テラーノベル
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いつもは足を運ぶことのない建物の奥。たぶん、誰も近づかない場所。ここは少し老朽化しており、普段は新しく増築された部屋を使うので、奥に行く人は今ではほぼいない。なので、いつもは気にも留めていない場所だったのだが、廊下の真ん中に何かが落ちているのを見つけた。
一度は目の錯覚かなにかかと思って視線を他に向けたが、なんとなく気になって目をやると、確かに何かが落ちていた。
こんな所にものが落ちているなんて、ちょっと不思議だなと思ったが近づく。
近づいていく途中で、それがなにか直ぐにわかった。
「佐久間のタオル…」
それは佐久間がレッスンの時に愛用しているタオルだった。目黒に買ってもらったと言っていたFENDIのタオル。どうしてこんなところに落ちているのだろう。
『あっちの奥はなんか怖いから嫌い!』
佐久間はいつもそう言っていた。
なのにここに佐久間のタオルが落ちている。
何かあったのだろうかと、タオルを手にして奥に進むことにした。
少し進むと廊下は左に曲がっており、そこが建物の突き当たりになっている。
曲がるとそこに気配がした。
「佐久間!」
床に座り込んだ佐久間を見つけて名前を呼んだ。
近づいて行き、肩に手を置こうとした時、佐久間はゆっくり振り返った。
大きな瞳に沢山の涙を溜めて、今にもこぼれ落ちそうだった。
「佐久間、どした?」
「あべちゃん…オレ、ダメ…だ…」
目を真っ赤にして、顔をくしゃくしゃに歪ませる。そしてついに涙が頬を伝う。
俺は反射的に佐久間を抱きしめていた。
頭をゆっくりと撫でて、精一杯の優しさを佐久間に示す。
こんな辛そうな佐久間は初めてで、戸惑いを隠せない。
でも、胸の中の佐久間を安心させたくて抱きしめる腕に力を込めた。
佐久間は俺の胸の中で声を殺して泣いていた。目も鼻も真っ赤で、白い肌に冷たい涙が流れていた。
なぜ泣いているのか問いたかったが、今は話ができる感じではなかった。
佐久間の目から次々と涙が込み上げてゆく。指で拭っても拭っても拭いきれない。
こんなに泣いて、一体なにがあったのだろうか……
1時間ほど前までは、いつもの明るい笑顔をみせていたのに……
「佐久間…泣かないで…」
その時俺は、気がづいた……
佐久間の涙は誰かのために流れていることに。
誰かを思って泣いていることに……
急に胸が痛む。そして怒り。佐久間を泣かせているそいつに、腹が立った。
誰かは分からない。
でも前に佐久間がそっと打ち明けてくれた。
『好きな人がいるんだ。だけど、オレのことどう思ってるんだろ……』
いつもの佐久間らしくない、浮かない顔で独り言のように俺に言った。
正直俺には衝撃的過ぎて、驚きとともに、自分の失恋が決定した事に言葉を失った。
だけど、悟られてはいけない。
「好きな人がいるんだ。どんな人なの?」
恐る恐る聞いてみる。
「うーん…凄く純粋でいいやつ。でも……オレ、嫌われてるのかも。」
佐久間は乾いた笑いを浮かべた。
「そうなのか……」
その時、オレはそれしか言えなかった。でも心は痛かった。きっと寂しそうに呟いた佐久間の分も痛かったかもしれない。
佐久間の見るその先にいるのは誰?
俺、君のことが好きだよ。
俺なら君にこんな顔させたりしないし、俺が持ち合わせているもの全てをかけて守るのに……
そいつのことなんか忘れて俺のことを好きになってよ……
ねぇ、佐久間……
shioli(しょたシナ)
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コメント
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えぇ〜〜〜!!!第4話読み終わったよ😭💔 佐久間が旧校舎の奥で泣いてるところ、阿部ちゃんが抱きしめるシーン、切なすぎて胸がぎゅってなった…「好きな人がいるんだ」って告白された瞬間の阿部ちゃんの気持ち、想像するだけで苦しくなるよ…好きなのに「俺なら守れるのに」って心の中で叫ぶだけで伝えられないのもどかしさがリアルすぎる…!あさみるきーさんの心情描写、マジで刺さる…続き気になりすぎるよ😣💕