「今日はこれをもらうわ」「よかった、金城さんにとってもお似合いと思って……この黄色の感じが」
「キラキラっとして運気アップね! あー、腕につけたら幸せっ!!! また来ますわー」
と常連客のマダム、金城さんが帰っていく。彼女は占い、と言うよりも夫や近所の人の愚痴を言いにきて言うだけ言ってスッキリして帰る夫が自営業で輸入家具売ってる人らしく。潤沢な資産があるらしい。
彼女は趣味で、とサロンも作ってもらって実際にサロンで働いているのは自分でなくて若い女性たちを雇っているのだとか。
経営者、と言いながら夫からもたくさんお金やブランド物をもらい、自分でもお金を生み出すまるで豊満なボディを持って横たわるこのご婦人のカードそのものだわ。
見た目も。
両手首には私が作ったパワーストーンをじゃらじゃらつけてハッピーとか言いながらご機嫌になって帰られる。
ある意味自分でご機嫌をとる人なのだろう。彼女の周りも彼女のそのオーラを愛したくさん人に囲まれて幸せそうだ。
こういう人生もいいな、とか思うけど何か私には合わなさそう。
まぁ夫からたくさんお金もらえるというのはいいなとか思う。自分の手を使わずに稼げるのも。
結婚してからしばらくは仕事ができずケチな夏彦から最低限の生活で切り詰める日々。
お小遣いと称してもらっている分も生活費に回さないとやっていけない。
周りからは奥さんにそんなにお小遣いをあげてるんですか? おかしくないですか? って言われたんだとか。夏彦曰く。(曰くだから……怪しい)
ようやく息子の倫太郎も中学生になった。義母には
「倫太郎ちゃんが中学なるまで働いちゃダメよ、母親でしょ? それに夫を支えないと!!!!!」
だなんて言われててクソ喰らえ!!! って心の中で中指立ててたら気づけば義母の言葉通り外で働けるようになって店舗に所属する占い師になったのはこの時だった。
倫太郎が幼稚園くらいに子供の情報を見るために見ていたネット広告で
「自宅で占い師しませんか」
ってのを見て。もともと趣味の占い。依頼があったらメールでの非対面の占い。ステップアップしたら電話やビデオ通話でのオンラインもOK。
……夏彦が仕事、倫太郎が幼稚園の時に!!!
まずは夏彦に相談したわ。しなくてもいいのにしちゃったけど。
そしたら
「ふん、そんな稼げるわけないだろ。主婦の小銭拾い……まぁすれば?」
と。
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