当日。
球場の空気は県大会とは違った。
応援の熱。
各県代表の迫力。
小早川は少し圧倒される。
(これが九州大会……)
整列。
礼。
――プレイボール。
初回。
日南学院の打線が襲いかかる。
初球打ち。
強いスイング。
鋭い打球。
一死二三塁。
いきなりのピンチ。
打席は四番。
小早川はマウンドへ向かう。
「低めで行きます」
投手が深くうなずく。
初球。
ファウル。
二球目。
ボール。
三球目。
低めへ。
振った。
――ゴロ!!
ホームゲッツー。
「よっしゃあ!!」
柳城ベンチが沸く。
だが、簡単には流れを渡してくれない。
3回。
連打。
そして長打。
2失点。
先制を許す。
日南学院は、一球で仕留めてくる。
(夏に当たった西陵より……強い)
小早川は感じていた。
その裏。
柳城も反撃する。
送りバント。
進塁打。
二死三塁。
打席には小早川。
初球。
外角。
逆方向へ叩く。
――カキン!
レフト前。
タイムリー。
2対1。
一点差。
ベンチが盛り上がる。
だが中盤。
九州レベルの壁が立ちはだかる。
6回。
柳城のわずかなミス。
その一球を逃さない。
長打。
追加点。
4対1。
点差以上の重さを感じる。
ベンチで福間監督は静かだった。
怒鳴らない。
ただ、試合を見ている。
8回。
柳城最後の反撃。
一死満塁。
球場がざわつく。
打席は二年生主将。
振り抜く。
――カキン!!
鋭い打球。
だが――
ファーストライナー。
飛び出した走者も戻れない。
ダブルプレー。
歓声とため息が交差する。
そして最終回。
最後の打者、小早川。
フルカウント。
(終わるな……!)
振る。
――空振り。
ゲームセット。
柳城高校 1―4 日南学院。
九州大会初戦敗退。
整列後。
誰も動けなかった。
県を勝ち抜いた。
だが全国は遠かった。
宿舎へ戻るバス。
静まり返る車内。
その中で、福間監督が口を開く。
「悔しいか」
「……はい」
小さな声。
福間監督は窓の外を見たまま言う。
「なら、忘れるな」
「今日見たもんが、“全国”や」
小早川は拳を握る。
(もっと強くなる)
(絶対に、またここへ来る)
長崎の夜景が、静かに流れていった。
第17話 終