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夕日が校庭を染める中、イレブンとセーニャは並んで歩いていた。静かな時間の中で、お互いの存在がより深く心に刻まれていることを感じていた。だが、二人の平穏な日常に、思いもよらぬ試練が訪れる。
学校の門を抜け、二人はゆっくりと歩道を進んでいた。セーニャは時折、イレブンの横顔をちらりと見ながら、微笑んでいた。イレブンもまた、セーニャと一緒に歩けることが幸せで、何気ない会話を楽しんでいた。
「イレブン様、明日も一緒に帰りましょうか?」
セーニャがふと提案すると、イレブンはうれしそうに答えた。
「もちろん、セーニャと一緒なら、どんな道でも楽しく感じるよ。」
その言葉にセーニャは顔を赤くしながらも、にこやかに頷いた。だが、その時、突然二人の前に知らない人物が現れた。
「おい、ちょっと待て。」
声をかけられた二人は、驚いて立ち止まった。目の前に立っているのは、学校に通っている他の生徒の中でも少し強引な性格で有名な男子生徒、ロビンだった。
「君たち、どうして一緒に歩いているんだ?」
ロビンは少しからかうような目をして、二人を見つめた。
セーニャは一瞬、驚きながらも冷静に言った。
「ロビンさん、私たちはただ帰る途中です。それがどうかしましたか?」
イレブンも警戒しながらも、穏やかな口調で答えた。
「セーニャと一緒に歩いているだけだ。何か問題でも?」
ロビンはしばらく二人を見つめた後、にやりと笑った。
「問題というか、ちょっとした疑問だな。君たち、どうせ二人は付き合ってるんだろ?」
その言葉に、セーニャは一瞬顔を赤くし、イレブンも動揺した。
「そ、そんなわけではありません!」
セーニャが急いで否定するも、ロビンは肩をすくめて笑った。
「へぇ、そうか?でもさ、君たちの雰囲気を見ていると、どうしてもそう思えてしまうんだよな。」
イレブンは少し黙って考えた後、冷静に答えた。
「セーニャと僕はただの幼なじみだ。それに、僕たちがどう過ごすかは、誰にも関係ない。」
ロビンは鼻で笑いながら言った。
「まあ、そういうかもしれないけど、恋愛に興味がないわけじゃないだろ?ただの幼なじみなんて、あり得ないだろう。」
ロビンは挑戦的に言葉を続け、二人の反応を楽しんでいるようだった。
セーニャは顔を真っ赤にしながら、イレブンを見つめた。イレブンはその視線を受け止め、やがて深呼吸をしてからロビンに向き直った。
「君に僕たちの関係をどうこう言われる筋合いはない。もし、君が何か誤解しているなら、今すぐにでも説明することはできるけど…。」
イレブンの言葉には強い意志が込められており、ロビンはそのまま黙り込んだ。
しばらくの沈黙の後、ロビンはやや不服そうに言った。
「ふーん、まあ別にいいけどさ。でも、覚えておけよ、そんなに固いことばかり言っていると、後で面倒なことになるかもな。」
ロビンはそれだけ言い残して、二人に背を向けて歩き去った。
セーニャはその姿を見送りながら、深く息をついた。
「どうしてこんなことを言われるのでしょうか…?」
彼女は心の中で不安を感じていた。もし、ロビンが本当に何かしらの問題を起こしたら…と考えると、少し心配になった。
イレブンもまた、ロビンの言葉が気にかかっていた。だが、セーニャが心配しないように、軽く笑って言った。
「大丈夫だよ、セーニャ。あんなやつ、気にしなくていいさ。僕たちには関係ない。」
それでも、イレブンの心の中には、ロビンの言葉が少し残っていた。
二人はその後、沈黙を破って再び歩き始めたが、心の中には微妙な違和感が漂っていた。
次回予告:
第13話では、ロビンの言動が引き起こした問題が、さらに大きくなっていく。二人はその試練にどう立ち向かうのか… そして、互いの心の中にある想いが少しずつ明らかになり始める。