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冷たい風が吹きすさぶ夜、鋼谷は錆の都の骸教団本部を目指していた。重い空気とともに漂う恐怖を振り払うように、彼は心の中で自分を鼓舞する。今日こそは、教団の暗躍を終わらせるのだ。彼の異能、「鉄鎖」がどれほどの力を発揮できるか、今まさに試される時が来た。
鋼谷は本部の壮大な建物を見上げ、決意を固める。厚い壁は彼にとって障害ではない。彼は豪快に本堂の窓ガラスを割り、鮮やかなガラスの破片が空中を舞う。彼の動きは俊敏で、まるで生まれ持った獣のように無駄がない。
「これが教団の本拠地か……」
鋼谷はガラスの破片を踏みつけながら、周囲を見回した。内部は暗く、不気味な彫刻や骸骨の装飾が至る所に施されている。壁には、骸の女神を崇める象徴的な絵が描かれ、教団の狂信を表現していた。
「やっぱり、趣味悪いな」
彼は苦笑しながら、広間の中央に目を向けた。そこには、カラグが立っており、彼を待ち受けているかのように静かに微笑んでいる。周囲には数人の信者が集まっており、鋼谷の侵入を目の当たりにして驚きと恐れの表情を浮かべている。
「よく来た、ゴーストバスター」
カラグの声は冷たく、まるで鋼谷の存在を軽蔑するかのようだった。その瞬間、信者たちが鋼谷を取り囲むように前に出た。彼らは一斉に手を伸ばし、魔法のように彼に襲いかかる。
「来やがったな、ゴミ共!」
鋼谷は唇の端を引き上げ、挑発的な笑みを浮かべた。彼は鉄鎖を振りかざし、瞬時にその鎖が信者たちの方に伸びる。まるで生き物のようにうねり、複数の鎖が彼の意のままに操られた。
「行け! 鉄鎖!」
鋼谷の指先から発せられた声が、彼の異能に新たな命を与える。鉄鎖は信者たちに絡みつき、力強く締め付けていく。悲鳴が響き、彼らは次々と倒れていった。
「この程度で俺を止められると思ったのか?」
鋼谷は一歩前に踏み出し、信者たちの悲鳴を背に受けながら、カラグに近づいていく。彼の目は熱く、カラグをじっと見つめていた。カラグはその様子を冷静に見つめ返し、手をかざした。
「面白い。だが、あなたの力は私には通じない」
彼の言葉とともに、周囲の空気が一変した。霊体が集まり、カラグの指示を受けて一斉に鋼谷に向かって突進してきた。霊体は夜刀の怨念を宿しており、彼に襲いかかる。
「うぉおおっ!」
鋼谷は鉄鎖を激しく振り回し、霊体を弾き飛ばす。その瞬間、冷たい風が彼を包み込む。しかし、鋼谷は怯むことなく、鋼のような意志で立ち向かう。
「お前の女神は、俺に勝てると思っているのか?」
鋼谷の声は高らかに響き渡り、彼は自らの力を信じて戦い続ける。教団の恐怖の象徴であるカラグに、彼は全力で挑む準備を整えた。戦闘は続き、鋼谷の鉄鎖は信者たちを次々と捻じ伏せ、教団の力を打ち砕いていく。
「この戦いは、俺のためだけじゃない!」
鋼谷は叫ぶと、鉄鎖が再び伸び、カラグの方へ向かって突進していった。これまでの全てを賭けて、彼は教団に立ち向かうのだ。恐怖と闘争心の交錯する中、戦いは激しさを増していった。錆の都の運命が、今、彼の手にかかっている。