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#prtg
@ きみ以外なんて選ばないよ
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最初から、敦のトロフィーを掃除しようなどと大それたことを考えなければ
こんな最悪なことにはならなかったのに。
自分の軽率で身の程知らずな行動が全ての原因だと、深く反省して自分を呪うしかない。
だけど、心の奥底では激しく怒られる覚悟をしていても
本当は、暴力や罵声のトラウマが呼び起こされるのが少し怖かった。
身体が硬直していく。
敦の大事なものを壊してしまったことが、申し訳なくて仕方なかった。
次の瞬間
僕の視界の端で敦が動き、両肩をガシッと強い力で掴まれた。
(あ、やっぱり…怒鳴られる、叩かれる────)
そう覚悟して、僕は強く目を瞑り、衝撃に備えて身構えた。
だが
「トロフィーじゃなくて、ひろの方…!」
耳に飛び込んできたのは、怒号ではなく
焦燥に満ちた僕を案じる声だった。
「……へっ?」
敦からのあまりにも予想外すぎる返答に、僕は間抜けな声を漏らしながら目を丸くした。
「怪我してない?足とかさ」
敦は僕の肩を掴んだまま、怪我がないか確認するように僕の身体を必死に見回している。
「え、う、うん…僕はなんとも…どこも痛くない、よ……」
「よ、良かったぁ……っ」
敦は緊張の糸が切れたように、その場に深くため息をつき、胸を撫でおろした。
「え」
なんで?
理解が追いつかない。
頭の中が混乱で真っ白になる。
普通こういうときって、大切なものを傷つけられた怒りで
怒鳴られたり、最悪の場合は腹を蹴られたり
殴られたりするものだと思ってた。
浜崎くんのときはそうだった。
いや、敦は普段から暴力とか暴言はない優しい人だけど
これほどの失態に対して、怒ることすらしないなんて完全に想定外だった。
敦はどうして、自分の宝物よりも、僕のことを気にしてくれているのか。
しゅんが一番大切にしてた、ショコラティエとしての誇りの象徴に傷をつけたのに。
「な、なんで?なんで怒らないの?ぼく、しゅんが大事にしてるもの傷つけたんだよ……?」
堪えきれずに、疑問をぶつける。
「そりゃそうだけど、ひろはわざと傷つけたわけじゃないでしょ?」
敦は僕の目を真っ直ぐに見つめ、諭すように優しい声を出す。
「わ、わざとじゃなくても、余計なことすんなとか、普通…怒るものだよね…?」
過去の常識が、僕の頭の中で叫び続ける。
「え…そんなこと言わないよ。それに、傷がついたくらいならどうってことないよ?」
敦は呆れたように笑いながら、僕の不安をあっさりと否定した。
「でも…っ、も、もう触って欲しくないって思うでしょ…?信用なくしたよね…?」