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【ORVAS司令部・作戦室 ― 翌日】
重い空気が作戦室を支配していた。
モニターには各種ログと監視映像。だがそこに、探している男の痕跡は薄い。
ジュリーがキーボードを止め、低く呟く。
「……隼人の通信、完全に途絶。ログも消されてる」
背後で隊員が報告する。
「北門の監視に映ってました。深夜1時13分、一人で外へ」
一瞬、室内が静まり返る。
「……何も言わずに、か」
ジュリーは拳を握った。
「まただ……全部、一人で決める」
【ORVAS訓練施設・屋上】
夕焼けが街を赤く染める。
ジュリーはフェンス越しに街を見下ろしていた。
風が強く吹く。
(あの時の目……)
(助けを求めてたのに、誰も止められなかった)
彼女は目を伏せる。
【スラム街・情報収集】
薄暗い路地。
情報屋の男が煙草をくわえながら言う。
「銀の目の男? ああ、見たよ。もう人間って感じじゃなかったな」
ジュリーの視線が鋭くなる。
「どこで」
「さあな。ただ、空気が違った。あれは“普通の人間”じゃねぇ」
その言葉だけが、重く残った。
【廃ビル】
ジュリーは埃をかぶったノートを拾い上げる。
ページには乱れた文字。
『力があれば、守れた』
彼女は目を細める。
「……誰を守りたかったの」
答えは返らない。
【ORVAS司令部・畑中の執務室】
暗い部屋。
机の上には報告書と除隊記録。
畑中はただ、沈黙していた。
(あの時……間に合わなかった)
(止められなかった)
モニターに映る昔の隼人の笑顔。
それを見つめたまま、畑中は静かに目を閉じる。
「……すまない」
声は誰にも届かない。
【追跡の日々】
ジュリーは諦めなかった。
夜の街。
雪の降る廃線跡。
通信機を握り、ただ痕跡を追う。
(隼人……)
(あんたは、まだ戻れるはず)
風の中で彼女は呟く。
「まだ、終わってない」
【数ヶ月後 ― 廃ビル地下】
薄暗い空間。
隼人は膝をついていた。
荒い呼吸。傷だらけの身体。
「……力が……足りない……」
その前に黒いローブの男が立つ。
「力を望む者よ」
「絶望は、選ばれた証だ」
隼人の手が、黒い光へ伸びる。
(畑中……お前のせいだ)
(全部……壊れた)
その瞬間、黒紫の光が爆ぜた。
【覚醒】
身体に刻まれる異質な力。
感情が削がれていく感覚。
それでも、意識だけは残る。
(俺の答えは、ひとつだ)
(畑中を……倒す)
ローブの男が微笑む。
「ようこそ、“虚無”へ」
隼人の目が、静かに変わる。
銀の光が、暗闇の中で灯った。
― そして現在へ
失踪は終わりではなかった。
それは、“始まり”だった。